なぜ待機児童が増えたのか、その理由について分析した
記事があるのでご紹介します。(あまり注目されていない。)
「『保育所は増加・待機児童も増加』という怪奇現象の理由
〜 政府にとって好都合な数字ではダメ」
(はてなブックマーク)
結論を言うと、保育園への入園申し込みをしたかただけを
「待機児童」としてカウントする厚生労働省の統計の取りかた、
ということになりそうです。
2015年4月から始まった「子ども子育て新制度」による
保育所整備の強化によって、保育所の数はきゅうに増えました。
保育の「受け皿」が広がったことは、厚生労働省の資料に示されています。
「保育所等関連状況取りまとめ(平成27年4月1日)」


2014年まで減り続けた待機児童は、2015年には増えたのでした。
待機児童の数の年次推移も、厚生労働省の資料に出ています。
「待機児童の状況及び待機児童解消加速化プランの状況について」

このあたりについて記事では次のように分析してます。
厚生労働省の資料は、保育園に入園を申し込んだものだけを
「待機児童」として数えているということです。
保育園への入園要求はありながら、入園を申し込まなかったかたは、
カウントされないことになるようです。
http://www.huffingtonpost.jp/kazuo-ishikawa/policy-for-children-_b_8214958.html
下の資料1〜5は、厚労省による待機児童数の推移などを記したもの。
待機児童問題が保育所等に申し込んだ者だけを対象とし、
かつ、都会問題の一つとしてしか捉えられていないことが、
年金・医療・介護なども含めた社会保障政策の中で
待機児童対策が大幅に劣後している原因。
厚生労働省の資料にある、入園申込者数の前年との増加人数を見ると、
2014年から2015年は131410人で、それ以前の2倍以上です。
2015年は申込者がきゅうに増えたため、待機児童も増えたということです。

保育園へ入園を申し込むかたが2015年にきゅうに増えたのは、
厚生労働省の見解によると、安倍政権の経済政策によって
雇用状況がが改善したので、子どもを保育所に預ける
必要があるかたが増えたということになっていました。
安倍首相もこの認識をそのまま採用して、「アベノミクスの成果で
就業者が増えたからありうれしい悲鳴」なんて言っていたのでした。
「待機児童、5年ぶり増 全国2万3千人」
定員は前年から大幅に増えたが、希望者の伸びが上回った。
4月から始まった国の「子ども・子育て支援新制度」や雇用情勢の改善で、
子どもを預けて働こうという保護者の需要を掘り起こしたとみられる。
25-44歳の女性の就業者数は、2015年は前年より減っています。
それゆえ待機児童が増えたのは、雇用状況の改善による
就業者数の増加ではないと、山尾志桜里議員が反証したのでした。
「待機児童と女性就労者数」
「待機児童が増えたのは「働く母」が増えたからじゃない!
白熱の質疑応答で暴かれた安倍総理の「ウソ」」

2015年に保育園への入園を申し込むかたが増えたのは、
それまでは入園要求がありながらあえて申し込まなかったようなかたが、
申し込むようになったということではないかと考えられます。
待機児童の状況を的確に状況を把握するためには、
入園を申し込まなかったかたも含め、最大限の人数を見積もれる
算出をする必要があると、最初の記事では指摘します。
入園希望者だけを対象にして待機児童をカウントしていると、
なんらかの理由で入園を申し込むかたが増えた時、
保育所を拡充しているにもかかわらず、待機児童が統計上増えるという
現在起きている事態が起きうるということです。
別の拙稿などで私はこれまでも何度も提起しているが、
待機児童の数え方を最大限見積もるような算出方法を確立しないと、
待機児童対策はいつまで経ってもニーズを満たさず、
有効なものにはならないだろう。
記事著者の概算では潜在的な待機児童は100-300万人です。
厚生労働省の資料の数字とはけたがふたつ多いです。
「『真の待機児童数』は何人いるのか? 〜 厚生労働省は正確に把握せよ!」
認可保育所への入所申込みをしているかどうかを問わない
『真の待機児童数(=潜在的にいる全ての待機児童数)』は
いったいどのくらいいるのだろうか?
私が試算すると、概ね180万人〜360万人の規模となる。
これほどバラツキがあるのは、試算の前提によって
結果が大きく異なることを示している
厚生労働省が待機児童の数について、なぜこのような算出のしかたをするのか、
保育の予算がとても不足しているので、待機児童が多いと
思いたくないという保身的動機であれば、けしからんことだと言えます。
待機児童解消加速化プランが順調に進みつつあると
見られるのに、なぜか待機児童数は増えている。
それは、待機児童の数え方が不的確だからである。
保育予算が非常に不足しているので『真の待機児童数』を
出したくないというのは、全く理由にならない。
ましてや2015年に待機児童が増えたのは、雇用状況の改善で
働く女性が増えたから、なんて理由づけするのは、
かかる保身的動機を維持しつつ政権におもねることにもなります。
「保育に欠ける」という保育所入園条件が整わないと申し込みできないですからね。
一方で就職しようと思っても入園してないと活動すらできない。
ジレンマですよ。
こう言った潜在的待機児童数もカウントしないとですね,
私の住んでいる市は郊外の小さな市ですが、認可園が増加し、市内保育園の受け入れは現在1000人ちょっと。10年前の倍とは言いますが公立園は減りました。
発表された待機児童数は少ない数字で一桁の場合もあるし、30人ちょっとの年もあります。
地下鉄の乗り入れ&マンションがふえており、子供はふえているでしょうが、実態やいかに、です。
>「保育に欠ける」という保育所入園条件が整わないと申し込みできない
入園条件が揃わなくて入園許可が出なかった場合は、
申し込みをしたとみなされず、
待機児童にカウントしていない可能性がありますね。
>一方で就職しようと思っても入園してないと活動すらできない
就職していることが、保育園利用の条件ということもあるのですよね。
そうした場合も、最初から入園申し込みをしないかたもいて、
待機児童にカウントされないのでしょう。
>発表された待機児童数は少ない数字で一桁の場合もあるし、
>30人ちょっとの年もあります
自治体によってカウントのしかたが異なっていたりしますよね。
待機児童の数が少ないときは、待機児童とみなす条件が
狭い可能性も考えたほうがいいかもしれないです。