2015年12月24日

toujyouka016.jpg 自民・同姓強制合憲を評価

12月16日に出た同姓強制は合憲という最高裁判決に対して、
自民党はやはり「評価」をしています。
想定の範囲内です。わたしは期待していなかったです。

「民主、夫婦同姓の合憲「現実乖離」=最高裁判決、自民は評価」

自民党が後生大事にしている家族イデオロギーである
「家族思想信仰」の強要を続けることが、最高裁から認められたのですから、
彼らにしてはこんなに喜ばしいことはないのでしょう。

 
岩城光英法相は記者会見で「国の主張が基本的に認められた」と判決を歓迎。
離婚女性の再婚禁止期間を6カ月とした規定を
違憲とした判決に関しては、是正を急ぐ考えを示した。
自民党の稲田朋美政調会長は党本部で記者団に
「極めて妥当だ。いずれの判決も合理的だ」との認識を表明した。

自民党は合憲判決に安住して、選択的夫婦別姓法案を
認めるなんて、半永久的にしないだろうと思います。
記事を見るかぎり、お茶にごしの定番の決まり文句である、
「議論が必要だ」も言わなくなったようです。
「現状維持でよい、もう議論は不要だ」ということなのでしょう。

コメントしている稲田朋美は言わずもがなでしょう。
岩城光英は補助ブログで取り上げたことがあります
2010年の研究会で、選択的夫婦別姓に関する本性を語っていて、
こちこちの反対派(非共存派)であることがわかります。

「夫婦別姓法制化の闘論」
「岩城光英の民法改正の見解」


「女性活用」とか「女性が輝く」とかさかんに言っていて、
女性閣僚をたくさん登用していたときは、
「選択的夫婦別姓は議論が必要だ」という主旨のことを言っていました。
見え透いているとはいえ、今後はこの程度の
「配慮」もしなくなる可能性があります。

「夫婦別姓と女性閣僚たち」

安倍政権の「女性活用」が本物かどうかは、
選択的夫婦別姓を認めることが試金石だという意見があったのでした。
安倍政権の「女性活用」なんて、もともとたいして
信用できなかった
ですが、ここへきてあらためて
信用できないことが確認できたことになりそうです。

「安倍政権・女性活用の不信」



公明党のコメント「丁寧な議論を与党の中でやっていきたい」に、
「もの言えばくちびる寒し」感がただよっています。

公明党の魚住裕一郎参院会長は国会内で記者団に
「最高裁の判断を重く受け止めたい。再婚禁止期間の違憲と
された部分は早急に法改正が必要だ」と主張。
夫婦別姓の是非に関しては「家族観に大きく左右されるものだから、
丁寧な議論を与党の中でやっていきたい」と述べるにとどめた。

公明党はこれまでずっと自民党との連立政権にありながら、
選択的夫婦別姓の実現に向けて、自民党に協議を働きかけたことはないです。
また独自に議員立法で発議したこともないです。
民主党政権時代に下野していたときも発議はなかったのでした。

いままでもこんな調子ですから、同性強制の合憲判決で
自信を持った自民党相手に、まともに協議をするなんてとても思えないです。
記事でも「述べるにとどめた」と書いていて、
その様子は記者に伝わった感はありそうです。


公明党も自民党の反対派(非共存派)が
どんな人たちかくらいじゅうぶん承知でしょう。
「与党の中」で「丁寧な議論」なんてありえないことくらい、
わかりきっているだろうと思います。

かつて自民党内でそれなりにさかんに選択的夫婦別姓の
議論がなされたころ、非共存派議員たちは、
法務部会という党内会議で、ヒステリックにいきり立って
選択的夫婦別姓法案の提出を潰すことに明け暮れていました。

「自民党法務部会の実態」

「オレの眼の黒いうちは、別姓など絶対に許さない」発言が
象徴的ですが、非共存派議員というのは、
彼らの宗教的ドグマを振り回す以外のことが
まったく考えらない頑迷きわまりない人たちで、
いかなる理屈も事実も聞き入れられず、
「丁寧な議論」なんてはなからできない人たちです。

