2015年10月06日

toujyouka016.jpg 緊急避妊薬と性の自己決定権

9月25日エントリの続き。

緊急避妊薬の市販薬化にしきりに反対する「みみず」。
さらにはこんなことも言っています。

「緊急避妊薬の市販化反対の意見に対するコメント」
「とあるフェミニストの緊急避妊薬(ノルレボ)の市販薬化反対論」
「緊急避妊薬の市販化でだれが得をするか?そんなの自明だけど」


 
「だれが得をするのか」と言えば、それは望まない妊娠を
みずからの判断で避けられる女性にほかならないですよ。
とくに男性や他者の意向に関係なく、
女性が自分の意志だけで判断できることが大きいです。
それだけ女性が性の自己決定権を持てるようになるということです。



「みみず」は緊急避妊薬が市販薬化されると、
避妊に協力しなくなる男性が増えると、しきりに主張します。
むしろそうした女性のからだを平然と傷つけられる
男性がいるからこそ、男性の意志と無関係に
女性が自分の意志だけで望まない妊娠を避けられることが
必要になってくると言えます。



「みみず」は「男が変わるのがさきだ」とも主張します。
こうした考えかたのほうが、女性が望まない妊娠を避けるためには
いつまでも男性の配慮が必要であり、女性の性の決定権を
男性にゆだね続けることになると、わたしは思います。


権利意識というのは、他者は信用できないという前提のもと、
どんな人でも自分の力で自身を守れるようにするためにあります。
いまは信用できても、将来どんな状況の変化によって、
信用できなくなるかわからないからです。

権利保障はどんな善人でも変わりうるという可能性を、
念頭に置く必要があります。
それゆえ男性がいつ信用できなくなってもいいよう、
女性がみずからの意志だけで、性の自己決定権を持てる手段を
確保する必要があることになります。

適切な妊娠や避妊の知識の普及は、もちろん必要なことです。
教育を普及させることで、信用できない人を減らすことはできます。
それでも状況の変化によって、信用できる人が信用できなくなる
可能性はつねにあるということです。


また「みみず」が想定しているような不心得者の男は、
いくら教育を徹底させても、女性の性やからだを
尊重するようにはならないだろうと、わたしは思います。

そういう男たちはどんな知識を教えられても、
男性と女性とのあいだに男性に優位な社会構造があるかぎり、
それを利用して利益を得ることをいとわないだろうからです。

女性の性の自己決定権を保証する必要があるのは、
教育の普及によって変わり得ない、そうした不心得者の男が
一部に残る可能性があるからでもあります。



付記:

7月5日エントリと7月12日エントリでお話しましたが、
緊急避妊が必要になる事態は、コンドームが破けたとか
はずれたとかいった、避妊の失敗が多くなっています。

「緊急避妊薬の市販薬化」
「緊急避妊薬の市販薬化(2)」

合意の上の性交でも、男が避妊に協力的であっても、
緊急避妊が必要になることはあるということです。
緊急避妊薬の市販薬化によって「だれが得をするのか」と言えば、
こうした避妊に失敗することがある人たちになるでしょう。

「服用は72時間以内、日本初の緊急避妊薬」

緊急避妊を必要とした理由

posted by たんぽぽ at 22:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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