2015年11月09日

toujyouka016.jpg 3世代同居の住宅政策(2)

11月8日エントリの続き。
3世代同居の問題についてくわしく述べたエントリのお話です。

「今からドキドキが止まらない『3世代同居の住宅政策』が推進された後の日本」
(はてなブックマーク)

なぜむかしはあった3世代同居がいまは困難なのか、
家族がどう変化したかについても、エントリでは分析しています。
これを見ていると3世代同居は、多分に非現実的だと思います。

 
むかしといまとで家族がどう変化したのか、
そして3世代同居がむずかしくなった変化はなにがあるのか、
ひとつ目は平均寿命が長くなったことと高齢化社会です。
介護が必要な期間と人数がずっと増えているということです。

まず一番大きな要素は、平均寿命の伸びですね。
平均寿命は年々伸びていまして、それから分かるように、
介護を必要とする人も普通に増えていますから。
昔は、ぽっくり死んでくれたのが今はそうはならない。
3世代同居に必ず長期の介護が含まれるとういことです



ふたつ目は専業主婦が減ったことがあります。
欧米の民主主義国と比べると多いほうですが、
過去の日本と比べれば確実に減っています。)

その上で専業主婦の減少ですね。共働きの増加。
これで何が起きるかというと、今の3世代同居では、
家事育児をする人間が昔に比べて減るということです。
恐らく、定年退職をした60代の姑が家事・育児・介護を
一手に抱える可能性が高い。舅は家事・育児・介護の戦力にはなりませんし、
子世帯は共働きでそんな暇がない

「共稼ぎと専業主婦の推移」

共働き等世帯数の推移(万世帯)

ここには「失われた20年」によって、雇用や年収が不安定となり、
妻を専業主婦として養える男性が減ったことも大きいです。

「結婚相手に望む年収」
「未婚・晩婚化の意識調査」
「非婚・未婚と経済問題」

じつはむかしも、せっかく一流企業に就職したのに、
親の介護のために会社をやめて実家に帰るはめになり、
キャリアを棒に振った女性は、結構いたのだと思います。
女性にこのような犠牲を強いる社会通念が、
まがりなりにも弱くなったこともあるのでしょう。


家事・育児・介護の環境は今と昔で随分変わってきているわけです。
3世代同居だと大体6人〜8人ぐらいの家事が必要になるわけですが、
これを一人でやるのはまず無理です。その上で、介護が重なってきて、
乳幼児の世話となれば、その人は簡単に潰れます

この指摘を見て思ったのが、年齢階層別の睡眠時間のジェンダー差です。
日本は女性のほうが男性より睡眠時間が短い特異な国ですが、
40-50代は睡眠時間の短い女性が顕著になっています。
これは育児と介護が原因ではないかと考えられるわけです。

現時点でさえ育児と介護で女性の睡眠時間が
これくらい削られるなら、3世代同居になったときは、
どれだけ睡眠時間が削られることになるのかと思います。
「簡単に潰れます」はぜんぜん誇張ではないと思います。

「睡眠6時間未満の男女差」



エントリでは、それでも3世代同居が必要なかたのために、
どうやったらうまくいくかの方法も述べています。



そしてつぎの指摘です。
ポイントは2つ目です。共働きを進めようとしていて、3世代同居を進めるなら、
男性陣が家庭内で強力な戦力になる必要があります。

日本人男性はOECD加盟国の中では、とりわけ家事時間が短いです。
共働きで子どもがいても同様です。
エントリ作者が3世代同居の必要条件とする「男性の家事協力」を
クリアできるかたは、少ないのではないかと思います。

「家事をしない日本の男」
「家事をしない日本の男」




posted by たんぽぽ at 22:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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