むかしのエントリですが、2013年2月26日の舞田敏彦氏の
『データえっせい』に、パラサイトシングル率の国際比較があります。
情報ソースは『世界価値観調査』です。
「パラサイトシングル率の国際比較」
これで日本はパラサイトシングルが多いほうなのか、
諸外国にはどのくらいいるのか、といったことがわかります。
さらにパラサイトシングル率と未婚率の相関も調べています。
パラサイトシングルが多いと本当に未婚率が高くなるのか、
国際的レベルでわかることになります。
日本のパラサイトシングル率は37.6%です。
やはり国際的に見てかなり多いほうであることがわかります。
韓国は30.3%なので、日本ほどではないですが高めです。
台湾、香港は40%を超えていて、半数近くがパラサイトシングルです。
パラサイトシングルの割合が低いのは、
北ヨーロッパの3カ国で、これらの国ぐには3%以下です。
スイスは4.7%、アメリカ合衆国も6.7%でかなり低いです。
ドイツは14.1%で、これらの国ぐによりは高いですが、
国際的に見たら低いほうだと思います。
日本や東アジアではパラサイトシングル率が高く、
欧米の民主主義国、とくに北ヨーロッパの国ぐには
パラサイトシングル率が低いということです。
このあたりは、イメージ通り(?)ではないかと思います。
成人したら親元を離れて自立した生活を送るためには、
「精神的自立」と「経済的自立」の両方が必要だと思います。
パラサイトシングルが多くなる要因は、
これらふたつにわけて考えられると思います。
>精神的自立
北ヨーロッパを始め、欧米の民主主義国で
パラサイトシングル率が低いのは、個人主義の社会であり、
個人の自立がそれだけ重視されることがあると思います。
「欧米では、子は成人したら親元を離れるのが当然」とされるという
よく言われることは、当たっているのだろうと思います。
日本を始めアジア社会では、個人主義はさほど重視されず
家族どうしで依存することに抵抗が少ないです。
それどころか個人の自立を阻む圧力さえかかることがあります。
それで成人しても親元を離れないことに対する
抵抗も少ないのだろうと思います。
欧米の民主主義国の中でただひとつ、きわだって高い
パラサイトシングル率となっている国がイタリアです。
イタリアはなにしろ「ママンの国」です。
女性はどうかわからないですが、男性のマザコンはかなり容認されます。
実家から徒歩5分のところに家を建てたら、
「親から遠くに離れすぎたかも?」なんて言う男性もいたりします。
イタリアのパラサイトシングル率の高さは、
そうした独特の家族観がもたらしているのでしょう。
>経済的自立
北ヨーロッパの国ぐにでパラサイトシングルが少ないのは、
これらの国ぐには福祉が充実しているので、
若いうちから自立して生活しやすいこともあると思います。
ほかのヨーロッパの民主主義国も、日本よりはずっと
福祉が発達していますから、日本とくらべたら
自立した暮らしがしやすいだろうと思います。
欧米の民主主義国でパラサイトシングルが少ないのは、
個人主義という精神的要因と、福祉の充実という
経済的要因の両方があることになると言えます。
おそらく多くのかたのイメージ通りでしょう。
日本でパラサイトシングル率が高いのは、
雇用や収入が不安定という、経済的要因もあるだろうと思います。
生活費を家族などが出している人は正規社員でも3割、
非正規になると6割近くになるという調査があります。
「パラサイトシングルの割合」
2000年と比べて2010年は、30代以降でパラサイトシングルの
割合が高くなったというデータもあります。
(2012年8月22日の舞田敏彦氏の『データえっせい』)
これは近年の雇用事情や経済事情ゆえに、経済的自立が難しい人が
増えたことが大きいのではないかと思います。
「パラサイト・シングル率」
>パラサイトシングル率と未婚率との相関
パラサイトシングル率と未婚率との関係をしめした図を見ると、
やはりこれらに相関があることがわかります。
パラサイトシングル率が高い国ほど未婚率が高いです。
(一部に例外的な国もありますが、これらはべつの原因があるのでしょう。)
山田昌弘氏の指摘、パラサイトシングルが増えることで
「未婚化、さらには少子化をもたらしている」ということは、
国際的レベルで当たっていることになるでしょう。
パラサイトシングル率と未婚率とのあいだに相関があるのは、
上述のように精神的自立や経済的自立の難しい人が、
パラサイトシングルになりがちだからでしょう。
一般に結婚生活は、精神的自立と経済的自立の両方を必要とします。
>日本の家族観・福祉観
日本社会に蔓延する「福祉に頼るのはけしからん、
家族のことは家族でなんとかしろ」という家族観や福祉観は、
