朝日新聞が11月7-8日に世論調査を行なっています。
安倍政権の支持を始め、政治全般について訊いているのですが、
その中に選択的夫婦別姓についての質問もあります。
「「選択的夫婦別姓」賛成52%・反対34% 朝日新聞社世論調査」
「朝日新聞社世論調査 質問と回答」
「「選択的夫婦別姓」賛成52%・反対34% 本社世論調査」(全文)
「本社世論調査 質問と回答」(全文)
いまさら世論調査なんてという気持ちも、わたしにはあるのですが、
せっかくなので見てみることにします。
(新聞社がわりと簡単にできる話題作りは世論調査だと思うし。)
選択的夫婦別姓に関する質問が3つあります。
最高裁大法廷の弁論を意識して、大きく扱ったのでしょう。
(消費税や辺野古移転より大きな扱いです。)
夫婦別姓をはじめ家族の問題が大きく政治の話題として
取り上げられることがめったにないですから、
これは力を入れてくれたと思います。
ひとつ目の選択的夫婦別姓を認めるか、という直接的な質問で、
賛成が52%、反対が34%となっています。
賛成のほうがずっと多いのは好ましいことだと思います。
過去の朝日の調査を見ると、1999年は賛成39%、反対53%で
数値がほぼ逆転していたのでした。
2009年と2013年はほぼ賛否がほぼ同数です。
1994年は賛成58%、反対34%で賛成がずっと多いのですが、
今回の調査でこの水準近くまで戻ったと言えそうです。
「夫婦別姓・世論調査の歴史」
それでもまだ3分の1くらいの人が反対なのですね。
ほぼ1年前の2014年10月の毎日新聞の世論調査では、
賛成が52%、反対が40%だったのでした。
調査方法や質問内容が同じではないのでしょうが、
このときよりは反対が後退したことになりそうです。
「毎日・夫婦別姓の世論調査」
ふたつ目で「夫婦別姓だと家族の結びつきが弱まるか」という、
反対論者(非共存派)の好きな問題について訊いています。
そう思うが35%、そう思わないが57%で、
夫婦別姓と家族の結びつきは無関係と考えるかたが
ずっと多いのも、好ましいことだと思います。
それでも35%の人が、夫婦別姓で家族の結びつきが弱まると
思っているのであり、ここに「家族思想信仰」の根強さを感じさせます。
3つ目で「自分は夫婦別姓にしたいか」を訊いています。
夫婦同姓が78%、夫婦別姓が11%で、こんなものだろうという結果です。
別姓希望者を直接調べてくれたのはよかったと思います。
内閣府の世論調査でもこの質問はあるのですが、
選択的夫婦別姓に賛成のかたにだけ訊いています。
それで選択的夫婦別姓の賛成の割合と、
そのうち自分が別姓を希望する割合をかけて、
全体の別姓希望者の数としています。
2013年の内閣府の世論調査では、選択的夫婦別姓に賛成が35.5%、
そのうち夫婦別姓を希望するかたが23.5%です。
両方をかけて8.34%が別姓希望ということになります。
内閣府の調査の数値より、朝日の調査のほうが多いです。
内閣府の調査のように、回答者が高齢層に
偏っていないからかもしれないです。
「図17 選択的夫婦別氏制度」
「図18 別姓の希望」
(ちなみに「夫婦別姓にしたいか」という訊きかたに、
わたしは引っかかるものもなくもないです。
実際には「改姓したくないか」であって、
別姓にすることが直接の目的ではないからです。)
年代別の賛否の割合を見てみると、20-50代までは、
賛成が6割くらい、反対が25-30%程度でほぼ一定です。
若年層だけでなく、中高年層も賛成がずっと多いということです。
いまの40代や50代は20年前に、選択的夫婦別姓が
話題になったころの結婚当事者も多いと思います。
そういうかたたちが賛成しているのかもしれないです。
60代でも賛成47%で、反対の41%より多いです。
60代というのは、世間的には時代の変化を
避けたがることが多い高齢層に入るのでしょうが、
それでも賛成のほうが多くなるところまで来ているわけです。
選択的夫婦別姓や民法改正を、政治や社会が
ずっと放置してきた様子が伺えます。
謝辞:
11月6日エントリのコメント欄で、朝日新聞の世論調査の記事を
教えてくださった魚さま、ありがとうございます。