3世代同居の問題についてくわしく述べたエントリのお話です。
「今からドキドキが止まらない『3世代同居の住宅政策』が推進された後の日本」
(はてなブックマーク)
なぜむかしはあった3世代同居がいまは困難なのか、
家族がどう変化したかについても、エントリでは分析しています。
これを見ていると3世代同居は、多分に非現実的だと思います。
むかしといまとで家族がどう変化したのか、
そして3世代同居がむずかしくなった変化はなにがあるのか、
ひとつ目は平均寿命が長くなったことと高齢化社会です。
介護が必要な期間と人数がずっと増えているということです。
まず一番大きな要素は、平均寿命の伸びですね。
平均寿命は年々伸びていまして、それから分かるように、
介護を必要とする人も普通に増えていますから。
昔は、ぽっくり死んでくれたのが今はそうはならない。
3世代同居に必ず長期の介護が含まれるとういことです
政治家がサザエさん一家を引き合いに出して「三世代同居の理想家族」みたいなこと言うのってアホじゃないかと思うよ。あれは昭和20、30年代の家族。80代以上の老親が存在しないの。高齢者率が増大した現代には当てはまらないのよ。
— kirikomio (@kirikomio) 2015, 10月 10
ふたつ目は専業主婦が減ったことがあります。
(欧米の民主主義国と比べると多いほうですが、
過去の日本と比べれば確実に減っています。)
その上で専業主婦の減少ですね。共働きの増加。
これで何が起きるかというと、今の3世代同居では、
家事育児をする人間が昔に比べて減るということです。
恐らく、定年退職をした60代の姑が家事・育児・介護を
一手に抱える可能性が高い。舅は家事・育児・介護の戦力にはなりませんし、
子世帯は共働きでそんな暇がない
「共稼ぎと専業主婦の推移」
ここには「失われた20年」によって、雇用や年収が不安定となり、
妻を専業主婦として養える男性が減ったことも大きいです。
「結婚相手に望む年収」
「未婚・晩婚化の意識調査」
「非婚・未婚と経済問題」
じつはむかしも、せっかく一流企業に就職したのに、
親の介護のために会社をやめて実家に帰るはめになり、
キャリアを棒に振った女性は、結構いたのだと思います。
女性にこのような犠牲を強いる社会通念が、
まがりなりにも弱くなったこともあるのでしょう。
家事・育児・介護の環境は今と昔で随分変わってきているわけです。
3世代同居だと大体6人〜8人ぐらいの家事が必要になるわけですが、
これを一人でやるのはまず無理です。その上で、介護が重なってきて、
乳幼児の世話となれば、その人は簡単に潰れます
この指摘を見て思ったのが、年齢階層別の睡眠時間のジェンダー差です。
日本は女性のほうが男性より睡眠時間が短い特異な国ですが、
40-50代は睡眠時間の短い女性が顕著になっています。
これは育児と介護が原因ではないかと考えられるわけです。
現時点でさえ育児と介護で女性の睡眠時間が
これくらい削られるなら、3世代同居になったときは、
どれだけ睡眠時間が削られることになるのかと思います。
「簡単に潰れます」はぜんぜん誇張ではないと思います。
「睡眠6時間未満の男女差」
結構いるぜ,6時間寝てない人。
40代後半女性では4人に1人。育児と介護のダブル負担が原因か。 pic.twitter.com/GVQv1WNPEr
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2015, 10月 24
エントリでは、それでも3世代同居が必要なかたのために、
どうやったらうまくいくかの方法も述べています。
金銭的な面、体力的な面で二世帯住宅を選択する可能性があるなら、結婚する前から、子どもが産まれる前から、義実家、実子、本人とで、そういう同居に関するスタンスを確認しあった方がいい。
何にも下打ち合わせしないで、いきなり同居しても上手くいくことなんかほとんどないですよ。
— 斗比主閲子 (@topisyu) 2015, 9月 25
同居する前には、お互い、どこまでエゴがぶつかり合うのか、それは調整できるのか、考えた方がいい。
無理そうなら、二世帯にしない。二世帯にしても可能な限りキッチンやお風呂や玄関を別にする。
相手が自分を分かってくれるとは期待しない。お互い違う人間だと認識してからが本番。
— 斗比主閲子 (@topisyu) 2015, 9月 25
そしてつぎの指摘です。
ポイントは2つ目です。共働きを進めようとしていて、3世代同居を進めるなら、
男性陣が家庭内で強力な戦力になる必要があります。
日本人男性はOECD加盟国の中では、とりわけ家事時間が短いです。
共働きで子どもがいても同様です。
エントリ作者が3世代同居の必要条件とする「男性の家事協力」を
クリアできるかたは、少ないのではないかと思います。
「家事をしない日本の男」
「家事をしない日本の男」
6歳以下の子がいる有業男女の平均家事時間。さっきのブログでは国内の地域比較だったが,世界的にみれば「井の中の蛙」。夫の家事分担率は,欧米では4割ほどが普通。 pic.twitter.com/pLZtRiGS0M
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014, 9月 28