研究者たちによるシンクタンク「リベラル懇話会」について、
詳しい記事があるのでご紹介します。
「民主党への政策提言を行う「押しかけシンクタンク」が発足〜学者たちが記者会見」
(はてなブックマーク)
記事を見るとこの懇話会は、かなり経済重視であることがわかります。
「はじめに経済ありき」と言っていいかもしれないです。
政策実現のために経済成長は必要と考えていて、
ある種の「リベラル」に見られる「反経済成長」や「緊縮財政主義」とは
対峙する立場であることは、前にお話した通りです。
「経済と雇用・自民の対立軸」
「左派こそ金融緩和を重視」
北田教授:そもそもは、私が言い出しっぺとなり、
「緊縮ではない左派、政策に重点を置いたリベラル」というものが
どうやったら実現できるのかということについて、
明治学院大学の稲葉振一郎教授と龍谷大学の岸政彦准教授、
東京大学の清水晶子准教授の3人に声をかけて、話し始めたことがきっかけだった。
一方で、与党に反対する一部の論者による「経済成長はあきらめて、
低成長の成熟社会で仲良くやっていこう」という見解にも疑問を唱えた。
前に「この懇話会は経済のことをじゅうぶん考えていない」と
disる人たちが若干見られましたが、このような批判は
やはりぜんぜん当たらないということです。
「リベラル懇話会をdisる人」
これも前にお話しましたが、むしろ心配なのは、
民主党がこうした経済政策をどこまで理解するかだと思います。
「金融安定化政策と民主党」
「経済政策と民主党の支持」
「民主党代表選・経済政策」
経済政策のスタンスに関するもうひとつの特徴として、
「過剰な市場原理の導入」の「否定」、
すなわち「新自由主義」に対する「距離感」があります。
北田教授は「本来、左派やリベラルというのは、
豊かで幸福な社会を作るためにあるもの」と述べ、
「いま世界を席巻しているアメリカ型の新自由主義に対抗できる
距離感は必要だと感じるが、経済成長を真っ向から否定するわけではない」と、
自分たちの目指す方向性を示した。
リベラル懇話会が考える政策提言は、過剰な市場原理の導入は否定しつつ、
経済成長そのものは重視するという。
人々の自由と選択の多様性のある暮らしを重んじた
「実行可能な政策」を提言するのが我々の役目だと話し、
それこそが「厚みのある社会」の実現につながると強調した。
これもとくに意義はないと思います。
新自由主義の破綻はあちこちで指摘されていることだと思います。
市場を野放しに近い状態にすることで経済が健全に
機能するというのが「幻想」だというのは、
これを読むくらいのかたは了解しているでしょう。
経済の健全化のために政府は積極的に手を入れる必要があるわけです。
20世紀後半は、規制緩和を導入しすぎるなど、
市場を野放しに近い状態に近づけたため、格差が広がることになったという、
ピケティの指摘も付け加えておきます。
家族・ジェンダー政策についても分科会もありましたし、
ウエイトがかなり置かれているというのは、わたしを含めて
このブログをご覧のかたにとって、支持できることだと思います。
少子化問題については「従来のような根性論や精神論で語るのではなく、
国際比較や実証データに基づいた現状を直視したうえで、
効果のある対策とは何かを見つけていく」と語り、
さまざまな領域にまたがった社会の問題を横断的に検討し、
「厚みのある社会」という観点のもとで
実現可能な解決策を考えるのが私たちの会の趣旨だと話した
「根性論」「精神論」というのは、家族やジェンダーに
因習・反動的な人が好きな「産まない女が悪い」式の議論をはじめ、
ミギ寄りの人が好きな「婚活支援」とか、福祉を削って「家族」に
押し付ける政策のたぐいのことだと思います。
「国際比較や実証データに基づいた現状を直視」というのは、
わたしがこのブログでもよくやっているみたいなことだと思います。
こうしたスタンスにもとづく家族・ジェンダー政策は、
需要がありながらあまり「受け皿」がなかったことだと思います。
憲法24条の「改正」についての懸念も問題にしています。
自民党はかねてから、自分たちの「家族思想信仰」を
憲法で定めようとして模索を続けています。
安保法案が成立してしまったいま、今度は憲法24条、
いわゆる「家族政策」に関する憲法改正の動きが
出てくるのではないかという懸念がある。
そこで、一つの大きな軸として「労働」「少子化」「ジェンダー」に関する
問題に取り組むという構想は、最初から頭の中にあった。
「自民党・改憲の解説漫画(2)」
