2016年02月25日

toujyouka016.jpg 再婚禁止規定・民法改正案

2月18日に再婚禁止期間についての、民法改正案の概要が明らかになりました。
この改正はもちろん昨年12月の違憲判決を受けてのものです。

「離婚女性、非妊娠なら即再婚容認…民法改正案」
(はてなブックマーク)
「離婚女性、非妊娠なら即再婚容認…民法改正案」(全文)
「再婚禁止規定 改正案「多くの女性救う」」

法務省は18日の自民党法務部会で、
現在は6か月(180日)とされている女性の再婚禁止期間を
100日間に改めるとともに、離婚時に妊娠していなければ
直ちに再婚を認める民法改正案の概要を明らかにした。

 
再婚禁止期間に関係する民法改正の内容は大きく3つです。
1.だけでおしまいにして済ませるかと思っていたので、
2.と3.の改正も行なうのは、わたしはいささか意外ではあります。

1. 再婚禁止期間を180日から100日に短縮。
2. 以下の場合も再婚禁止規定を適用しないことを明文化
  a. 高齢の場合や卵巣を摘出しているなど、妊娠しないことが明らか
  b. 前の夫が3年以上行方不明
  c. 同一人物との再婚
3. 妊娠していない医師の証明があれば、再婚禁止規定を適用しない。

最高裁の違憲判決を受けた民法改正案

2.はa.-c.に当てはまる場合は、いまでも再婚禁止規定を
適用せず再婚が認められてはいたのでした。
これは条文で規定されたものではなく、運用で対応していたものです。
すでに既成事実となっていたものですが、
民法改正ではっきり条文で規定するということです。


3.は最高裁の違憲判決の補足意見で、
離婚したときに妊娠していない場合は禁止規定を適用せず
再婚を認めるべきということが述べられていたのでした。

「再婚禁止・残された100日」

大法廷判決では、最高裁の裁判官15人のうち、
6人が「父親を巡って争いんなる可能性がない場合、
再婚禁止期間は必要ない」とする「補足意見」を付けた。
その具体例の一つに挙げたのが、離婚時に女性が妊娠していないケースだった。

近年は医療技術が発達し、妊娠していないことの確認が
容易になっていることが背景にある。

原告の弁護士は離婚後100日以内でも、妊娠していない場合は
再婚できるよう、通達を出すことを要望していたのでした。
通達よりもより確実な法律の改正で、
再婚可能なことをはっきり規定することになりそうです。

3.は15人の裁判官のうち6人だけが述べた補足意見であり
多数ではないのですが、よく取り入れる気になったとは思います。

今回の改正案は、この補足意見を踏まえた形で、
あるベテラン裁判官は「最高裁のメッセージを正面から受け止めた内容だ。
禁止期間が本当に必要なのかを見極めて法律を整備する姿勢が表れている」と話す。


今回の民法改正はいままで比べたらかなりの前進ではあります。
それでも欧米の民主主義国の中では、家族やジェンダーに関して
もっとも因習・反動的なイタリアにようやく追いついたというところです。

「諸外国の再婚禁止期間」

ほかの欧米の民主主義国では、再婚禁止期間はすでになくなっています。
ドイツは1998年、フランスは2004年に廃止になったのでした。
再婚禁止期間なんて、すでに過去の遺物と言えます。

民法改正に関する情報を発信している
「mネット・民法改正情報ネットワーク」の坂本洋子理事長は
禁止期間が残るのは女性差別には変わりがない。
海外では禁止期間自体を廃止する動きが主流だ」と疑問を示した。

日本は「当たり前のことがいままで行なわれていなかった」
というのが、むしろ公平な見かたと言えるかもしれないです。



訴訟の原告は今回の民法改正をとても評価しています。
こんなぬるい民法改正で満足していいの?という気が、
わたしにはしないでもないです。

「時代遅れの法律を変えたいとの思いで訴訟を起こしたが、
大法廷判決に加えて今回の改正案は、自分にとって二重の喜びとなった。」

この改正で救われる女性が多いことは確かでしょう。
それでもグローバルスタンダードから見れば、
「ガラバゴス」が「周回遅れ」程度になったくらいです。
わたしは取り立てて「画期的」だとは思わないです。

作花弁護士も「離婚時に妊娠していない人がほとんどで、
多くの女性を救うことになる。「画期的な内容だ」と話した。


自民党内の議論は順調に進んでいるようで、目立つ反対はないようです。
(読売の記事には反対している人についての言及はないです。)
「家族思想信仰」を守るための議連、「家族のきずなを守る特命委員会」も
なにも言ってない(噴き上がっていない)と思われます。

同姓強制をせっかく「合憲」としてくれたので、
比較的受け入れやすい再婚禁止期間の短縮は、粛々と民法改正を進めて
遵法意識があるところを示そうというのでしょう。
再婚禁止規定を全部廃止せず、100日だけ残したので
受け入れやすかったのもあるかもしれないです。

菅官房長官も違憲判決が出たときの記者会見で
物わかりのいいことを言っていたのでした。
再婚禁止規定の維持は「家族思想信仰」への抵触の程度が
わりあい小さいということなのでしょう。

「再婚禁止期間「100日超の部分は憲法違反」」
菅官房長官は午後の記者会見で、「違憲立法審査権を有する
最高裁判所が違憲の判断をしたことは厳粛に受け止めたい。
早期に民法改正を行うとともに、民法の改正までの間も、
戸籍事務については離婚後100日を超えた婚姻届が出された場合には
受理することを、今後、早急に検討していく必要がある」と述べました。


付記:

イタリア、ドイツ、フランスの再婚禁止規定

「世界の離婚(11)〜イタリア編〜」
イタリアには再婚禁止期間があり、女性は前婚の解消から300日間は再婚できません。
ただし、婚姻の解消前から同居していなかった場合には、
裁判所は再婚禁止期間中でも婚姻を許可することができます。
また、妊娠の終了によっても再婚禁止期間が終了します。

「再婚と300日問題について海外の事例では…」
1.フランス
過去に、フランスでは女性にのみ300日の再婚禁止期間がありましたが、
2004年5月、この条項は、民法から削除されています。
女性差別を排除という見解のほか、飛躍的な医学の進歩によって
子どもの父親が判明するのは容易であり、
300日の経過期間の必然性がなくなったからです。

http://ameblo.jp/spacelaw/entry-11999656260.html#cbox
ちなみにドイツでは,再婚禁止期間は1998年に廃止されておりまして,
すでにその前から非懐胎証明を医師から受ければ,
直ちに婚姻が認められているのです。
(2015-03-17 20:18:28)


posted by たんぽぽ at 23:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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