などと言ってのけたことが、話題になっています。
ようは「高校や大学は自分の責任で行くものだ」とか、
「義務教育をしっかりやれば貧困はありえない」という
ナイーブな自己責任論が言いたいことです。
自民党らしいと言えます。
「「進学しても女の子はキャバクラへ」自民・赤枝氏発言」
(はてなブックマーク)
「児童擁護施設出身大学生の要望に「進学は自己責任」
「女の子はキャバクラに行く」という赤枝議員発言の意味」
こちらで「キャバクラ発言」の全文を見ることができます。
赤枝議員の発言の全文はこんな。(登録しないと読めないので画像化しましたが読んでも全く意味がわからないのでこの混乱を皆様にもおすそ分けしたい。 #ss954 pic.twitter.com/vRTmMOq9t0
— Simon_Sin (@Simon_Sin) 2016年4月13日
会合終了後の取材でも尾に足してこんなことを言っています。
会合終了後の取材に「街角相談室でいろんな子どもの話を聞いてきた。
子どもが十分教育を終えるまでは国が手厚く援助しないといけないが、
高校も大学もみんなが援助するのは間違っている」と説明した。
この発言は、子どもの貧困問題に取り組む公益財団法人や、
児童養護施設出身の大学生の前で言ったことです。
会合では、子どもの貧困問題に取り組む公益財団法人「あすのば」の代表らが、
大学進学を目指す学生への無利子奨学金の拡充などを要望。
児童養護施設出身の大学生も「誰でも平等に進学できる社会を」などと訴えていた。
「貧困は自己責任だ、教育の支援はみんなには必要ない」という、
赤枝恒雄のような考えのなにが問題かは言わずもがなでしょう。
「教育の機会均等に反する」ということです。
とりわけ貧困層の教育の機会を奪うことになります。
養護施設出身者の大学進学率の低さははっきり現れています。
全高卒者の大学進学率が半数を超えているのに対し、
大学進学率は低く、児童養護施で高校に通う子で2割程度、
児童養護施設児全体では1割強にすぎない。
高卒の就職率が16.9パーセントであるのに対し、
養護施設にいた子どもの高校就職率は、7割近くである*。
一般の場合でも、親の年収が高いほど、大学進学率が高いことは歴然としています。
政府には貧困層の教育に対する経済的不利を是正する責任があります。

日本は大学の授業料が高く、奨学金が貧しいOECD加盟国唯一の国です。
国立大学の授業料が高騰を続けている国です。
現状で貧困層にとって進学がひどく困難ということです。
高校や大学への進学の経済的支援を
他国以上に増やさなければならないくらいです。
国立大学の学費ですら年間54万円程度であり、
将来的には93万円程度になると文部科学省が試算している
(国立大授業料、54万円が93万円に 2031年度試算)。
国立大学への運営交付金を減らすということは、
困窮者の学費の免除もままならなくなるということだ。
児童養護施で育つ子どもには、さらに厳しい状況が
待ち受けていることは間違いない。
「学費は高いわ援助はないわ・・・日本の高等教育@OECD」

社会でお偉いポストについてる人が「俺らの頃は大学の授業料なんか自分で稼いだもんだ」と言い出したときのためのグラフを置いときますね。60歳のおっさんが大学時代の学費は物価も考慮すると現在の8万円です。月に7千円稼いだと自慢してるのです。 pic.twitter.com/mPa5KGhEsU
— 小迎ちゃんパパ 18歳 (@nakamukae) 2014年10月16日
いまの学生は、親からの仕送りは近年の経済事情で減り続け、
学費や生活費の捻出のためにアルバイト漬けになることが多いです。
卒業後も就職が困難で年収が少ないゆえに奨学金の返済に追われて、
自己破産する人も現れるようになっています。
「お金ないから大学行けない 国立でも授業料年54万円、40年前比15倍」
「大学生のバイト目的の変化」
「若者が草食化した本当の理由」
「首都圏の下宿生への仕送り額11年連続最低更新」
「「学費は自分で稼いだ」って昔話を自慢して現実を見ていない老害学者」
今の大学生のバイトをする目的。90年代はレジャーがトップだったけど、今は生活費がトップ。学費目的も急上昇。つまり今の大学生は金銭にゆとりがないため、精神的に追い込まれてるのがよく分かる。こんな状況で高齢者の世話をしろとか無理。 pic.twitter.com/Z8oras0lss
— 高村武義 (@tk_takamura) 2015年10月14日
一般的な経済水準の家庭出身の子でさえ、学生生活はこんな調子です。
