はなはだ残念なことに、現行の同性強制に合憲判決が出たのでした。
選択的夫婦別姓を認めない現行法に、違憲判決は出なかったのでした。
「別姓認めない規定 合憲の判断」
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「「夫婦別姓の禁止」は合憲と最高裁判断 女性裁判官3人は違憲」
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「夫婦同姓規定は「合憲」、原告の請求退ける 最高裁判決」
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「夫婦別姓 認めない規定は合憲 最高裁初判断」
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「夫婦同姓は合憲 再婚禁止100日超、違憲 民法規定、最高裁初判断」
「夫婦同姓「合憲」、女性の再婚禁止期間「違憲」 最高裁
「規定自体に不平等なし」「国会で論ぜられるべき」など言及」
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ここから夫婦別姓の合憲判決を出した理由が読めます!
https://t.co/tQQlcxGWC8
— 山崎望 (@nozomuyama) 2015, 12月 16
判決で夫婦同姓強制を合憲とした理由は、
選択的夫婦別姓の反対派(非共存派)が
さんざん使い古してきた「理由」と同じというお粗末なものです。
(ほかに同姓強制を正当化する「理由」なんてないでしょうけれど。)
判決は、「結婚の際に氏の変更を強制されない自由」は
憲法で保障された人格権にあたるとは言えないと指摘。
夫婦が同じ名字を名乗ることは社会に定着しており、
「家族の呼称を一つに定めることは合理性が認められる」と判断した。
各種の世論調査が示しているように、
非改姓結婚をはっきりと望むかただけで10-20%程度いるし、
「見えない犠牲」まで入れたら、もっと多いことが予想されます。
どこが「夫婦が同じ名字を名乗ることは社会に定着」なのかと思います。
典型的な「家族思想信仰」の「理屈」ということなのでしょう。
「信仰」は「社会に定着」している、だから「信仰」にもとづいた
「教義」を押し付けることは、「合理性が認められる」ということです。
改姓した側が「アイデンティティーの喪失感を受ける場合が多い」としつつも、
旧姓の通称使用が広まることにより一定程度緩和される、と指摘。
夫婦同姓が憲法の定める「個人の尊厳」や「男女平等」に照らし、
合理性を欠くとは認められないと結論づけた。
「通称使用でじゅうぶんだ」も非共存派の定番の主張です。
通称使用が使える場面なんて、多分に限られています。
仮に使えたとしてもふたつの名前を使う手間から、
アイデンティティの問題が解決しないことがあります。
「一定程度緩和される」なんて、ずいぶんナイーブな認識だと思います。
「旧姓の通称使用の状況」
「通称使用の可能な範囲」
「選択的夫婦別姓のまとめ(9)」
旧姓の通称使用で緩和されてませんって。より煩雑で手間増えて、で、アイデンティティが分裂して来て、苦痛が増してるんだってば。
— 弁護士篠田奈保子 (@yorisoibengoshi) 2015, 12月 16
「通称使用で十分」というのなら、戸籍・各種免許書・保険証・パスポート・銀行口座・お墓など、諸々のが旧姓で使える様になってから言えって思うよ……
— 銀猫 (@Gin_Neko_13) 2015, 12月 16
きわめつけはこれでしょう。
その上で判決は「今の制度は社会の受け止め方によるところが少なくなく、
制度のあり方は国会で論じられ、判断されるべきだ」と指摘しました
補助ブログの11月3日エントリでご紹介した予想が的中です。
「立法対応」やら「国民的議論」やらが、
ぜんぜん信用できないから、司法判断に仰ごうというのに、
その信用できない「国会での議論」にゆだねるということです。
「民法改正・最高裁判決の懸念」
おそらく「現状の不利益の可能性は理解できる。ゆえに、違憲とまでは言えないが立法対応における国民的議論に期待する(キリ 」でお茶を濁すのではないか。
— くろぴよ (@tkonai) 2015, 10月 29
法制審議会の答弁から19年経過していることや、
いままで国会で民法改正法案がどう扱われたかなんて、
最高裁判所も知っているだろうと思います。
「国会で論じられ、判断されるべき」という判決は
実質的に「選択的夫婦別姓はもうずっと認めなくてよい」ことに
お墨付きを与えたと考えてよいだろうと思います。
11月2日エントリでご紹介した東京新聞の記事にある、
mネットの坂本洋子理事長のコメントをまた引用します。
「相続で婚外子を差別していた民法の規定も、最高裁が問題解決を
立法に委ね続けた結果、差別撤廃は遅れてしまった」と指摘。
弁論を前に「同じ轍を踏まないよう、夫婦に同姓を強制する
現行民法の規定は憲法違反であると明確に判断し、人権政策を軽視する
立法府を厳しくただすことを期待している」と話している
最高裁判所は見事に「同じ轍を踏」んでくれたということです。
かくして「人権政策を軽視する立法府」を追認し、
差別撤廃の遅れに寄与したことになるわけです。
今年の2月に大法廷回付の情報が入ったとき、
わたしはこんな予想と懸念を示したのでした。
「民法改正を大法廷回付」
したがって同姓強制の現行民法に対して、
違憲判決が出ない可能性もあると、わたしは思っています。
そうなった場合、選択的夫婦別姓が認められるのは、
いよいよ遠い未来になってしまい(反対派は自信を持って反対するでしょうし、
ふたたび大法廷回付されるには15-20年くらいさきになりそうですし)、
かえって悲観的な状況となるので、戦々恐々としてもいます。
予想は残念ながら当たったし、懸念も当たるのではないか、
すなわち半永久的に日本では選択的夫婦別姓が
実現しないのではないか、という予感もしています。
これで一切民法は変わらないことになったのか。名字を夫婦とも変えずに婚姻届は出すことはできなくなったのか。憲法24条、両性の合意によって「のみ」じゃないじゃん。一方の改姓がなければ成り立たないのだから。
— Akiko Orita (@oritako) 2015, 12月 16
http://hbol.jp/72280
>http://hbol.jp/72280
ご紹介ありがとうございます。
最高裁の判決に日本会議がどこまで直接的に
影響するのかとは思いますが、最高裁長官が日本会議の幹部になる
というのは見過ごせないですね。
ここは要注目ですね。
あながちあり得ないお話ではないと思います。
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このままいけば、今回の大法廷を代表した寺田長官が、
退官後、日本会議会長に収まるのも不自然ではない勢いだ。
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こちらにコメントありがとうございます。
わたしのつたないブログを心配してくださり、とても嬉しく思います。
気分的にはまだすっかり調子が回復したとは言えないのですが、
気を取り直して、更新を続けたいと思います。