2016年04月18日

toujyouka016.jpg 義務教育しっかりやれば?

4月17日エントリの続き。
貧困は自己責任だという、自民党の赤枝恒雄衆院議員の「キャバクラ」発言です。

「「進学しても女の子はキャバクラへ」自民・赤枝氏発言」
(はてなブックマーク)

「児童擁護施設出身大学生の要望に「進学は自己責任」
「女の子はキャバクラに行く」という赤枝議員発言の意味」


赤枝恒雄の発言できわだったものとして
「義務教育をしっかりやれば貧困はありえない」などと
言っていることがあるでしょう。

 

本当にそういうところはですね、義務教育をとにかく、
これからもう本当に厳しくですね、義務教育をしっかりやれば
貧困はありませんと、僕はそこまで言いたいくらいに、
義務教育って大事だと思いますので、その辺はいかがでしょうか。


学歴別の平均賃金なんて歴然とした差があります。
それゆえ貧困から脱出したい人は、
無理をしてでも上の学校に進学しようとすることになります。
「義務教育をしっかりやれば貧困はありえない」というのは、
どこにそんな状況があるのかと思います。

義務教育を「しっかりやれば貧困はありえないと言いたいくらい大事」
というのだが、大学・大学院卒の男性の賃金が40万ちょっとに対して、
中卒男性で28万円、中卒女性で17万円である
厚生労働省 平成18年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況)。
「しっかりやれば」とは、どういう状況をさすのだろうか。

「学歴別年収のジェンダー差」


赤枝恒雄は中卒や高校中退でも「金の卵」と言われて
就職に困らなかった、高度経済成長時代の感覚でいるのでしょうか?
(いささか信じがたい。)




上述の学歴別の年収曲線の図が示すように、
女性の大学卒は男性の中学卒と同じくらいの年収です。
また日本の女性の就業率は69%で、男性より25ポイントほど低いです。
欧米の民主主義国の女性の就業率は80-90%程度です。
それだけ日本の女性は大学を出ても就職先がないことになります。

学術の世界でも女性は低賃金で雇用の不安定な
非常勤講師にしかなれないことが多く、
「高学歴ワーキングプア」と言われることもあります。
女性は義務教育どころか大学教育や大学院教育を
しっかりやっても、貧困がありえるのが現状です。

「大卒女性の低い就業率」


「高学歴女子、なぜ貧困に陥りやすい?
大学講師の惨状〜非常勤は低収入で一生独身も」

「「女性にとって学歴がこれほど邪魔になるとは」と東大卒女性」
「大学非常勤講師の三重苦=奨学金ローン地獄・
高学歴ワーキングプア・人間破壊と生命の危機」


表立ってはありません。文部科学省も専任教員の
女性比率を高めるよう大学側に要請しています。
ただ、非常勤から専任への登用人事を選考するメンバーが
ほとんど男性で構成されているので、専任のポストが空いたときに
男性が優先的に登用される傾向が強いようです。
非常勤から専任に登用される際の基準が明確でないことも、
人事の不透明さとして挙げられるでしょう。
アンケート結果を見ると、やはりいちばんの不満は賃金が低いことです。
非常勤講師の44%が年収250万円以下で、
また、研究者として扱われないという問題もあります。

同じ仕事をしている専任教員は研究者として
大学から書籍代なども支給されますし、今は随分変わってきたそうですが、
学会に行った場合に学会費の一部や懇親会費の一部が補助されます。
でも非常勤講師にはまったく何も出ません。
また研究室もないわけですから、自分の家で勉強しなければいけない。
そうした様々な不利益があります。

そのように、研究者として扱われないにも関わらず
研究業績は専任と同じように要求され、賃金は低いということです。


posted by たんぽぽ at 22:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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