貧困家庭出身の子ならなおさら経済的に困難でしょう。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/sendayuki/20160413-00056549/
一般家庭に育つ子どもですら、半数以上が奨学金を
利用して大学進学している状況である。
児童擁護施設の子どもたちが進学するための費用は、
奨学金がなければ、どこから出てくるというのだろうか。
貧困層出身の子の進学が困難になると、
そうした人は収入の少ない職種にしかなかなかつけなくなります。
一般に高収入の職種は高度な専門知識や技術が必要であり、
高学歴でないとつくことはほとんど難しいからです。
かくして貧困家庭出身の子は、おとなになっても
貧困層にしかなれないことになり、貧困の連鎖が起きることになります。
貧困の連鎖を打ち切るためにも、政府や社会による
教育への投資は重要ということになります。
「高校も大学もみんなが援助するのは間違っている」などと
言ってのけられるのは「教育の機会均等を保証する責任と義務が
政府と社会にある」という認識がとぼしいこともあるでしょう。
教育に対する支援は「お前たちのために税金を
使ってやっている」という意識なのだろうと思います。
現代の高度に発達した社会や科学技術を
支えるためには、相応の教育レベルが必要です。
社会や科学技術の基盤の維持・発展のために、
政府や社会は一定数以上の国民に高度な教育を
収めてもらう必要があるということです。
前述のように、貧困家庭出身の子が教育を受けられないことで
貧困の連鎖を生み出すことになります。
社会の中の格差が固定され広がることになり、
ひいては経済成長を損なうことになることは、
OECDの報告書でも述べられていることです。
「格差が経済成長を阻害」
「格差是正のための対策」

経済的援助を受ける本人のためというのはもちろん、
社会全体の格差の拡大を防ぎ、経済成長を維持するためにも、
政府や社会は教育に対する支援をする責務があることになります。
「お金をあげますからどうか大学に入って、
社会のインフラ維持に貢献してください」と頼むのが、
政府や社会の立場だと言えるでしょう。
選挙前だっていうのにこれ。
やっぱり平沢勝栄氏と同じく、組織票頼みで個人なんか相手にしてないんでしょうね。
コレを連想しました。
「匿名記事・反発する人たち」でご紹介の斎木陽平氏。
『次に落ちるのは保育に無頓着な政治家達だ。そう脅しをかける覚悟があるのか。』
地盤だ組織だで選挙をやる立場だから、国民一人一人から徴収した税金で
活動していながらこういうことが言えるんだろう。
>恐ろしいことを平気で言う。
>選挙前だっていうのにこれ。
こういう露骨なことを言うのは、支持基盤向けの可能性はあると思います。
赤枝恒雄は2012年に初当選で2期目ですから、
2回当選と言っても、自民党が圧倒的に有利なときです。
このような議員は選挙基盤が弱い可能性は高いでしょう。
そういう選挙基盤の弱い議員はおのずと組織頼みになるし、
自民党の支持基盤は多分に右翼的ですから、彼らの歓心を買おうとすると
えげつないことを言うことになる、ということです。
>『次に落ちるのは保育に無頓着な政治家達だ。そう脅しをかける覚悟があるのか。』
脅しだけでなく、選挙で実際に反映させる必要がありますね。
保育問題もこのエントリで話題にした教育問題も、
もともと日本社会においては「なめられている」課題だと思います。
なおさら強い発言と行動で示す必要がありそうです。
たんぽぽ様もこの件で丁寧に記事を書いていらしたのですね。
あたしもこの件を取り上げたのですが、一つの記事に突っ込もうとした結果若干雑になった感があります…(汗)
一番問題意識の近そうなこちらの記事にトラックバック送らせて頂きましたので、もしよろしかったらご笑覧下さい。
「そもそも児童養護施設の子どもが、義務教育も理解出来ずに大学進学目指すわけねーだろー!理解してても厳しいのに!理解する意欲を保ち続けるのすら大変だろうに!」
と、結構本気で頭にきたのでした。
こちらにコメントありがとうございます。
>たんぽぽ様もこの件で丁寧に記事を書いていらしたのですね
わたしもかなり問題視したので、エントリを書きましたよ。
思ったより分量が増えて、メインだけで3つになっていました。
>一番問題意識の近そうなこちらの記事にトラックバック送らせて頂きましたので
届いていないので、トラックバックはエラーになったみたいですね。
>もしよろしかったらご笑覧下さい。
のちほど拝見したいと思います。
>「そもそも児童養護施設の子どもが、
>義務教育も理解出来ずに大学進学目指すわけねーだろー!