「反対派と議論すると...」


民主党はさすがに最高裁判決に批判的です。
そして選択的夫婦別姓法案の提出をする意向も示しています。

民主党の岡田克也代表は水戸市内で記者団に、別姓を認めない民法規定を
「固定観念に束縛された古い考え方だ」と批判。
「合憲だから何もしなくていいということではない」と語り、
選択的夫婦別姓を認める民法改正案を国会に再提出する意向を示した。

それはもちろん結構なのですが、国会の与党の議席を考えれば、
民主党が民法改正法案を提出したところで、
否決されるのは陽を見るより明らかだと思います。

法制審議会の1996年以来、自民党が政権与党だったあいだは
ずっとそうで、実は審議さえろくにされることがなく、
毎年野党から提出するだけで放置されていました。
民主党が今後、選択的夫婦別姓法案を提出したところで、
同じように審議されず放置されるだけなのが眼に見えています。


民主党は衆議院でこれまでにない多数の議席を得て
政権につきながら、与党時代は民法改正法案を
一度も提出したことがないという、ていたらくを達成したのでした。
政権内の反対派(非共存派)に阻まれたことに加え、
国民からの反発を恐れて引っ込めたことが原因です。

「亀井静香が反対」
「CEDAWフォローアップ(2)」

そこへもってきて、衆議院で100議席に満たない勢力まで
落ち込んでから、こんなことを言われても、とわたしは思います。
こちらも「もの言えばくちびる寒し」感がただよいます。

posted by たんぽぽ at 22:52 | Comment(2) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
民主党については、女性の候補募集の条件が、
(1)安全保障法制廃止(2)原発再稼働反対(3)選択的夫婦別姓に賛成
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201512/CK2015122402000124.html

らしいですね。
だから何がかわるのか、というと、今のままでは何ともなりませんけど。。。。

野田聖子氏は「ボールを預かった」といちおうおっしゃってはいるようですが、自分の推薦人を20人集めることすら難しい状況ですし、今の自民の丸山法務部会長はいちおう夫婦別姓賛成な方なわけですが、多勢に無勢ですよね。。

なんとか、「臓器移植法案同様、党議拘束なしで審議入り」というのを目指すしかないのだろうと思いますが、そこへの道筋が、今の政権がある限りはかなり厳しいですね。。

現状、選択別姓賛成議員に定期的にそのようなことをお願いするメールをお送りし続けるくらいしかできることはなさそうですが、何か打開策をさぐりたいものです。。。
Posted by 魚 at 2015年12月25日 02:27
このエントリにコメントありがとうございます。

>(1)安全保障法制廃止(2)原発再稼働反対(3)選択的夫婦別姓に賛成
>http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201512/CK2015122402000124.html

記事のご紹介ありがとうございます。
野党共闘のために、市民団体が無所属の候補者を
準備しているというのは、ほかの記事で見ていたのですが、
これもそうした動きのうちのひとつなのでしょう。

条件として「選択的夫婦別姓に賛成」が
入っているというのは、とても評価できると思います。
夫婦別姓なんて、女性議員擁立の動きであっても、
取りざたされることはあまりなく、二の次三の次になりがちだからです。

選択的夫婦別姓が安全保障法制、原子力政策と同じウエイトで
並べられるというのは、いままでほとんどなかったことだと思います。
それだけ重視しているということなのでしょう。


でも当選の可能性はあまり高くないのでしょうね。
1人区なんて全滅する可能性が高いと思います。
それでもこうした動きがあることは大事なことだと思います。


>野田聖子氏は「ボールを預かった」といちおうおっしゃっては

自民党内の推進派がもっと活発だったときさえ、
まったくと言っていいほど無力でしたからね。
「もの言えばくちびる寒し」だと思います。

>「臓器移植法案同様、党議拘束なしで審議入り」というのを

いままでだって審議入りしなかったのですから、
現状はなおさらそこにいたる可能性は皆無同然でしょうね。

>何か打開策をさぐりたいものです。。。

さしあたって手詰まりですよね。
Posted by たんぽぽ at 2015年12月26日 09:27
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