精神的自立、経済的自立の両方を阻むと言えます。
「家族になんとかしてもらえ」という思想自体が、
家族への依存を前提として、個人の精神的自立に圧力をかけます。
またこうして社会福祉が貧しくなることで、貧困が広がることになり、
経済的自立が困難になる人が増えることにもなります。
日本のパラサイトシングルの割合が国際的に見て高いのは、
日本的な家族観や福祉観によるところもありそうです。
「パラサイトシングルが増えると未婚率が上がって、
少子化が進む」ということが問題だとする人たちは、
個人が自立できる福祉の充実を目指すことでしょう。
成人したら結婚して子供をつくるべきという価値観や同性愛は子供ができないから認めないという古い価値観。男は仕事、女は家庭という古い価値観と同じです。
福祉もドイツは福祉が充実していますが少子化です。
>成人したら親元を離れるのが当然というのは
それは日本では「新しいカチカン」ですね。
いまだ攻撃される対象になりかねないと思います。
>福祉もドイツは福祉が充実していますが少子化です
ドイツの少子化は、家族・子ども向け支出に対する
高齢者向け支出が多いことによります。
http://lacrima09.web.fc2.com/teardrops/hall/welfare-balance.html
単純な額の多寡だけでなく、バランスも重要だということです。
友達親子のような関係が増加し、性規範もゆる〜くなり夜遊びもお泊まりもおとがめなし、と家庭自体が居心地がいい。親も元気でおカネがある。
…と、家庭をとりまく環境もかわってきたということですよね。私が子供の頃には考えられない、家を出て嬉しくてしょうがなかったですもん。
パラサイト婚みたいなのも出てきたりしてね、そのうち。
高齢年金生活の人に限らずそうなれば家賃アップの負担が全体に及びます。
喜ぶのは物件所有者と不動産店だけです。
昔、子供が4人、5人いるのが当たり前の時代は成人の子が狭い家に住み続けるのはプライバシーもなく不可能で、ただし長男と限らずとも1人は親元に残りました。長男が圧倒的に多いのは将来的に長男夫婦が親の面倒を見る。ただし遺産は長男夫婦に大きな優先権があるというバランスで成り立っていました。
現代は1人しか子供がいない場合が多く、その1人が成人したからといって家を出る理由は特にありません。
しかし国立青少年教育機構の高校生に対する日米中韓4カ国調査で将来親の面倒を見たい、という高校生は、
中国87.7%、韓国57.2、米国51.9、
日本は最低の37.9
そのくせ自分が生活に困ったら親や家族に支援を頼むか?との問いには、はいと答えた人が、
日本21.3%、米国19.3、韓国7.3、中国6.3
日本は親の面倒を見たい人の割合最低。いざという時に親に助けてほしい人の割合は最高。
こういう国に成り下がっています。米中韓の格差や雇用問題は日本より大きく言い訳できません。
高校生の親の年齢は当然一概に言えませんが45歳ー50代というあたりでしょうか。
言い訳できるとすればそんな調査はアテにならない。日本の高校生は素直に回答しているわけではないということでしょう。
信頼に足りる調査であるとすればパラサイトがどうした以前<また高校生が親と同居しているのは普通>に4カ国の中で日本の高校生の意識が一番家族の絆を否定し困ったら親に助けてほしいが将来親の面倒を見るのは御免であるという自分本位の甘ったれが多いとなります。
どこで何を間違えてそうなってしまったのか。やはり信頼に足りない調査であると願いたいものですが。
このエントリにコメントありがとうございます。
精神面と経済面の両方で、パラサイトシングルでいることが
有利になったということなのでしょう。
>親も元気でおカネがある
いまの20-30代の人たちだと、親世代のほうがお金があるのですよね。
自分の年収や雇用だけでなく、親の経済力という問題もありますね。
>私が子供の頃には考えられない、家を出て嬉しくてしょうがなかったですもん。
わたしも同じくですよ。
親元を離れて一人暮らしを始めたときは、せいせいしたです。
なにが言いたいのかよくわからないです。
>喜ぶのは物件所有者と不動産店だけです
>その1人が成人したからといって家を出る理由は特にありません。
そういう「反自立論」は初めて聞きました。
ひとりっ子でも成人したら家を出る理由はあります。
親に精神的・時間的干渉や拘束を受けずにすむということがあります。
>日本は親の面倒を見たい人の割合最低。
>いざという時に親に助けてほしい人の割合は最高
雇用や収入が安定しないという、経済的事情だと思いますよ。
>やはり信頼に足りない調査であると願いたいものですが。
あなたが「信頼に足りない」と願いたい調査はなんですか?
