政権が発足して以来ずっと、男性よりも女性のほうが
ずっと支持が低いことについて書いた記事があります。
10月18日の日本経済新聞の「風見鶏」です。
今回はこれを見てみたいと思います。
「風見鶏 女心と安倍政権の行方」
「風見鶏 女心と安倍政権の行方」(全文)
図がしめすように、女性の支持率は男性の支持率より、
ほぼ一貫してずっと低くなっています。
記事で触れられている世論調査は、10月9日のものと思います。
これによると、以下のような数字です。
全体:
支持: 44%、不支持: 42%。
男性:
支持: 51%、不支持: 42%
女性:
支持: 38%、不支持: 42%
「不支持」はほとんど差がないのですが、
「支持」は男女で13ポイントも差があります。
8月16日エントリでも、安倍政権の支持率の
ジェンダー差についてお話したのでした。
このときは朝日と毎日の調査に触れましたが、
これらの調査でも、今回の日経の調査ほどではないですが、
女性のほうがずっと支持が低くなっていました。
「安倍政権・女性の不支持」
なぜ安倍政権はかくも女性から支持されないのか、
考えられる理由としては、上述のエントリでお話したように、
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1. 安倍政権が推進している諸政策(特定秘密保護法や
安全保障関連法制など)に社会不安を感じること
2. 「女性活用」や「女性が輝く」といったジェンダー政策に対する不信、
3. 現行憲法の否定に代表される、女性の権利が認められなかった
戦前への回帰を標榜している。
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といったことがあるだろうと思います。
安倍政権は家族やジェンダーに関しては因習・反動的であり、
こんな政権を女性が支持するのは、自分で自分の首を締めるようなものだ、
という認識がまがりなりにも、広がっているのかもしれないです。
戦前がいい、戦前がいい、とか言ってるひとの中には女性もいるようだけど、当時の女性には参政権すらなかったんだよ?戦後憲法が、ようやく男女同権を認めたんだ。戦前は、女が同じ権利を持つべきだという認識すらなかったんだ、それのどこがいいのかねぇ。
— TrinityNYC (@TrinityNYC) 2015, 8月 11
日経の記事を見ると、安倍政権を支持しない理由で
もっともジェンダー差が大きかったのが「自民党政権だから」です。
他方、男女で最も差があったのは「自民党中心の内閣だから」
(男性35%、女性46%)。女性有権者が安倍首相どころか、
自民党丸ごとにそっぽを向き始めたのだとすれば
小手先の対策で流れを反転させるのは容易ではないかもしれない。
じつは安倍政権でなくても、自民党政権である以上、
だれが首相をやっても因習・反動的で復古調な政権になる、
それが自民党の体質だと思われている、ということかもしれないです。
安倍政権が内閣改造で、女性閣僚を5人登用したことがありました。
このときだけは女性の支持率が跳ね上がって、
男性の支持率に結構近くなっています。
この女性閣僚たちは、女性差別発言をしたり、女性差別政策を
推進した実績があり、因習・反動的な家族・ジェンダー観を
かえって強化しかねないくらいの人たちです。
「女性閣僚の反女性発言」
「夫婦別姓と女性閣僚たち」
それでも女性の内閣支持率が上がったということは、
格好だけでも女性に開かれたように見せられれば、
女性の支持を取り付けられる程度にごまかしは効く、
ということではあると思います。