かなり気合いの入った朝日新聞の記事の続き。
「民法改正運動・歴史と現在」
「夫婦別姓・世論調査の歴史」
「民法改正・民主党政権の閣僚」
つぎの旧姓の通称使用に関しての記事を見たいと思います。
おもに職業上の旧姓使用について書いています。
「旧姓使用、広がった一方で 「夫婦同姓」規定、最高裁憲法判断へ」
「旧姓使用、広がった一方で 「夫婦同姓」規定、最高裁憲法判断へ」(全文)(1/2)
「旧姓使用、広がった一方で 「夫婦同姓」規定、最高裁憲法判断へ」(全文)(2/2)
旧姓の通称使用がどこまで使えるかは、統一的扱いはなく、
職種や職場によって大きく差異があることになります。
それで職種ごとの状況が問題になることになります。
文部科学省によると、教員免許は原則として戸籍名。
ただ、日常の業務で戸籍名と旧姓のどちらを使うかは、
学校の裁量に任せられているという。
医師の場合、戸籍名で登録し、登録内容に変更があった場合は
申請が義務づけられている。厚生労働省の担当者によると、罰則がないため、
実際には免許を旧姓のまま持ち続けることも可能という。
弁護士の場合は結婚後、身分証明書に「職務上の氏名」として旧姓を登録できる。
日本弁護士連合会によると、成年後見人として法務局で
不動産登記をする場合などは、戸籍名が必要になるという。
こうして改めて見てみると、通称使用は意外とできないものだと思います。
一般的傾向としては、
1. 国家資格は多くの場合戸籍姓が求められる。といったところだと思います。
2. 改姓後の申告がなくても罰則がないので、
そのままにすることで通称使用できることはある。
3. 職場で通称使用できる場合も、省庁からの通称使用の
ガイドラインはなく、職場の裁量に任せられている
とくに資格に関係するところは、戸籍姓が要求されがちです。
mネットの調査では、11省庁の101の資格のうち
半分くらいで通称使用が認められないです。
都内のNPO法人「mネット・民法改正情報ネットワーク」は全省庁に対し、
所管している国家資格の登録で旧姓使用を認めているかを照会した。
11省庁の計101の資格について回答があり、今年4月1日現在で、
医師など約半数で旧姓使用が認められていなかったという。
民間企業で通称使用が認められるところは65%です。
1995年は18%ですから、ずっと理解は進んだと言えます。
通称使用を認めることにした理由は、男女雇用均等法の影響は、
「顧客との関係を継続しやすい」といった社員の便利さです。
理念と実用の両面からアプローチしているのは好ましいと言えます。
民間の調査期間「労務行政研究所」が、
上場企業など約3700社に行なった13年の調査では、
約65%の企業が旧姓使用を認めていると回答した。
1995年の調査では約18%。20年足らずの間に大きく伸びた。
通称使用に関してはお役人の世界より、
民間のほうが柔軟さゆえに対応できるということなのでしょう。
それでもまだ35%の企業では通称使用が認められない
ということですから、どこの企業でもというわけではなく、
通称使用できない限界はまだまだあると言えます。
例としてパスポートを挙げていますが、
民間であっても業務によっては国の資格が必要となると、
そこで戸籍姓を使わされることになり、
通称使用の限界に当たることはあることになります。
選択的夫婦別姓の反対論者(非共存派)は、
「通称使用でじゅうぶんだ」と言うことが多いですが、
このように通称使用は限界がまだまだあるということです。
「選択的夫婦別姓のまとめ(9)」
「通称使用の可能な範囲」
「通称使用はじゅうぶんでない」
通称使用の法制化の困難さは、11月3日エントリでも少し触れましたが、
1. ふたつの名前を使い分けることが負担な人の解決にならない。といったことがあるでしょう。
2. 通称使用は可能な場合が限られている。
3. 通称使用の法制化は技術的に困難。
4. 反対論者から実際に通称使用法案を提示されたことがない。
記事に出ている以下のことも、よく指摘されることだと思います。
二宮周平・立命館大教授(家族法)は「二つの名前を
管理するのは、企業にとってもコストもかかり、得策ではない。
民法を改正して、法律婚でも別姓を選べるようにすればいい」と話す。
mネット・民法改正情報ネットワークの坂本洋子理事長は
「旧姓使用が広がるほど逆に、戸籍名の意味がなくなっていく。
仕事や社会生活で使ってきた名前が公的に認められない
不合理さについて、考え直す時期に来ている」
付記:
記事の最後にはchange.orgの電子署名のことに触れています。
「選択的夫婦別姓の署名」
「選択的夫婦別姓の署名提出」