「リベラル」の「受け皿」となる政党を作ろう、
そのために必用な政策を提示しよう、という研究会です。
「リベラル懇話会設立のお知らせ
〜民主党幹部を交えた政策研究会の実施と意見書作成〜」
(はてなブックマーク)
人文社会系の研究者有志により、現在の与党に対して不満・不安を覚える
市民にとっての有効な「受け皿」となりうるリベラル政党、
健全な議会制民主主義が貫徹されるうえで与党に対する
明確な対抗軸を提示しうる野党のあり方を原理的・政策的に考察し、
実行可能性も重視した政治・政策パッケージを検討する研究会を設立いたしました
メンバーの分野は
経済学、法学、社会学、倫理学、教育学、ジェンダー研究、であり、あとのメンバーリストを見ると、
歴史学、地域研究、社会政策学の研究者、法曹、医師など
計38名(及び委員外参加6名)により構成
「ジェンダー・セクシュアリティ」「福祉・障がい」「経済」といった分科会があります。
「国際関係」「社会的排除・包摂」「歴史認識」
「世論動向」「教育・研究」「労働・雇用・少子化」
これらは潜在的な要求はありながら、「受け皿」となる
政党がなかなかなくて、不満が多かった分野だと思います。
そうした分野の「受け皿」となる政党を作ろう、
もしくはそうした分野向けの政策提言をしようという試みは、
大いに歓迎することだと言えます。
ふたつ目の特徴として、リベラルな政策実現のために、
経済成長を必要としていることがあります。
私たちは低成長をよしとしません。
「厚みのある社会」のためには、健全な経済成長が必要です。
健全な経済成長をベースとしながら、経済学者アマルティア・センが
提唱する人びとの「潜在能力」の自由と平等を実現し、
「機会の平等vs結果の平等」という硬直した図式を乗り越え、
これはとても大事なことだと思います。
「こちらは正しいことを言っているのに、結局カネかよ?」という
ある種のリベラルに見られる、経済軽視の姿勢とは対称的だからです。
「経済政策と支持の確保」
「金融緩和アレルギーの系譜」
どんな政治的立場であっても、政策実現のためには
財源が必要であり、それには経済成長が必要であることは、
わたしも何度かお話していることです。
「経済と雇用・自民の対立軸」
「左派こそ金融緩和を重視」
民主党がこうした考えを、どこまで理解するかという問題があるのでしょう。
民主党は政権党時代にも、金融緩和を行おうとしたけれど、
幹部の反対にあって頓挫した「実績」があります。
「金融安定化政策と民主党」
2014年の衆院選のときも、マニフェストを見る限り、
とても金融安定化政策や経済成長に理解があったと言えないし、
その後も同様で、効果的な経済政策を掲げていない状況です。
岡田克也代表自身、財政再建主義で消費税を10%に
引き上げることが必要だと、考えているくらいです。
「経済政策と民主党の支持」
「民主党代表選・経済政策」
こうした民主党の状況を考えると、微妙なところではあると思います。
3つ目の特徴は、極端な立場に立たず、実際に政策を
実行することを目的とした、課題解決志向であるということです。
ふたつ目の経済成長の重視も、政策実行という
課題解決志向のためでもある、ということだと思います。
私たちは過度に美化された「理念」(それが右派的なものであれ
左派的なものであれ)に屈従しません。
私たちは「自由」「平等」「博愛」といった近代的な「理念」を
否定するのではなく、それが現実的に貫徹されうるための条件を模索します。
実効性なき理念は空虚であり、理念なき「現実主義」は根なし草です。
その両極をたんに「パッチワーク」するのではなく、
理論的・実証的に整合的な形で追求していくことが私たちの課題です
さらにこのような課題解決志向を、
確固たる理念の上に打ち立てるという特徴があります。
基礎理念がいい加減な状態での現実主義は、
きっと失敗すると考えているということです。
(むかしわたしが関わった、ネットの選択的夫婦別姓の
