打ち出したことが話題になっています。
この新しい「三本の矢」政策で、だれもが活躍できる
「1億総活躍社会」なるものを実現することを目標としています。
こんどの内閣改造で、具体的な施策の実行に当たる
担当大臣のポスト「1億総活躍大臣」を新しく設置する予定
という力の入れようです。(閣僚の枠は増やさず兼務のようです。)
「首相 「1億総活躍社会」担当大臣新設へ」
(はてなブックマーク)
「「1億総活躍」担当相を設置…首相が表明へ」
(はてなブックマーク)
「安倍首相、子育て支援を新たに強化する方針」
「アベノミクス相場、風向き変わり出した「第2ステージ」」
新しい「三本の矢」とは、
1. 希望を生み出す強い経済です。
2. 夢を紡ぐ子育て支援
3. 安心につながる社会保障
今後の政権運営について「目指すは『1億総活躍社会』だ」と述べ、
希望を生み出す強い経済、夢を紡ぐ子育て支援、
それに安心につながる社会保障の新たな「三本の矢」で、
誰もが活躍できる『1億総活躍社会』の実現を目指す考えを表明しました。
安倍晋三から「新たな三本の矢」が発表されたが、こんなまやかし、騙されるおバカさんはいないでしょう。 pic.twitter.com/GV4dxozia9
— VOTE for DEMOCRACY (@supportV4D) 2015, 9月 24
「三本の矢」の評価は、ロイターの記事が簡潔に書いていると思います。
こちらをご覧になるとよいでしょう。
「アベノミクス相場、風向き変わり出した「第2ステージ」」
ここでは家族・ジェンダー問題としていちばん関心を惹く
二本目の矢「夢を紡ぐ子育て支援」を見てみることにします。
子育て支援の強化を前面に出したのは、この問題に関して
それだけ力を入れるということであり、
これはこれでこのましいことだと思います。
それでも「夢を紡ぐ」とは具体的になにをやるの?と、
お思いのかたも多いと思います。
こういう抽象的なお題目を出すときは、たいてい中身がないと思います。
これまで「女性活用」とか「女性が輝く」と言って
推進してきたことの延長だろうとは思います。
ロイターの記事のつぎの指摘は、同意見のかたも多いと思います。
総論ではなく具体策をしめす必要があるでしょう。
子育て支援や社会保障の充実という新しい第2、第3の矢の方向性は、
市場でも賛同の声が多い。内需が弱々しいのは将来への不安があるためだ。
人口問題や年金問題が解決に向かえば、国内消費も上向きの力が働きやすい。
しかし、市場が求めているのはその具体策。
総論だけでは、市場は期待さえも織り込めない。
安倍政権の「女性活用」なんて、女性を行動の主体と考えず、
経済や人口政策のための存在としている、という不信があります。
先日も目玉政策のはずの女性活躍推進法案に、
「女性活躍」や「少子化対策」の最大の障害である、
「家族思想」を反映させようとしたのでした。
具体的な政策も、派遣労働者法を改正して、女性が非正規雇用に
固定化される可能性が高くなりかねないことを推進しています。
選択的夫婦別姓なんて認める気はないでしょう。
配偶者控除の廃止は実現するでしょうか?
子育て支援についても「3年間抱っこし放題」とか、
おかしな方向に向かうことがあります。
子どもを持つ女性の賃金格差や、ひとり親世帯の貧困については
どのような対策するのかと思います。
「夢を紡ぐ子育て支援」には「希望出生率1.8の実現」があります。
「希望出生率」というのは、子どもをほしいと思ったかたが、
希望通り子どもを持てた場合の出生率です。
この希望出生率が、現在の日本においては1.8程度と算出されます。
「希望出生率1.8の実現」というのは、「子どもがほしいと思うかたが、
希望通り子どもを持てるようにしよう」ということだと思います。
「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」
「第二の矢」には「子どもの個性を伸ばす教育再生」もあります。
こちらもどのくらい実現するのか怪しいと思います。
高校無償化は所得制限を設けるという逆行をしました。
大学の授業料は相変わらず高いままです。
昨年、下村博文が大学の無償化構想を打ち出しましたが、
自民党内での理解はあまりなかったのでした。
奨学金は実質ローンで返済が必要なものばかりで、
少なくない学生は卒業後返済に追われます。
ロイターの記事は「第二の矢」と「第三の矢」に関して、
財源の問題があることも指摘しています。
(子ども手当ては財源を理由に猛攻撃しましたからね。)
予定通り消費税を増税したら、消費が落ち込んで景気が悪化して、
かえって税収が落ち込む可能性があります。
「第二の矢」と「第三の矢」の財源は確保できるのでしょうか?
政策の整合性にも疑念が生じている。子育て支援には資金が必要だ。
少子化対策を成功させたフランスでは、大胆な財政出動による手当が功を奏した。
保育所の充実などインフラ整備も欠かせない。
社会保障を充実させるにも資金面の手当てが必要だろう。
しかし、安倍首相は一方で17年4月の消費増税は
予定通り実施するとしている。第2、第3の矢と財政再建を
どのように両立させるのか、その「解」はまだ見えない。