2015年10月14日

toujyouka016.jpg 出生率上昇に家族のきずな?

丸川珠代少子化担当相が「出生率上昇の鍵ははにか?」と訊かれて、
「家族と地域の力」「きずなを取り戻すべき」と答えたのですよ。
10月11日のNHK日曜討論です。

「日曜討論「安倍改造内閣 経済・安保 閣僚に問う」」
「2015/10/11 NHK政府広報・日曜討論」


 
番組内容の書きお越しはないですが、番組を見た複数のかたが
同じ指摘をしているので、発言があったのはたしかでしょう。







10月13日エントリのつぎのくだりが、そのまま当てはまります。
「地域」というのも公的な社会保障や社会制度ではなく、
近所や町内の人たちに扶助を要求するというもので、
「家族」に対して求めているのと同様です。

社会福祉や社会制度を充実させるよりも、
家族の扶助を要求するという、例の発想が現れたのでしょう。
家族問題を政治や社会で支援や解決をすることと考えず、
「家庭のことは家庭で」とする、あの発想です。

こうした考えのなにが問題かは、家族や親族との関係が
かならずしも良好でない人が不利なことがあります。
また経済力のない家庭は教育にお金がかけられないことにより、
子どもが高等教育が受けられず、格差が固定されやすくなります。

格差解消のためには、教育の機会均等が大事だと指摘されています。
家庭の経済力に関係なく教育が受けられることで、
将来給与水準の高い高度な知識や技術を要する職に付くことが
できるようになって、貧困の再生産が防げるからです。

「格差が経済成長を阻害」
「格差是正のための対策」

「家庭のことは家庭で」というスタンスは、
経済力のない家庭の子どもが高等教育を受けにくくなり、
それによって給与水準の高い職に付けなくなり、
貧困の再生産を招くことになります。


「きずなを取り戻す」というのは、例の「信仰」になっている
「家族思想」の復活と強化のことでしょう。
彼らが「きずな」と呼んでいるのは、
ほかならぬ「信仰」が維持・定着された状態のことです。

「信仰としての家族思想」
「信仰としての家族思想(2)」
「家族のきずなとはなにか?」

かかる「家族思想」こそ、出生率回復の最大の妨げなのですが、
「信者」たちは「家族思想」の復活こそ出生率の回復に
結びつくと信じているので、とてもやっかいです。


丸川珠代の「家族と地域のきずな」発言には、
自分のあたまで考えた感じがしない、という意見もあります。
同様の印象を持ったかたも、結構いるのではないかと思います。


自民党や安倍政権で取り入ってもらうためには、
党や政権が理想としている右翼イデオロギーを
露骨に標榜するほうが有利、ということもあるのかもしれないです。
それで丸川珠代は取って付けたように、絵に描いたような
自民党的な家族イデオロギーを披露したと、わたしは想像します。

女性や三下の議員であれば、なおさら党や政権の理想とする
イデオロギーを標榜しようとするのではないかと思います。
自前の選挙基盤が弱ければ、そのようなイデオロギーを掲げる
支持基盤の歓心を買う必要もあるのでしょう。
高市早苗が右翼になったケースと、おそらく同様と思います。

「高市早苗がリベラルだった?」


posted by たんぽぽ at 23:10 | Comment(0) | TrackBack(1) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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