「参院選の争点は家族?」
「憲法24条の改正と家族」
「憲法24条と社会保障」
24条問題もときどき取りざたされるのですが、
あまり議論や活動が深まらないところだと思います。
ここに警戒を強く感じるかたも多いでしょうし、
24条問題の重視も「受け皿」が必要なところだと言えます。
一般に、家族やジェンダーに関する政策は、
日本会議による選択的夫婦別姓の反対に象徴されるように、
家族やジェンダーに関して因習・反動的な人たちのほうが、
自分たちの家族観を維持しようとして熱心だと思います。
「リベラル」な人は、むしろすみっこに押しやりやすい分野だと思います。
家族・ジェンダー問題の立ち遅れは、こうした「熱心さ」の違いも
反映しているのだろうと、わたしは思っています。
全体的な特徴として、政策どうしの連携を重視していることがあります。
社会問題はたがいに関連があるので、分野ごとに別個に考えない
ということであり、これはとくに説明は不要だろうと思います。
これらの問題を考えるにあたっては、経済学や社会学、
特に、少子化や家族制度、労働などの領域と
ジェンダーやセクシャリティの問題が関わってくると考えた。
一つ一つの問題を個別に捉えるのではなく、連続したテーマとして、
パッケージングして話し合うことが重要という考えから、
それぞれの専門領域を持つ研究者に声をかけた。
話題の安全保障関連法案は、やはりあえて議論しないスタンスです。
すでに議論や活動をしているかたがたくさんいるので、
そうした人たちに任せておけばいいという考えです。
(わたしもそうだろうとは思ったです。)
北田教授:安保法案については、すでにたくさんの専門家が
いろいろな場所で議論していることもあり、
専門外の我々があらためてこの問題を議論し直す必要はないと考えている。
また、反安保法案の大きな議論が生まれたことは事実だが、
それによって見えにくくなっている問題があるのではないかと考えている。
はてなブックマークでも「安全保障軽視」という意見がありますが、
「屋根の上に屋根を造る必要はない」という判断です。
それよりも「それによって見えにくくなっている問題」に、
焦点を当てているということです。
家族・ジェンダー問題なんて、安全保障関連をはじめ
「目立つ話題」の陰に隠れて、いつもなおざりだったと言えます。
それに不満があるかたも、わたしを含めて少なくないだろうと思います。
むしろ「リベラル懇話会」が扱っている課題こそ、
潜在的要求のわりにふだん「軽視」され続けていると言えます。
付記:
マスコミの記事。
報道はしてくれたけれど、扱いが小さいのが残念。
「「野党第1党、自民と差ない」 学者ら民主に政策提言へ」
(はてなブックマーク)
「知識人 40人が新団体…対自民、野党に対抗軸提案」
「リベラル懇話会 研究者40人、野党に政策提言の新団体」
だから、民主党の弱体が悔しいのは分かります。
学者が集っても経済なんて分かりませんよ。
大きな経済成長とインフレ、そうでなければ基本的なインフラさえ整っていない国。
日本のように経済成長は少なくデフレが続いている。
基本的インフラは整っている。一連の家電も衣服も揃っている。
だから着ない服は捨てましょう。読まずに保存している本やCD、小物類なども、とにかくいつか着る、いつか読むとか考えずに一定期間手をつけていないものは捨てたほうがいいんです。という本が売れるという裕福な国特有の現象です。
少子高齢化も経験のある国が存在しません。
デフレ脱却でモノの値段は上がるけどそれ以上に賃金を上げましょうというのは、年金生活の人が多い状況ではそれらの人に理解されません。
だから低所得の高齢者にお金を配るといえば何で子供や子供を持つ親でなく高齢者に配るのかと反対意見がでます。
家族で住んでいれば親、自分、子供の誰かに恩恵があればそれで家族全体の恩恵となるかもしれませんが、今のように単身者、子供のいない夫婦で親と同居ではない人が多いのでは、どの層にどうしていいのか難しくなります。
ジェンダーがどうしたという話も「ジェンダー」という言葉自体が意味不明。
キング牧師の時代に黒人差別されたままでいいという黒人はいなかったはずですが、今の日本は女性が専業主婦が最高の身分。短時間のパートなら我慢できなくもない、という人が多いのにそういう人まで含めて女性の出世、正規雇用が少ないから差別と女性代表のように振舞っても駄目です。
彼女たちに頼まれてもいないのにーむしろ邪魔に思われているー女性全体を勝手に語る図々しさは困り者ですわね。