2016年01月10日

toujyouka016.jpg 収入のジェンダー格差

12月30日エントリと、補助ブログの1月7日エントリでお話した
ジェンダーギャップ指数について、もっと詳しく見ていくことにします。

「男女平等指数2015年」
「男女平等指数2015年」

朝日新聞の記事では、日本のジェンダー格差が目立つ
「経済」分野と「政治」分野について、考察があります。
ここでは「経済」分野について見てみたいと思います。

「日本の男女格差、少し改善して101位…G7では最下位」
(はてなブックマーク)
「男女格差 日本ちょっと改善101位 G7で最下位 賃金の差は拡大」(全文)(1/2)
「男女格差 日本ちょっと改善101位 G7で最下位 賃金の差は拡大」(全文)(2/2)

 
「経済」分野のうち「同一賃金同一労働」は、2014年は0.68(53位)でしたが、
2015年は0.65(69位)と格差が広がり、順位もかなり下げています。

一方、「職場」分野は前年よりわずかに悪化した。
女性の労働参加率は上がったが、男女の賃金格差が広がったためだ。
WEFが行なった意識調査で、日本の経営者は、同種の仕事についている
男女の賃金格差が拡大していると考えている、
という結果が出たことを反映している。
働く女性は増えているが、待遇を低く抑えられた
非正社員が多いことが背景にありそうだ。

GGG2015, country score card, Japan

朝日の記事でも言及がありますが、かかる年収格差の原因は、
女性を非正規雇用に回しているからにほかならないでしょう。
「女性の労働参加率は上がったが」ともあって、
ジェンダーギャップ指数の数値では高まっているのですが、
非正規雇用が多いということです。

「M字カーブ緩和の原因」


2014年1月20日の日本経済新聞は、総務省の労働力調査で
女性の労働力率が上がったことを報道していましたが、
非正規に回されていることは言及がないみたいです。
ある意味のんきな調査・報道だと思います。


非正規雇用がコスト削減のための、安く使える労働力と
されていることは、言わずもがなだと思います。

「非正規、8割の企業が採用=最多理由は「賃金節約」−厚労省調査」
2014年10月1日時点で非正規社員を雇用する民間事業所の
割合は79.6%となり、10年の前回調査に比べ1.9ポイント上昇した。
非正規の雇用理由を複数回答で聞いたところ「賃金の節約」が
38.8%で最多となったが、前回調査よりは5.0ポイント低下した。

非正規雇用という労働市場の周辺部は、女性、若者という
社会のアウトサイダーが回されていることも言わずもがなです。

「日本はどうして賃金が上がらないのか」
終身雇用制と年功序列が完全にはなくならず、
さらに正規雇用と非正規雇用が固定化したため、
低賃金の労働力が生産性の低い分野に流入した。
日本は若者や女性を虐げ、外国人労働者を排除してきたため、
時代の変化とグローバル化に完全に乗り遅れてしまった。


つぎのようにジェンダー別では女性のほうがずっと年収が少なく、
雇用形態別では非正規のほうがずっと年収が少ないです。
正規どうしの比較でも女性は男性に比べてずっと低年収ですが、
女性に非正規雇用が多いのですから、年収のジェンダー格差は
なおさら大きくなることになります。

「男女&雇用形態別年収分布」


「男女別正規・非正規雇用の数」



東京大の大沢真理教授は、「アベノミクスは女性の活躍をうたっているが、
男女格差の解消には向かっていないことが報告書からわかる」と指摘する。

金融緩和による景気回復によって雇用が増えているといっても、
実際に増えているのは非正規雇用であること、
そして女性が非正規に回されていることは、指摘されていました。

「金融緩和と非正規雇用」
「女性の非正規は見えない?」
「女性の非正規は問題ない?」

2012→2014 世代別非正規雇用の増減

アベノミクスは「正規雇用は原則男性のもの、
女性は非正規雇用を埋める安くてていの良い労働力」という
従来の構造へ回帰しているだけと言えます。
デフレのときは正規雇用にもなれなかった女性を、
非正規で採用したことが「金融緩和によって増やした雇用」
ということになるのでしょう。

安倍政権が本当に「女性の活躍」を重視していて、
ジェンダー格差を解消するべきと考えているならば、
この機会に男女問わず能力によって、
新しく作り出された正規雇用への採用をして
ジェンダー格差を減らす機会にするだろうと思います。

前にツイッターで、金融緩和による雇用創出が議論になったとき、
アベノミクスの支持者たちが「非正規雇用が増えたのは、
団塊の世代が退職して正規雇用の減りかたが大きいからで、
全体としては雇用が増えている」と言って、
女性が非正規に回されることを無視したり、
問題ないこととして済ませていたのを思い出します。


>当たった予想

2010年のジェンダーギャップ指数のエントリの
コメント欄でつぎのコメントをいただいています。
まさに現状は男性から先に正規雇用されて賃金格差が広がったのであり、
この予想は当たったことになります。

「男女平等指数2010年」
>男女の賃金格差が、若干解消された
正規雇用が減り、男性も非正規雇用が増えたせいでしょうね。
景気対策や雇用対策が奏功して正規雇用が増えたら
もちろん男性から先に正規雇用されることになり
賃金格差が再び増える予感。

(2010年10月21日 09:02)

さらに2015年1月10日のエントリで、
上記の予想は当たりそうだと、わたしは書いていました。
「アベノミクス」が女性を非正規に回すことで
失業率を下げていることは、すでに指摘されていました。
なるべくしてなったのが現状であり、
「当たりそうだ」が「当たった」になったということです。

「金融緩和と非正規雇用」
この予感は当たるかもしれないですね。
男性からさきに正規雇用というのは、すでにそうなっているようです。
非正規との賃金格差も変わらないでしょうし、
ふたたびそれが男女間の格差となって現れるでしょう。

2014年3月7日エントリでは、わたしは次のように書いていました。
本当に「結局こういうこと」になってきたようです。

「M字カーブ緩和の原因」
女性を非正規雇用に押しやっていては、女性の労働力率を
じゅうぶん引き出したとは言えないですし、女性の労働する権利
という観点からも、好ましくないのももちろんです。
安倍政権は「女性の活用」とか、かけ声だけは張り切っていますが、
彼らの「女性の活用」は、結局こういうことになるのかもしれないですね。



付記:

2014年の「同一賃金同一労働」は2013年と比べて
ジェンダー格差が縮まったのでした。
ここで述べたような、女性を低賃金の非正規に回す構造は
1年前もあったので、なぜ縮んだのかはわからないです。
別の要因が非正規に回されて賃金水準を引き下げられるのを
上回ったということでしょうか。

「収入のジェンダー格差」

わたしのエントリでは、賃金のジェンダー格差が縮まったと言っても、
まだまだ大きいことを示すデータをたくさん並べていました。

posted by たんぽぽ at 20:57 | Comment(1) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
秋山訓子(朝日新聞編集委員)
92年に入社。同期の女性は3割でした。
98年政治部異動。60人中で女性2人。今は6人です。

92年の時点で女性3割入社。
政治部は98年60人のうち女性は2人で今は3倍の6人だそうですから、さすが朝日新聞ですね。
Posted by あっとまーく at 2016年01月12日 20:53
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