市民団体が失敗したことを、わたしは思い出しました。
彼女たちは、男女平等とか「保守派」が嫌がる「理念」は
表に出さないようにして、ひたすら改姓の不都合とか
現実問題だけを訴えろ、という戦略を取ったのでした。
それはまさに「理念なき「現実主義」」で失敗したということです。)
4つ目の特徴は多様性と共存です。
これはとくに説明は必要のないところだと思います。
リベラルが差をつけるところは、多様性だという指摘もあります。
「経済成長と寛容・多様性」
多様かつ他様な人びとの「生き方の幅」を、
社会的連帯の維持とともに考察していく――それが私たちの考える
「厚みのある社会」「社会的包摂」の基本構想です。
5つ目の特徴は実証主義です。
わたしがこのブログでよく示している国際比較と
同じような資料も、きっと出てくることと思います。
これも現実の課題解決のために必要なスタンスということです。
実証的なデータや国際比較をもとにして、実行可能性を重視した政策を検討します。
6つ目の特徴は、「リベラルの受け皿を作りたい」であって、
「民主党を支持する」ということではないということです。
私たちは現在存在している「民主党」という特定政党を支持するものではありません。
有志が共有した「ありうべきリベラル」の像に向けて
民主党に呼びかけていくものの、会のメンバーは民主党支持者とは限りません。
自民や公明、共産、社民、維新などの支持者もいるでしょう。
しかし「もしこんなリベラル政党があれば…」という想定のもと、
空虚でも根なし草でもないリベラルのあり方を提言し、
その「可能なるリベラル」の実現に向けて自らの知的資源を提供する。
リベラルの「受け皿」となりうる政党としては、
現状では政党の規模や立ち位置から言って、民主党がもっとも
可能性が高く現実的である、という判断だと思います。
よくありがちな、既存政党をどこも信用できないと決め込んで、
新党を作る議論ばかりする人たちとは違うということです。
これもずっと現実的な判断だと思います。
民主党に固執するつもりはないのでしょうから、
民主党の側としては、この懇話会にはじゅうぶん配慮しないと、
せっかくのシンクタンクが逃げていくことになりかねないでしょう。
最後の【リベラル懇話会委員】のリストを見ると、
ネットで見知った名前がたくさんあるのですよね。
このかたたちだからなのかと、いろいろと納得するところです。
(まともに見える、あるいは自分の不満を
代弁していると見えるのは、ふだん見慣れている意見だから、
ということもあるのかもしれないです。)
現在公表されている「リベラル懇話会」の布陣:
ジェンダー・セクシュアリティ 6
社会的排除・包摂 6
福祉・障がい 4
歴史認識 4
教育・研究 3
国際関係 2
経済 1
労働・雇用・少子化 1
総論 3
計30名
https://t.co/rrUk4wSFU3
— 穏やかなジャカルタ、J. kT (@jindongKT) 2015, 12月 8
分科会ごとの人数がアンバランスなようですが、
これは匿名参加のかたや、複数の分科会に参加するかたもいるからです。
とくに偏りがあるということはないみたいです。
逆にいえば、ちゃんと経済軸をリベラル側も持てば、今の基地外政権など恐れるに足らないハズなんですけどね。(と信じたい)
>眉を顰める面が多々あっても「経済を重視しています」
「一億総活躍社会」も、あれでも「経済重視」と思われて、
支持率が回復するくらいですからね。
>ちゃんと経済軸をリベラル側も持てば、
安倍政権の経済政策の対案も、たくさん議論されていますからね。
それを検討すればいいのだと思います。
「「リフレ派」の言うことだから信用できない」なんて言っていないで。
http://taraxacum.seesaa.net/article/429934743.html
民主党が消費税増税から脱却できないのは、
政権時代に推進したので、いまさら方向転換できない、
ということもあるのでしょう。自己批判にもなりますし。