2015年12月18日

toujyouka016.jpg 夫婦別姓訴訟違憲判決ならず

12月16日に判決が出た、選択的夫婦別姓訴訟の最高裁大法廷回付ですが、
はなはだ残念なことに、現行の同性強制に合憲判決が出たのでした。
選択的夫婦別姓を認めない現行法に、違憲判決は出なかったのでした。

「別姓認めない規定 合憲の判断」
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「「夫婦別姓の禁止」は合憲と最高裁判断 女性裁判官3人は違憲」
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「夫婦同姓規定は「合憲」、原告の請求退ける 最高裁判決」
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「夫婦別姓 認めない規定は合憲 最高裁初判断」
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「夫婦同姓は合憲 再婚禁止100日超、違憲 民法規定、最高裁初判断」
「夫婦同姓「合憲」、女性の再婚禁止期間「違憲」 最高裁
「規定自体に不平等なし」「国会で論ぜられるべき」など言及」

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判決で夫婦同姓強制を合憲とした理由は、
選択的夫婦別姓の反対派(非共存派)が
さんざん使い古してきた「理由」と同じというお粗末なものです。
(ほかに同姓強制を正当化する「理由」なんてないでしょうけれど。)

判決は、「結婚の際に氏の変更を強制されない自由」は
憲法で保障された人格権にあたるとは言えないと指摘。
夫婦が同じ名字を名乗ることは社会に定着しており、
「家族の呼称を一つに定めることは合理性が認められる」と判断した。

各種の世論調査が示しているように、
非改姓結婚をはっきりと望むかただけで10-20%程度いるし、
「見えない犠牲」まで入れたら、もっと多いことが予想されます。
どこが「夫婦が同じ名字を名乗ることは社会に定着」なのかと思います。

典型的な「家族思想信仰」の「理屈」ということなのでしょう。
「信仰」は「社会に定着」している、だから「信仰」にもとづいた
「教義」を押し付けることは、「合理性が認められる」ということです。


改姓した側が「アイデンティティーの喪失感を受ける場合が多い」としつつも、
旧姓の通称使用が広まることにより一定程度緩和される、と指摘。
夫婦同姓が憲法の定める「個人の尊厳」や「男女平等」に照らし、
合理性を欠くとは認められないと結論づけた。

「通称使用でじゅうぶんだ」も非共存派の定番の主張です。
通称使用が使える場面なんて、多分に限られています。
仮に使えたとしてもふたつの名前を使う手間から、
アイデンティティの問題が解決しないことがあります。
「一定程度緩和される」なんて、ずいぶんナイーブな認識だと思います。

「旧姓の通称使用の状況」
「通称使用の可能な範囲」
「選択的夫婦別姓のまとめ(9)」



きわめつけはこれでしょう。
その上で判決は「今の制度は社会の受け止め方によるところが少なくなく、
制度のあり方は国会で論じられ、判断されるべきだ」と指摘しました

補助ブログの11月3日エントリでご紹介した予想が的中です。
「立法対応」やら「国民的議論」やらが、
ぜんぜん信用できないから、司法判断に仰ごうというのに、
その信用できない「国会での議論」にゆだねるということです。

「民法改正・最高裁判決の懸念」



法制審議会の答弁から19年経過していることや、
いままで国会で民法改正法案がどう扱われたかなんて、
最高裁判所も知っているだろうと思います。
「国会で論じられ、判断されるべき」という判決は
実質的に「選択的夫婦別姓はもうずっと認めなくてよい」ことに
お墨付きを与えたと考えてよいだろうと思います。


11月2日エントリでご紹介した東京新聞の記事にある、
mネットの坂本洋子理事長のコメントをまた引用します。

「相続で婚外子を差別していた民法の規定も、最高裁が問題解決を
立法に委ね続けた結果、差別撤廃は遅れてしまった」と指摘。

弁論を前に「同じ轍を踏まないよう、夫婦に同姓を強制する
現行民法の規定は憲法違反であると明確に判断し、人権政策を軽視する
立法府を厳しくただすことを期待している」と話している

最高裁判所は見事に「同じ轍を踏」んでくれたということです。
かくして「人権政策を軽視する立法府」を追認し、
差別撤廃の遅れに寄与したことになるわけです。


今年の2月に大法廷回付の情報が入ったとき、
わたしはこんな予想と懸念を示したのでした。

「民法改正を大法廷回付」

したがって同姓強制の現行民法に対して、
違憲判決が出ない可能性もあると、わたしは思っています。
そうなった場合、選択的夫婦別姓が認められるのは、
いよいよ遠い未来になってしまい(反対派は自信を持って反対するでしょうし、
ふたたび大法廷回付されるには15-20年くらいさきになりそうですし)、
かえって悲観的な状況となるので、戦々恐々としてもいます。

予想は残念ながら当たったし、懸念も当たるのではないか、
すなわち半永久的に日本では選択的夫婦別姓が
実現しないのではないか、という予感もしています。



posted by たんぽぽ at 23:03 | Comment(4) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
とにもかくにも、今回の判決は、日本会議と最高裁に関係がある、などと勘ぐられても仕方がないような判決ですね。↓みたいな。

http://hbol.jp/72280
Posted by 魚 at 2015年12月19日 03:48
このエントリにコメントありがとうございます。

>http://hbol.jp/72280

ご紹介ありがとうございます。
最高裁の判決に日本会議がどこまで直接的に
影響するのかとは思いますが、最高裁長官が日本会議の幹部になる
というのは見過ごせないですね。

ここは要注目ですね。
あながちあり得ないお話ではないと思います。
========
このままいけば、今回の大法廷を代表した寺田長官が、
退官後、日本会議会長に収まるのも不自然ではない勢いだ。
========
Posted by たんぽぽ at 2015年12月19日 23:30
たんぽぽさんのブログ復活に一安心しました。

Posted by 遠い人 at 2015年12月20日 18:57
遠い人さま、おひさしぶりです。
こちらにコメントありがとうございます。

わたしのつたないブログを心配してくださり、とても嬉しく思います。

気分的にはまだすっかり調子が回復したとは言えないのですが、
気を取り直して、更新を続けたいと思います。
Posted by たんぽぽ at 2015年12月20日 23:11
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