ご自分でコメントした「将来親の面倒を見たい」という調査ですか?
わたしがエントリでお話したパラサイトシングル率の調査ですか?
初めてコメントをなさるのでしたら、
簡単な自己紹介をいただきたいですね。
仕事を通じて貴方のような思想の人と知り合いネットでその方面を見ていたらこちらに来ました。
親からですら干渉や拘束を受けるのが嫌だという貴方なら、なおさら知り合いでもない人がどんな生活様式であろうが指摘するのはおやめになればと思います。
しかも親からの干渉拘束はあなたの問題であって、うがんざきさんという方は正反対に親の干渉がなく居心地がいいのだろうと言っているでしょう。
しかし日本の長時間労働体質というのは表面的なことです。
アエラでフランスの女性誌「ELLE」女性編集主任<3児の母>の指摘がありましたが。
・フランスの男女給与差は20年のスパンで見ればマンションひとつ買えるくらいの差になる。
・フランスでは出産しても仕事を続けるのが当たり前だが「会社にいる者」の評価が高くなるし両立するにも地位が上なら遅くまで会社に残る。
・フランスでは家事の80%を女性が担っている。それは女性の責任でもありパートナーに頼まないからだ。やり方がダメだと責めれば彼は二度とやらなくなる。子供の片足に赤いソックス、もう片方に青いソックスを履かせてもとがめないこと。
・両立は大変でも子供が成長し母親より大事なものができたとき仕事を続けていて良かったと思えるし、子供もそういう母親を誇りに思うだろう。
日本の働く女性20−40代519人にアンケートのページでは、
夫やパートナーは家事育児に協力的ですか?<相手がいる人>
はい60.3% どちらともいえない25.6% いいえ14.1%
あなたの人生の優先順位は?<複数回答>
1家族との時間41.2% 2仕事39.1% 3自由な時間36.6% 4収入29.1% 5ファッション19.3% 6友人との時間15%
貴方の過去のブログをざっと見ても、どうやら見当違いのようですね。
フランスがお好きのようでフランスの出生率は移民によるものが大きいわけではないと必死にやりあっておりましたが。
その号のアエラは女性の仕事、管理職を特集したものですが、もう資生堂ですら女性の働きやすさでなく女性の戦力化と方針され、育児中の人は決められた範囲内でラクな仕事を与えていればよかったが、これからはそれでは回らない。社会貢献や福利厚生のみの文脈ばかりだったが経営戦略としてのキャリアアップを打ち出している。育児中でも遅番・土日勤務をやってもらうと人事部。
フランスの職場も現実は違うどころかパートナーの家事育児参加も日本の男性より落ちる。
つまり貴方のデータや妄想はフランスでしっかり仕事をしたいための人向けでなく、あまり働きたくない。できれば国の保障をうまくつかってラクしたいという人向けのものではないかしら。
親と一緒に住んでいなくても国の保障に甘えたいんですというなら、それも制度利用で賢いかもしれませんね。
雇用や収入の不安定にあてつけたり親元にいる人を否定したりしても何も始まりません。
昔みたいに一般事務で多くの女性が正規雇用だった頃を理想としても理想に過ぎず、しかも彼女らは20代か30代前半で結婚退職する前提だったからという意味もあるんです。
男社会がどうの、親元でのんびりできてる人がどうの、フランスと比べてどうの、そんなクレーマー体質の人を貴方が経営者、人事部だったら採用したいと思いますか?
毎日のように文句を書き連ねる負のエネルギーは貴方の過去に何かあったのかもしれませんが、それで周囲の人との関係性や仕事場の空気が良くなるわけがありません。
おいくつなのか存じませんがもう少し寛容になって寛容な男性とめぐりお会いお幸せになっていただきたいと思います。
さらに言えば、興味がわかないです。
>なおさら知り合いでもない人がどんな生活様式であろうが
>指摘するのはおやめになればと思います
わたしは家族問題の中にある、ジェンダー的抑圧や
社会問題を探り出して、改善方法を考えるのが目的ですから、
家族のありかたについて分析して、
特筆することがあれば指摘するのは当然のことです。
>日本の長時間労働体質というのは表面的なことです
長時間労働とはどこにあるのかと思ったら、
うがんざきさまのコメントなのですね。
この文脈で日本の長時間労働をとくに取り出して
強調するのは、エントリの主旨からはずれますね。
>アエラでフランスの女性誌「ELLE」
>女性編集主任<3児の母>の指摘がありましたが
>フランスがお好きのようでフランスの出生率は
>移民によるものが大きいわけではないと
ここではフランスのことは、ぜんぜんお話していないのですが?
