プムジレ・ムランボヌクカ氏のインタビュー記事があります。
これを見てみたいと思います。
「「男女が同じ選択肢を」 夫婦同姓、国連は改善勧告」
2015年12月の最高裁の合憲判決と、2016年2月の
女子差別撤廃員会からの勧告を意識したものでしょう。
――最高裁判決をどう受け止めますか。
「国連ははっきりとした立場をとっている。
女性は選択肢を持たなければならない。
男女の平等を確かなものにする一例として。
国連の女子差別撤廃委員会も同様に女性に選択肢をという明確な立場をとる。
日本がそれを尊重すると希望を抱いている」
女子差別撤廃委員の立場は、最高裁判決を差別的としています。
男女どちらの名字でも選べると言っても、現実にはほとんどのケースにおいて
女性が改姓を強いられているからです。
「口先だけの男女平等」は平等でないということです。
「CEDAW日本審査・民法改正」
「CEDAW日本審査・民法改正(2)」
差別的法規および法的保護の欠如
(c) 2016年12月25日、最高裁は民法750条の憲法判断に置いて
夫婦同氏を要求することを合憲としたが、
現実にはほとんど女性が夫の氏への改氏を強いられる。
女子差別撤廃条約の16条の1の(g)項では、
名字に関して夫婦が同一の個人的権利を持つことを定めています。
男女の双方が名字を変えない権利を主張した場合、
日本の現行法では婚姻が認められないですから、
最高裁判決は条約の不履行ということになります。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/josi/3b_004.html
第十六条
1 締約国は、婚姻及び家族関係に係る
すべての事項について女子に対する差別を撤廃するための
すべての適当な措置をとるものとし、
特に、男女の平等を基礎として次のことを確保する。
(g) 夫及び妻の同一の個人的権利(姓及び職業を選択する権利を含む。)
ここでムランボヌクカ氏は、女性も非改姓結婚できる
選択があることが大事としています。
問題なのは夫婦同姓を強制することであり、選択肢がないことです。
とくに同姓強制から選択的夫婦別姓に移行した国は、
いまでも妻が改姓して夫婦同姓を選ぶかたが多いです。
そうした国でも、女性が結婚改姓しない選択が
認められるからとくに問題がないということです。
「世界で多くの女性が夫の姓を選んでいることは事実だ。
だがそれを強いることは別問題だ。
基本的に女性には選択肢がなければならないと考えている」
日本は法律上は夫妻どちらの姓も選んで結婚できるのではあるが、双方が旧姓を保つことだけができない。大多数は夫の姓での同姓になるのは実は米国も同じだが、選択肢があることが大事なのだと思う。 / “「男女が同じ選択肢を」 夫婦同姓、国…” https://t.co/gVUCbNKb4a
— Akiko Orita (@oritako) 2016年4月6日
国連委員会は今後も勧告を続けることは必要だと思います。
それだけではふじゅうぶんではないかと、わたしは思います。
法的拘束力のある罰則がないと、日本は守らないのではないかと思います。
ムランボヌクカ氏は「日本がそれを尊重すると希望を抱いている」
とも言っているのですが、わたしはぜんぜん希望が持てないです。
このままいけば半永久的に実現はしないだろうと思います。
――国連はこのたび、再三の是正勧告をしました。
「国連は廃止勧告を繰り返し強調することが重要だ。
UNウィメンは女子差別撤廃委員会のかつての勧告を
可能な限り確実なものにすることを支持する」
記事の中ほどに、各国の婚姻にともなう名字についての表があります。
2010年の衆院調査局資料にもとづくもので、
前にもご紹介したことがあるものです。
「夫婦別姓・国連の勧告の記事(2)」
国内のまとまった資料としては新しいほうなのですが、
それでも6年前となってすでに古くなりかけています。
表に出ている国も含めて、最近の6年間で変化した状況もいくつもあります。
「日本の同姓強制と諸外国の現状」
「世界の夫婦別姓・2010年代の動向」
「選択的夫婦別姓でガラパゴス」
記事の最後は、日本でいまだに同姓強制が続くことについて
ニューヨークの女性の意見が紹介されています。
「日本人男性とは絶対結婚したくない」
「日本人女性じゃなくてよかった」
「いまだに夫婦別姓が認められないなんて信じられない」
「男尊女卑以外の何物でもない」ですよ。
「日本人男性とは絶対結婚したくない」「日本人女性じゃなくてよかった」。
昨年末、夫婦同姓の義務付けを合憲とした最高裁判決を受け、
米ニューヨークで働く女性からは非難と驚きの声があがった。
先進国の日本で「いまだに夫婦別姓が認められない
なんて信じられない」と口をそろえた。
結婚後も旧姓を当然のように使うニューヨークの女性に
同判決は「男尊女卑以外の何物でもない」と映る。
