発言者は東京都練馬区の小泉純二区議(自民党)です。
区議会本会議の一般質問で出たものです。
「渋谷区条例「日本の価値観否定」 練馬区議が議会で批判」
(はてなブックマーク)
同性カップルに「結婚に相当する関係」の証明書を発行する
渋谷区の条例を「男らしさや女らしさ、男女による結婚を尊重し祝福する
日本社会の価値観を否定するもの」と批判した。
小泉氏は「婚姻は次の世代を産み育てること」
「同性カップルから子どもは生まれない」などと発言。
「憲法に『結婚は両性の合意のみに基づく』とあり、
(渋谷区は)条例制定権を逸脱している」とも述べた。
条例が学校教育で「性的少数者に対する理解を深める」と定めることも
「教育への介入で、子どもの価値観を混乱させかねない」と批判した。
「男らしさや女らしさ、男女による結婚を尊重し祝福する
日本社会の価値観」なんてどこにあるのかと思います。
例によって「家族思想信仰」の影響でしょうか?
この「信仰」であれば日本固有のものと言えそうです。
「信仰としての家族思想」
「信仰としての家族思想(2)」
小泉純二区議の結婚観は、共産主義国のそれに近いと思います。
中国では国家によって家族が管理されていますが、
その基礎理念は次のようなものです。
「婚姻は次の世代を産み育てること」なんて、まったく同じです。
そして中国では同性結婚は禁止されているわけです。
「なぜボーイズラブを取り締まるのか?同性愛は“国民の義務”違反―中国(高橋)」
「男がいて女がいて、そして国家がある」と考える。
つまり夫婦は「国家に対し、次世代を担う子を産み、育てる」
という義務を負っている(1)。同性愛者など子を産むことができない
カップル義務を履行するできないため容認されない。
「婚姻は次の世代を産み育てること」であり
「同性カップルから子どもは生まれない」というのなら、
不妊症や高齢のかたも結婚してはならないのかと思います。
「同性結婚と生物の目的?(2)」
前にも「同性結婚は子孫を残せないから反対」と
言っていた人がいましたが、この人によると不妊症のかたでも
異性愛であれば結婚が認められるようで、
子どもができなくても結婚できると、一生懸命弁護していたのでした。
中国では不妊症のかたの結婚も禁止されています。
この点に関しては中国は一貫性を持っているし
徹底しているとも言えるでしょう。
この社会主義家族観は中国婚姻法第10条に象徴的だ。
「医学上結婚するべきではない病気に罹り、結婚後も治癒しない場合」には
婚姻は無効だと定めている。この病気とは性的不能などを指す。
「子を残せない者は結婚するな」という国家の意思が体現されているわけだ。
「憲法に『結婚は両性の合意のみに基づく』とあり、
(渋谷区は)条例制定権を逸脱している」というのも、
日本の反同性愛の人が持ち出す「定番」だと思います。
憲法24条の規定ですが、この条文は同性結婚を禁止するものではなく、
同性結婚のことはなにも語ってないと解釈されるものです。
「同性婚と憲法の関係」
憲法24条は、男女が婚姻する場合に、男性の一方的意思のみでは結婚できないこと、
親族会の同意等は不要であることを確認したもの、と理解されています。
憲法24条は同性婚については何も述べていないというのが通説的な理解で、
たいていの教科書・コンメンタール類でも、同性婚禁止条項だという解説はありません。
だいたい憲法というのは国民を守るために、
国家に課せられる義務を定めたものです。
国民に禁止を課すような性質のものではないことくらい、
わかりそうなものだと言えます。
最後は「条例が学校教育で「性的少数者に対する
理解を深める」と定めることも「教育への介入で、
子どもの価値観を混乱させかねない」と批判」などとあります。
価値観が混乱しないよう適切な教育をするのが学校の役目です。
子どもでも適切に教えれば、ちゃんと理解するのでだいじょうぶですよ。
余計な偏見のある大人よりはずっと理解すると思います。
「価値観が混乱しかねない」とお考えでしたら、
子どもの理解力を軽視していると思います。
この区議は自分が同性愛に対して偏見があるので、
子どもも同じ偏見を持つはずとでも思っているのかもしれないです。
この区議が「教育への介入」と考えているのも、
ご自分が信奉する「家族思想信仰」を教えるのが
教育の役目だと思っているのかもしれないです。
それで「異教徒」への理解を要求されることを
なにかの干渉のように思っているのでしょう。
この発想は今年の3月に渋谷のパートナーシップ条例に
先立ってばらまかれた、反同性愛のビラにも似ていると思います。
こんなことを書いていたのでした。
「渋谷で反同性愛のビラ」
学校で教師が「異性だけではなく同性を好きになっても
良いことですよ」と教えろというのでしょうか。
そのような学校教育に不安を抱く保護者が多く存在することは間違いありません。
小泉純二区議の反同性愛論は「お約束」というもので、
すでにさんざん議論されつくしたものばかりです。
それでもこれだけたくさん並んでいると、
特筆したくなってくるというものです。