子宮頸がんワクチンの副反応だと思われているものが、
実はワクチンとの関係には科学的・医学的に根拠がないというお話です。
「あの激しいけいれんは本当に子宮頸がんワクチンの副反応なのか」
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「子宮頸がんワクチン薬害説にサイエンスはあるか」
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「子宮頸がんワクチンのせいだと苦しむ少女たちをどう救うのか」
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副反応と思われているものは、そのほとんどが心因性の症状です。
メディアで子宮頸がんワクチンの「副反応」の報道を見て
不安になっていたかたは、これで安心してよいのではないかと思います。
よく言われている子宮頸がんワクチンの副反応は、
けいれんや漢字の書き取りや計算ができないなど認知症だと思います。
ところが検査すると脳波に異常がなく、症状が奇妙だったりします。
記事では、
−−−−
毎日3時にけいれんが起きるという子に
時計のない病室に入院させたら、けいれんを起こさなくなった。
階段を登れなくなった子と、立ち話している時に
肩を押しても倒れて転落したりしない。
漢字が書けなくなった子も、ひらがなでなら言いたいことが書ける。
計算ができなくなったとされた子は、時間をかけたら全問正解した。
−−−−
といった例が挙げられています。
「ワクチンのせいで漢字が書けなくなってしまったという子が
よく紹介されますが、あの子はきれいなひらがなで
言いたいことを全部書けていますよね。
言語や文字をつかさどる脳領域の障害はあっても、
漢字をつかさどる領域だけの障害が起きるというのは極めて稀です」
と小児神経を専門とする医師は言う。
ワクチンの副反応が出たとされる子は、なぜか勉学や部活動、
習い事で活躍していて、将来を期待された子ばかりです。
そして同様の症状が現れた子は、子宮頸がんワクチンを
導入する前からたくさんいた(!)のでした。
多くの小児科医や精神科医によれば、子宮頸がんワクチンが導入される前から
この年齢のこういう症状の子供たちはいくらでも診ていた。
DSM-Wが出されたのは94年。06年に子宮頸がんワクチンが登場する
10年以上前から、このような症状の患者はいたことがわかる。
こうしたことから、ワクチンの薬害と言われているものは、
その多くは実は心因性の症状だと考えられます。
将来が期待される「できる子」に顕著なのは、
周囲からの期待がストレスになるのだと思われます。
「偽発作(Pseudo seizure)というんですが、
心の葛藤やストレスが引き金となって手足をばたつかせたり
全身をくねらせたりと、けいれんのような動きを見せる患者さんがいます。
私が勤めていた頃も“けいれんは伝染する”と言いましたよ。
決して詐病というわけではないのですが、一人がけいれんすると
同じ部屋の子供は真似して皆似たような動きをする。
隣の部屋でも同じことが起きて、部屋ごとに別々のけいれんが流行するんです」。
ワクチン導入以前に、神経疾患や重症の心身障害の患者が
全国から集まる専門病院に勤務していた小児科医は言った。
こうした症状が、大人にとってトラブルの少ない
いわゆる「いい子」に多く見られるのは、決して不思議なことではない。
背景には「過剰適応」と呼ばれる精神状態がある。
期待に応えたいという思いや認められたいという思いが強く、
自分の欲求や不満を適切に言葉で表現することが出来ない少女たちは
自覚のあるなしにかかわらず、身体でそれを表現することもあるのだ。
HPV ワクチン後の「奇妙な体の動き」は HPV ワクチン特有のものではありません。インフルエンザワクチン接種後に「ジストニア」と診断された少女は、隠し撮りカメラの前では普通に歩いていますが、撮影後は横歩きを始めました。 https://t.co/fi9tZTk6yt
— 久住 英二 (@KusumiEiji) 2015, 12月 10
@kot2407 HPVワクチン接種後に起きた、とされる不随意運動や痙攣様の症状は、全てがジェニングスさんのように心因性のものでしょう。ただし、診断が難しいです。また、770万人が HPV ワクチン接種を受けたのに、CRPS や FM 様症状の頻度は増加していませんよね。
— 久住 英二 (@KusumiEiji) 2015, 12月 11
「中編」の記事では、子宮頸がんワクチンの副反応の
科学的根拠とされることについて触れています。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5525?page=1
HANSとは、14年に入ってから西岡氏らが提唱している
「子宮頸がんワクチン関連神経免疫異常症候群」の略称で、
子宮頸がんワクチンを接種した人に起きたと“考えられる”免疫異常を指す。
痛みや疲労感、神経・精神症状、月経異常や自律神経障害、
髄液異常などありとあらゆる症状を引き起こしており、
今の検査技術では証明できないが脳内で起きている
異常と“しか考えられない”病態だという。
すなわち、HANSという「免疫異常」の存在も仮説なら、
その機序も仮説。実体のあるものが何もないのだ。
世界の医学界が科学的エビデンスに基づく医療を原則とする中、
この議論を鵜呑みにする専門家は少ない。
しかも、HANSの定義は「接種から経過した時間は問わない」とされ、
接種後3年以上も経って症状が出てきた患者なども含めるのでさらに戸惑う。
あまりこの分野にくわしくないかたでも、一定の科学リテラシーが
あるかたでしたら、これだでかなり怪しく感じると思います。
「今の検査技術では証明できない」とか、
「接種から経過した時間は問わない」とかでは、
いくらでも「ワクチンのせい」ということにできそうです。
そもそもが「検査ではわからないがワクチンが
原因にちがいない」と言われれば「反証不可能」です。
反証不可能な仮説を主張するのは、にせ科学にありがちな特徴です。
反証する側は「ワクチンが原因でない」ことを
証明せざるをえなくなりますが、記事中にもあるように
「ないことの証明」は「悪魔の証明」で不可能なことです。
子宮系がんワクチンの副反応を主張する医師は、
学会や世界保健機構(WHO)に対する、強い不信感があります。
既存の権威を信用せず、組織ぐるみでの巨大な陰謀がある
などと主張するのは、にせ科学の信奉者にありがちなことです。
筆者が「先生はなぜ小児科学会などもっと多くの専門家が集まる
学会でお話しされないのですか」と尋ねると「小児科学会、
アレは日本最大のワクチン利益団体だからね」と笑顔で答えた。
HANSを提唱する西岡久寿樹・一般社団法人日本線維筋痛症学会理事長
(東京医科大学医学総合研究所)は筆者の取材に対してこう言った。
「WHOは何もわかってない。僕も知り合いがいるから
聞いてみたけど、ちゃんとやってない」
子宮系がんワクチンの副反応説(HANS)は、
すっかり否定されない仮説ではまだあるようですし、
「にせ科学」と決まったとまでは言えないのだろうと思います。
それでもHANSの論理展開や、存在を主張する人たちには、
にせ科学と同様の特徴はいくつか見られると思います。