朝日新聞がまたかなり大きな記事を載せています。
翌日の11月5日で、こちらは訴訟の内容に重点を置いています。
「夫婦別姓、最高裁で問う 原告「結婚境に自分の存在失う」
結審、年内にも判決」
「夫婦別姓、最高裁で問う 原告「結婚境に自分の存在失う」
結審、年内にも判決」(全文)
「「旧姓で仕事、貫きたいが」 夫婦別姓、最高裁弁論」
「「旧姓で仕事、貫きたいが」 夫婦別姓、最高裁弁論」(全文)(1/2)
「「旧姓で仕事、貫きたいが」 夫婦別姓、最高裁弁論」(全文)(2/2)
記事は原告のプロフィールや思いを中心に取り上げ、
選択的夫婦別姓については、通称使用や事実婚に
不都合があることにも、少し触れています。
このあたりはよくご存知のお話だと思います。
記事でご確認なさるとよいでしょう。
上のひとつ目の表で、法改正しないのを違反とする原告側の理由に、
女子差別撤廃条約の不履行もあります。(「訴状概要」の4)
それが表で言及されていないのですよね。
スペースの都合で書かなかったのだと思いますが、
条約のことも触れてほしかったと思います。
「別姓訴訟・第1回口頭弁論」
訴状概要
東京地方裁判所 2011(平成23)年2月14日提訴 損害賠償等請求事件
請求の趣旨
請求の原因
1 原告5人は、いずれも、生来の姓を維持しつつ、
法律上の婚姻をすることを切に希望している
2 憲法13条違反
3 憲法24条違反
(1) 憲法24条1項「婚姻の自由」及び「夫婦の同等の権利」の違反
(2) 憲法24条2項の「個人の尊厳」と「両性の本質的平等」の違反
4 女性差別撤廃条約違反
5 婚姻届不受理処分の違法性
6 国の立法不作為の違法性
(1) 立法不作為と国家賠償法1条1項の違法性
(2) 民法750条の法改正の不作為の違法
7 損害
(1)原告らすべてについて、慰謝料請求 各100万円ずつ
(2)原告Kと原告Wについて、慰謝料請求 各50万円ずつ
3つ目の選択的夫婦別姓と再婚禁止期間をめぐる動きの表では、
2003年と2009年に国連女子差別撤廃委員会から、
勧告があったことについて記述があります。
法定で原告側の弁護士は、法律婚を選んだ夫婦の
約96%が夫の姓を選んでいることを挙げて、
「事実上、ほとんどの女性に改姓を強いる性差別だ」などと主張。
国は「夫か妻のどちらかを優越させるものではない」などと反論した。
96%のケースで女性が改姓しているのですから、
改姓するのはかならず女性と決まっているようなものです。
男女で非対称な社会構造があると言わざるをえないです。
ここに差別はないとは、とても言えないでしょう。
これは現在の民法を制定するプロセスにも現れています。
「男女どちらの名字でも選べるけれど夫婦同姓」としておけば、
GHQに対しては「男女平等だ」と言えて、
現実には社会通念を利用してほぼかならず
女性に改姓させられると考えたのでした。
「現行法は男女どちらの姓も選べるから平等?」
最初に戦後の新民法を起草した人たちの
このもくろみは当たって、現在でも男性が改姓するケースは
きわめてまれな特例という状況は続いています。
名字をどうするかで夫婦で意見対立する場合、
男性は「夫婦同姓にしたい」、女性は「改姓したくない」
というケースがいちばん多いです。
それなら男性が改姓して妻の名字になれば
双方の希望がかなって解決するはずなのですよね。
ところがたいていの男性はこの案がお気に召さないのでした。
彼らにとっての「夫婦同姓にしたい」は、
「自分が改姓してもよい」という意味ではないということです。
「改姓させたい男の子たち」
これも「改姓するのは女」という社会構造があること、
男性の非改姓権は自明であり、「夫婦同姓にしたい」と言えば、
必然的に女性が改姓することになると思い込んでいる
ということをしめしていると思います。
「名前か結婚かどちらかあきらめなければいけないのか。
女性の活躍を望むなら、制度を変えていくべきだ」
立命館大の二宮周平教授(家族法)は「事実婚の人たちは、
婚姻の自由を奪われている。個人の意志を無視して、
姓を変える民法の規定は、改正が必要だ」と指摘する。
いくら夫婦どちらの名字が選べると言っても、
どちらかがかならず改姓しないと、婚姻が成立しないです。
そして改姓を余儀なくされるのは、上述のようにほとんど女性です。
現行法ではほとんどの場合において女性が「名前か結婚か
どちらかあきらめなければいけない」のですから、
これは婚姻の成立のために憲法24条で定めた
「両性の合意」以外の条件を要求することになり、
両性の合意「のみ」とは言えないでしょう。