そうだろうと思っていました。
わたしも外国人ならきっとこのように言うと思います。
日本の夫婦同姓の強制を外国人が見たらなんて言うか、
どこかに意見が出てないかと思っていたのですが予想通りです。
とくにアメリカ合衆国で選択的夫婦別姓が
認められたのはいまから40年前のことです。
日本の現状は前時代の遺物としか言いようがなく、
隔絶の感があるのではないかと思います。
こうした場合、「日本のやりかたに従え」とか
「日本の悪口を言いたいだけだ」とか「欧米の真似をするな」とか
ナショナリズムやショービニズムを持ち出して、
日本社会の差別や不合理を正当化する人はたくさんいます。
かくいう記者も結婚話が出た相手の男性に「あなたが姓を変えるのは?」と聞いた。
「考えたこともなかった」と驚かれた後、「日本の文化を尊重したい」と拒否された。
選択的夫婦別姓の反対派(非共存派)が金科玉条のように唱える
「夫婦同姓は日本の伝統」も、こうしたナショナリズムや
ショービニズムを盾にとっていると言えます。
「夫婦同姓強制・いつわりの伝統」
「選択的夫婦別姓のまとめ(3)」
このようなやりかたこそが、日本嫌いや日本の文化嫌いを
かえって増やすことになるだろうと、わたしは思います。
だれしも自分を差別したり抑圧したりする存在を
好きになったり尊重したりしたいとは思わないからです。
女性が日本や日本文化を否定するのでなく、
日本や日本文化が女性を否定するということです。
よろしければ参照してください。
http://ameblo.jp/potterwell/entry-12147864077.html
わたしのブログにお越しくださり、ありがとうございます。
>http://ameblo.jp/potterwell/entry-12147864077.html
ご紹介ありがとうございます。拝見しました。
選択的夫婦別姓の反対派が言いそうなことを、
要領よく検討していると思います。
なぜ反対派が頑迷極まりないかですが、
彼らは家族思想を「信仰」のようにしているからだと思います。
具体的には高度経済成長期に定着した「標準家族」を
「正しい家族」とする「信仰」です。
http://taraxacum.seesaa.net/article/410975268.html
http://lacrima09.web.fc2.com/teardrops/religion/religion.html
敗戦後の新民法によって夫婦同姓の強制が定められたので、
彼らの「信仰」では「夫婦は同姓でなければならない」と
決まってしまい、「信仰」に反する存在は「異教徒」として
ひたすら排除することになるわけです。
夫婦同姓は日本の伝統でないことは、よく言われることですね。
夫婦同姓を民法で定めたのは、ご指摘のように明治に入ってからで、
ヨーロッパの民法典に倣ったのでした。
もともと外来で、100年ちょっとの歴史しかないわけですね。
http://taraxacum.seesaa.net/article/433241531.html
http://lacrima09.web.fc2.com/teardrops/against/tradition.html
選択的夫婦別姓の反対派は、彼らの「信仰」が
「夫婦同姓は日本の伝統」と教えるのでそう繰り返すのであり、
いくら事実を示しても、聞く耳持たないのでしょう。
ついでながら、夫婦同姓が日本の伝統でないことを示すのに、
北条政子を出すのはあまりよくないかもしれないです。
姓や氏、名字の概念がいまのようになったのは明治以降、
近代的な家族制度を導入してからで、江戸時代までは
氏姓や名字の概念がいまと異なっていました。
「名字概念の変化と「伝統」」
http://lacrima09.blog.shinobi.jp/Entry/1188/
現代の夫婦別姓とか夫婦同姓の議論は、
明治以降の名字概念にもとづくものなので、
江戸時代以前にさかのぼるのは意味がないからです。
夫婦別姓も夫婦同姓もどちらも「日本の伝統でない」
ということになるだろうと思います。
子どものことについても、反対派はよく持ち出しますね。
「子どもがかわいそう」とか「子どもがいじめられる」などと言うおとなは、
自分の差別意識を投影させているのだと思います。
http://lacrima09.web.fc2.com/teardrops/against/child.html
http://lacrima09.blog.shinobi.jp/Entry/1143/
「選択的夫婦別姓を認めると子どもの名字が
決まらなくなるから問題」などと、反対派は言うけれど、
その前に現行の同姓強制では、夫婦の名字が
決まらなくて問題が起きていることのほうが
ずっと大事だと思います。
http://lacrima09.blog.shinobi.jp/Entry/928/