2015年09月26日

toujyouka016.jpg 夫婦別姓・国連の勧告の記事

9月23日の時事通信で、日本政府が選択的夫婦別姓を
いつまでも認めないことで、国連の女子差別撤廃委員から
勧告を受けていることが、記事になったのでした。

さらにその記事が話題になっているというので、
ハフィントンポストの記事にもなっています。

「夫婦同姓、厳しい国際世論=国連、法改正を勧告」
(はてなブックマーク)
「夫婦同姓は世界の非常識?
「日本に厳しい国際世論」との報道が話題【夫婦別姓問題】」

(はてなブックマーク)

 
夫婦同姓の規定を改めない日本に対する国際世論は厳しさを増している。
国連の女性差別撤廃委員会は法改正を繰り返し勧告。
別姓も選択できる制度を採用する国が増え、
同姓を強制する国はほとんどないのが現状だ。
夫婦別姓を認めていない日本に対し、国際世論が厳しさを
増していると報じられ、話題になっている。
9月23日付の時事ドットコムの記事によると、
夫婦別姓を選択できる制度を採用する国が増え、
同姓を強制する国はほとんどないのが現状で、
日本は国連の女性差別撤廃委員会から繰り返し法改正を勧告されている。

わたしに言わせれば、日本政府が国連委員会の勧告を
ずっと無視し続けていることを、記事にしただけで意外だと思います。
お約束(?)の、「勧告に法的拘束力はない」を書き加えて、
勧告は無視していいとなんとなくほのめかすこともしていないです。

国連委員会からの勧告のことは、ずっとむかしからのことです。
6年前の2009年のときでさえ、同じことを繰り返し言われていて
遅すぎるの感はかなりあり、委員会からも「ただちに(immediate)」
「催促する(urges)」と勧告をしています。

「差別的法規」

それゆえ「国際世論は厳しさを増している」なんて、
「なにをいまさら」の感はあるのですが、
それでもちょっと前まででしたら、こんなことは記事にならなかったです。
これも最高裁大法廷回付の影響なのだろうと思います。
ここへ来て遅まきながら「もう民法改正して選択的夫婦別姓を
認めなければ」という論調になったのかもしれないです。


時事通信もハフィントンポストも、CEDAWからの勧告のことや、
それに対する日本政府の対応が、「国民の理解」「国民意識」を
勧告を無視する理由に挙げていることには言及があります。

それでもCEDAWから、「世論調査によらず批准した条約と
整合が取れるように国内法を改正するのが締結国の義務だ」と
言われているところまでは、触れていないのでした。

また、世論調査の結果ばかりを理由にしてはならず、
法体系の一部として、条約の条項と整合が取れるよう、
国内法を整備しなければならないこと、したがって民法改正は、
条約に批准した国が義務としてなすべきである、ということを、
委員会は指摘しておきます。


記事の見出しの付けかたは、あまりうまくないです。
最初わたしが見たとき、「厳しい国際世論」というのは、
女子差別撤廃委員会の勧告でない、べつの国際世論かと思ったです。
(国連の勧告は「世論」とは言わないでしょうし。)


また記事の内容がわかりにくい見出しだと思います。
この問題にあまりくわしくない人がつけた見出しかもしれないです。
(記事を書く人と見出しをつける人は、たいてい別のかたです。)

さらに言えばこの見出しは、夫婦同姓そのものが、
国際的に批判されているかのように受け取れて、誤解を招きそうです。
本当に批判されているのは、「夫婦同姓の強制」だからです。
(これはハフィントンポストの記事にも当てはまります。)
記事本文を見ればちゃんとわかるようになってはいますが。





posted by たんぽぽ at 15:05 | Comment(6) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
>夫婦別姓、国連の勧告無視の日本に国際世論厳しく

いや,でも、これも誤解されそうな見出しである。
知らない人は読みとりが浅いだろうから。
Posted by うがんざき at 2015年09月28日 09:01
今日は。別姓と反対派の主張、理論が余りにも不可解で色々見ている内に、こちらのブログを見つけました。私個人は賛成派です。
確かに見出しは益々誤解を与えそうなと言うか、正しく伝えられていないと思いました。取り上げられるだけマシ、なのでしょうか。

反対派の方々の主張には、国連はかなり前から勧告はして来ているに、今の総長が某国の方だから言って来る、と言うのまで見た事があり、正しく情報や経緯を理解せずに主張する内容に個人的には呆れ気味です。知識は大切ですね。

他にも、なぜ外国から言われる必要があるのだ? 日本は日本でこれは伝統、などの書き込みもネットでは散見されました。伝統、明治から急に作った伝統?ですが。

果ては、大部分が変える側が女性だとしても、女性のワガママ、結婚への覚悟が足りない、別姓では結婚の意味なし、同棲でよいでしょ、事実婚では駄目なの?、旧姓を名乗ればよいでしょ勤務先では、苗字を男性のに変えて結婚したんだなと嬉しかった、あれはフェミの主張、フェミは日本を破壊する女性の主張、フェミは社会主義だ、などなど、男性女性両方でネトウヨ?系の方々の発言を読んで、怖くなりました。

