2016年01月02日

mar0006.gif民主党・経済社会政策原案

民主党が今年の参院選で掲げる経済・社会政策の原案を
昨年末に発表しているので、これを見てみたいと思います。

「民主、格差是正が柱 参院選「一億総活躍」に対抗」
「民主、格差是正が柱 参院選「一億総活躍」に対抗」(1/2)(全文)
「民主、格差是正が柱 参院選「一億総活躍」に対抗」(2/2)(全文)

「共生社会創造本部の「中間取りまとめ」を次の内閣で了承」
「共生社会創造本部 中間取りまとめ
「能力の発揮を阻む“格差の壁”を打ち破り、支え合う力を育む」」


 
経済社会政策で違いをを打ち出す

全体的には格差是正、再分配に重点が置かれています。
ここで挙げられている諸政策は、潜在的に必要としているかたも多く、
支持できる政策も多いことと思います。
記事を見ても民主党の関係者たちはEUを視察するなど、
労働問題や家族・ジェンダー問題について、よく研究していると思います。

若者には、安倍政権が消極的な同一労働同一賃金を
盛り込み、非正規雇用の待遇を高める。
欧州連合(EU)を参考に、実労働時間に上限を設けたり、
終業から始業まで一定の休息時間を確保したりする規制も掲げる。

「同一労働同一賃金」を掲げて、非正規雇用の待遇改善を
図ろうとしていることは、とても重要だと思います。
非正規雇用の年収は正規雇用と比べて圧倒的に低水準であり、
格差固定の大きな原因となっているからです。

「男女&雇用形態別年収分布」

「同一労働同一賃金」による非正規雇用の待遇改善は、
雇用の質を高めることにも結びつきます。
また賃金上昇は、資産インフレを防いで格差が拡大するのを
防ぐとともに、消費を活性化して経済成長を促進するという
ピケティの指摘もあるのでした。

「金融緩和・雇用の質と賃金」


ほかの政策も「格差是正」という観点から
「子ども」「女性」「若年層」の支援に重点が置かれます。
特に「個人の努力では乗り越えられない『格差の壁』が
社会の基礎や経済の潜在力を弱める」と問題視し、
これに直面する「子供」「若者」「女性」の支援に重点を置く。
2人目以降の児童扶養手当や無利子の奨学金を増やし教育機会を確保。
ひとり親家庭に保育機能のある住宅を整備する。

特筆したいのは、数値目標として貧困率を挙げたことです。
「相対的貧困率」「ひとり親世帯の貧困率」のどちらも
OECD平均まで引き下げることを目標としています。
達成時期までは示されないのですが、いままで顧みられることが
あまりなかった貧困率に注目したことは大きいと思います。

政策目標は格差を象徴する指標として相対的貧困率を掲げた。
2012年は16.1%と先進国でも高い水準にあり、
経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の11%(10年)に下げるのを目標とする。


気になる消費税増税ですが、給付付き税額控除の導入を検討しています。
現在政府自民党と公明党が検討している軽減税率よりは、
利権が交錯することがなく、低所得者に対象を絞りやすいなど、
ずっと優れたシステムと言えます。

12年に自民、公明両党と合意した消費税を10%にする
社会保障と税の一体改革は必要との立場だが、
増税時の低所得層対策は軽減税率に反対。
消費税の払い戻す給付付き税額控除の導入を明記する。

民主党は財政再建の観点から消費税増税を主張し続けていて、
相変わらず「社会保障と税の一体改革」にこだわっていはいます。
ただでさえ課税のしすぎで、消費が落ち込んで
デフレの元になっているのにと思っていたのですが、
まったく無頓着ではないとは言えます。

「日本ではピケティでr>gより大事なこと」

(これでじゅうぶんかという疑問はあります。
前に公務員の給与2割削減消費税の10%への増税をセットで行なう
公約を発表して、大変なことになりそうだと思いましたが。)


不安が残るのはやはり財源の確保です。
資産や高所得者に対する課税でまかなおうとしています。
ピケティも資産に直接課税しろと主張していますし、
格差の解消には一定の効果的な作用があると言えます。

所得や資産課税の累進性を高めるなど高所得者の
負担増で財源を確保する方針を打ち出す。
具体策として金融課税で上場株の運用益への課税を
現在の税率20%から25%に引き上げる。

財源の確保という観点では、高所得者に対する課税強化では
絶対数が少ないからですが、ふじゅうぶんと言えます。
じゅうぶんな財源を確保するには、経済成長で分配の「原資」を
作りだす必要があることになります。

「左派こそ金融緩和を重視」
「経済と雇用・自民の対立軸」

右下の囲み記事で経済学者のコメントが載せられています。
「金持ちいじめ」という表現は引っかかりますが、
このあたりについて同じ記事で言及があるのはよかったです。

全体としては財源の裏づけが十分といえない。
かつての民主党政権でも問題になったが、なお抽象的だ。
(裕福層の課税強化は)ポピュリズム的な傾向がある。
金持ちいじめをしても税収増は限定的で、
課税ベースを広げていくことが大事だ。
アベノミクスは分配の前に分配の原資を作ることからやっている。


この調子だとせっかく再分配のための優れた政策を
いくつも掲げておきながら、財源不足で実行できないという、
第一次民主党政権と同じような事態になる恐れがあります。

「公平な分配から成長」というのが、
民主党の基本的なスタンスなのですよね。
「たくさんあるところから取ってくる」という
ある意味わかりやすいスタンスではあると思います。

長妻氏は「成果の果実をトリクルダウン(浸透)させるのが
安倍政権なら、公正な分配から成長を実げんするのが民主党だ」とする。

そうではなくて「作り出して公平に分け与える」、
すなわち分配のための「原資」を先に成長によって作りだし、
その「原資」の公平な分配で、格差を是正するスタンスでないと
うまくいかないだろうということです。

posted by たんぽぽ at 22:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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