>雇用や収入の不安定にあてつけたり親元にいる人を否定したりしても
「雇用や収入の不安定にあてつけ」てはいないし、
「親元にいる人を否定し」てもいませんよ。
さしあたってカチカン論争には興味ないです。
たんぽぽさんのこのエントリーは、そう断定的でもなく、終始、・・だからでしょう、という形で、あまり強くない主張で、社会現象を舞田氏のでーたえっせいをもとに淡々と紹介していると思われます。特に感情も入らず。
まるで旧知の仲か、もともとここの読者でなければ、あっとまーく氏のような深読みはできませんかと・・。それにしてもあっとまーく氏、長文のわりには、論旨がよくわからないこと。以前いたヒラリーさんを彷彿とさせますが、彼はまだかわいげがありましたから。
彼氏がいるなら、あなたこそ、早く結婚すればいーのえは?と思いましたよ。
>あっとまーく氏、長文のわりには、論旨がよくわからないこと。
>以前いたヒラリーさんを彷彿とさせますが
やはりそうお思いなのですね。
同じことをお思いのかたは、たくさんいるのではないかと思います。
わたしも、あたかも「ヒラリー」のコメントを
読んでいるような気分になりましたよ。
パラサイトシングルの話題に過敏に反応するところも、
「ヒラリー」と同じですね。
攻撃的で感情的なのは、あきらかにあっとまーく氏ですね。
なんで
========
男社会がどうの、親元でのんびりできてる人がどうの、
フランスと比べてどうの、そんなクレーマー体質の人を貴方が経営者、
人事部だったら採用したいと思いますか?
毎日のように文句を書き連ねる負のエネルギーは
貴方の過去に何かあったのかもしれませんが、
それで周囲の人との関係性や仕事場の空気が良くなるわけがありません。
おいくつなのか存じませんがもう少し寛容になって
寛容な男性とめぐりお会いお幸せになっていただきたいと思います。
========(2015年09月29日 21:01)
なんて言われなければならないのかと思います。
八つ当たりしているとしか思えないです。
===以下について、私も感じた事を。
>男社会がどうの、親元でのんびりできてる人が
>どうの、フランスと比べてどうの、
>そんなクレーマー体質の人を貴方が経営者、
>人事部だったら採用したいと思いますか?
だいたい思想的なことって、会社では表に出さないです。入社試験のときだって、「私は男社会と闘っていきたいです」・・言うか、そんなの。こういうことに限らず、政治信条とか宗教とか、入社後にしても、わざわざ言わないのは当たり前。
こんなこと本気で心配してたのって、そういえばヒラ リーさんもそうだったなあ、、とアットマークさんに親近感すら覚えますが。
(いい加減なこといっちゃいけないと思って、念のため検索窓で調べたらすぐ出てきたましたよ)。
http://taraxacum.seesaa.net/article/418401705.html#comment
===
とにかくフェミニスト女性の弱点は必死で女性の味方をし過ぎるし、無駄に男を敵対視するからそういうことでは組織の上に立つの難しいと思いませんか。
企業は結局、決められたルールにおいての利益追求でジェンダーがどうのという意識の強い人はそこでの管理職って向かないと思いますし
>こんなこと本気で心配してたのって、そういえばヒラ リーさんもそうだったなあ、、
>とアットマークさんに親近感すら覚えますが
>http://taraxacum.seesaa.net/article/418401705.html#comment
よく見つけましたね。
わたしは当該コメントを、すっかり忘れていました。
わたしもそのコメントに反応して、お返事していましたね。
========
むしろ「弱者男性」とか「男性差別論者」とか「反フェミ」に、
男性の弱点に関しては必死で男性の味方をし過ぎるし、
無駄に女を敵対視することが、よく見られると思います。
========(2015年05月16日 12:35)
あっとまーくさまと「ヒラリー」氏に共通する発想として、
「権利を主張するな、不満があってもがまんしろ」
「自己主張しないのが賢い女」という考えがあるようですね。
こういう発想こそ、都合の悪い批判を封じて、
体制を温存するための方便であり、また女性差別的発想だと言えます。
女性が組織の上に立てないとしたら、
こういう差別的な考えの人がいるからだと、わたしは思います。