「1億総活躍国民会議」なるものが設けられているのですよ。
タレントで戸板女子短期大学の客員教授である菊池桃子氏が、
この会議の民間議員のひとりに選ばれたのでした。
10月29日が最初の会合で、このとき菊池桃子氏は
「1億総活躍」というネーミングよりも
「ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)」と
表現してはどうかと提案したのでした。
そのあたりが記事になってちょっと話題になっています。
「菊池桃子氏が名前に「ダメ出し」 1億総活躍国民会議初会合
「ソーシャル・インクルージョンと言い換えては?」 記者団とのやり取り詳報」
(はてなブックマーク)
言い方として『ソーシャル・インクルージョン』という言葉を
使うのはどうでしょうかと申し上げました。
ご存じのとおり、ソーシャル・インクルージョンというのは、
社会の中から排除する者をつくらない、
全ての人々に活躍の機会があるという言葉でございまして、
「一億総活躍」は「名前がわかりづらい」と、
菊池桃子氏は言っているのですが、政府の会合なので
遠慮しているのではないかという気もします。
戦中の「一億総火の玉」や高度経済成長期の
「一億総中流」のように、同調圧力や集団主義を連想して、
活躍できない人を排除する思想を連想させることを
気にしているのではないかと、わたしは想像します。
菊池桃子氏はふたり目の子にハンディキャップがあって、
就学や学習機会を見つけるのも苦労したお話をしています。
それゆえ「ソーシャル・エクスクルージョン(社会的排除)」に
敏感になっていることはあるでしょう。
さらに女性の労働力率の年齢依存を示したときに現れる
「M字曲線」についてもお話したとあります。
「女性の就業曲線を表すM字カーブなのですけれども、
結婚、また出産を機に離職してしまう女性が子育てを一段落した段階で
もう一度仕事を始めるというときに、何が壁になっていて、
何が課題になっているのかということと、
そして、何か有効な手立てはないかということを、
いくつかお話しさせていただきました」
「M字曲線」があるのは日本と韓国だけ、ということにも
触れてくださったかな?と思います。
「女性の労働力人口・国際比較」
女性の労働力人口率カーブ。
子育て期の谷は,日韓の特徴。 pic.twitter.com/bphIjfHHN2
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2015, 10月 11
出産・育児で休業した女性がふたたびキャリアに
復帰するにあたって、学習機会が持てるようにするのがよい
ということを提言しています。
子育てがひと段落してから大学院へ入学した
自身の体験を踏まえているということです。
これはわたしも良い考えだと思います。
政府や行政が大学や大学院などの教育機関への入学を、
積極的に支援してもよいだろうと思います。
「女性のM字カーブ、もう一度働くことに向いていくときにですね、
学習機会を持つことがとても有効だといわれていまして、
それを言葉を換えるなら、Uターンシップとか、
リターンシップと言いますが、私が大学院に行きましたことで、
教育機関にもう一度戻るという1つの実例としても
注目をいただいたのではないかなあというふうに、
声をかけていただいたときは思いました」
M字カーブを描く理由は、女性にとって育児と仕事の
両立が難しいという、社会構造的な原因が本来です。
わたしとしては、こちらにも言及が欲しかったと思います。
(言及はあったけれど、記事に載らなかっただけかな?)
でないと女性の就労問題も、社会構造とは関係ない、
女性個人の意識の問題と理解されることになりかねないからです。
(自民党・安倍政権はとくにその傾向が強いです。)
つぎの記事に菊池桃子さんの詳しいプロフィールが紹介されています。
ふたり目の子どもに障害があって、小学校の入学に苦労したこと、
当時の芸能界にはワーキングマザーの理解が乏しかったこと、
そして大学院に入学して、キャリア形成についての
研究を始めたことなどが出ています。
「Woman私らしく:短大で客員教授務める菊池桃子さん
勉強も仕事も「アクションを」」
向かい風は、時に前に進む原動力になる。
男も女も、健常者でも障がいがあっても、能力を引き出せる
教育や社会が必要なんじゃないか−−。そんな思いが膨らんだ。
「勉強をし直して、自らの体験や考えを発信できたらな」。
40歳を迎えた2008年、法政大大学院を受験。
翌年から、雇用政策や若者のキャリア形成について研究を始めた。
学べるのは、仕事や家事が一段落した夜や土曜日。
3年がかりで修士号を取得し、母校の教壇に立った。
付記:
菊池桃子氏を「1億総活躍国民会議」の民間議員に採用の記事。
「菊池桃子氏を「1億総活躍国民会議」の民間議員に抜擢」
「タレントの菊池桃子氏や増田寛也元総務相ら28人がメンバーに」
「1億総活躍国民会議が29日に初会合 民間から菊池桃子さんら参加」