なんで児童養護施設の子たちが、義務教育を理解せずに
大学を目指そうとすると、赤枝恒雄思ったのかとわたしも思いますよ。
「養護施設の子たちも進学したらどうせ貧困になる」と
赤枝恒雄が思ったであろうことは、想像にがたくないですが。
こちらでも触れたけれど、見識が狭くて適切に原因と結果を
把握できないということだろうと思いますが。
http://taraxacum.seesaa.net/article/436926277.html
貧困およびその連鎖の問題、労働における性差別の問題まで含んでますから、丁寧に取り上げたら凄いことになりますよね。
記事の執筆、お疲れ様でした。
>トラックバック
ありゃりゃ…<失敗
でも、該当記事へのコメントありがとうございました。
不幸なことに最近はネタに困らないので、改めてトラックバックにチャレンジしておきたいと思います。
>義務教育を理解出来ずに進学を希望する子ども達?
現実として学歴が高い方が一応所得は高くなる(この辺、貧困家庭の子どもがどの程度理解出来ているかを考えるとまたしんどいです…)わけで、「大学に進学する」ことの意味を深く考えずに進学を希望してしまうことは、一般家庭ならまあまああるとは思うんです。
問題は、同じ希望でも出自や境遇が違うと叶えられないということが起きてしまうことであって。
深い意味を考えない、義務教育を理解しないまま進学を希望することの是非はまた別ですが、「所得に影響がある」を通り越して中卒でははねられてしまう求人が多いのですから、進学希望を持つ個々人を押さえつけてもしょうがないし、押さえつけちゃいけないと思うんです。
一応名目上は資本主義・自由主義の国ですから。
>貧困およびその連鎖の問題、労働における性差別の問題まで含んでますから、
多岐に及んでいるので、たくさん取り上げることはありますね。
>記事の執筆、お疲れ様でした
ありがとうございます。
もっと短く済むかと思ったけれど、思ったより多くなったしだいです。
>該当記事へのコメントありがとうございました
いえいえ。
いつもコメント欄で雑文を書いて恐縮です。
>不幸なことに最近はネタに困らないので、
>改めてトラックバックにチャレンジしておきたいと思います。
話題がたくさんあるのは結構なことです。
そのときはまたよろしくお願いしますね。
(ブログがはやらなくなって久しくなって、
トラックバックを送る習慣もめっきり減りましたね。)
>「大学に進学する」ことの意味を深く考えずに進学を希望してしまうことは、
>一般家庭ならまあまああるとは思うんです
卒業試験を課してどうのというのは、進学に障害がなく、
ほぼ完全に自由選択できる状況のお話なのですよね。
赤枝恒雄はそういうかなり恵まれた状況しか考えられない、
ということでもあるのでしょう。
>進学希望を持つ個々人を押さえつけてもしょうがないし、
>押さえつけちゃいけないと思うんです。
問題は選択したくても選択が困難なことですからね。
選択が困難な人に向かって、「お前たちにその選択は必要ない」
などというのは、不自由なくその選択ができる人の
無神経だろうと思います。