成熟した議論はもはや不可能なのでしょうか。

さすがジェンダーギャップ104位、それも外国と比べる必要なし、日本の女性は幸せで守られているのに104位とは統計がおかしい、女性が強い、母系社会は人類学的に滅びる国である、なども見かけました。

恐ろしいです、、、。
Posted by ぷっくん at 2015年09月28日 21:59
うがんざきさま、
このエントリにコメントありがとうございます。

>いや,でも、これも誤解されそうな見出しである

「国際世論」ということばはいらないかもしれないですね。
記事は国連の勧告だけで、世論のことは触れていないですから。
そうすればべつのことばに字数を取れることになります。

もっとも読み取りの浅い人は、どんな見出しをつけても
誤解するのかもしれないですが。
Posted by たんぽぽ at 2015年09月28日 23:05
ぷっくんさま、いらっしゃいませ。
わたしのブログにようこそお越しくださりました。
コメントありがとうございます。

>取り上げられるだけマシ、なのでしょうか

ましだとわたしは思いますよ。
日本のマスコミは外国から女性差別を批判される話題を
記事にしたがらないですから。
国連委員会からの勧告も、ご存知ない人も多そうだと思います。

見出しがピントをはずしているのは、
ふだん日本のマスコミがこの手の話題を扱わないから、
ということもあるかもしれないです。
事情にくわしくないのでしょう。


>国連はかなり前から勧告はして来ているに、今の総長が某国の方だから言って来る

そのお話はわたしもちょっと聞きかじってます。
日本の選択的夫婦別姓は、某国の利益とはまったく関係ないのですよね。
http://bit.ly/1FwhzQh
http://bit.ly/1KKcIXy

国際結婚はもともと夫婦別姓が原則ですし、
外国人である「某国のかた」には、どうでもいいことです。
http://bit.ly/1LgRkjf


>他にも、なぜ外国から言われる必要があるのだ?

国際条約の意義がわかっていないのも、
選択的夫婦別姓反対派(非共存派)の「お約束」ですね。

日本も女子差別撤廃条約に批准したということは、
「女性差別をなくすという国際的コンセンサスに
国際社会の一員として日本も同意して参加する」ということであり、
日本も自発的にそこに参加しているということなのですよね。

日本国憲法の98条2項には、日本は批准した条約を
履行する義務が定められています。
反対派(非共存派)これについてはどう考えるのかと思います。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html


>成熟した議論はもはや不可能なのでしょうか

家族思想が信仰になっている人たちに加えて、
http://taraxacum.seesaa.net/article/410975268.html
http://taraxacum.seesaa.net/article/410992216.html
民主党が政権を取る前後にネトウヨが参入してきて
いよいよカオスになっていると思います。

反対派(非共存派)との議論なんて、非建設的にしかならないと思います。
しないですむならそうしたいものです。
http://lacrima09.web.fc2.com/teardrops/against/paranoia.html


>さすがジェンダーギャップ104位、それも外国と比べる必要なし、

都合の悪いデータは丸ごと否定するのも「お約束」ですね。
そういう人はたいてい統計よりも、自分の狭い個人的体験が優先するものです。
Posted by たんぽぽ at 2015年09月28日 23:29
国連関係などではなく、一般の外国の人と話していて
「日本に対して驚く事、に
「六年英語を勉強しているのに英語を話せない」
「酒タバコが自動販売機で変える」
「ジュースの自動販売機がやたらにある」
「電車が時間が正確だ」
に加え
「天皇は男しかなれない」
「結婚後の姓の選択肢がない」
もはや国連だけではなく、ただの一般の方にも日本は「非常識」になっていると感じます、
Posted by 乾紀子 at 2016年05月27日 10:11
乾紀子さま、いらっしゃいませ。
こちらにもコメントありがとうございます。

>「天皇は男しかなれない」
>「結婚後の姓の選択肢がない」
>もはや国連だけではなく、ただの一般の方にも

日本は選択的夫婦別姓が認められない特異的な国というのは、
一般的な外国人でもよく知るところとなっているのですね。
(天皇は対外的に目立つので、ご存知の外国人も多そうだとは思いますが。)

「選択的夫婦別姓が認められないほぼ唯一の国」
というだけでなく、それを「ふつうの外国人も知っている」
ということも、日本人は知ったほうがいいですね。


日本は女性差別の国だというのは、結構多くの外国人が
認識していることのようです。
選択的夫婦別姓が認められないというのは、
「そういう国ならでは」と思われてもいそうです。
Posted by たんぽぽ at 2016年05月28日 11:45
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