2016年05月14日

toujyouka016.jpg 子どもの数が35年連続減少

2016年は子どもの数が1982年以来35年連続減少となり、
過去最低を更新したというニュースです。
子どもの割合は1975年以来42年連続低下で、やはり最低記録の更新です。

「我が国のこどもの数 -「こどもの日」にちなんで- (「人口推計」から)」

「子どもの数、過去最低更新 35年連続減の1605万人」
(はてなブックマーク)
「子ども35年連続減 14歳以下1605万人、人口比12.6%」
「子ども 35年連続で減少…1605万人、最低更新」

これは総務省が行なっている調査で、
毎年子どもの日にちなんで発表しているものです。

 
表1 男女別こどもの数

図3 こどもの数及び割合の推移

2016年の子どもの数は1605万人、総人口における子どもの割合は12.6%でした。
近年はほぼ一定のペースで減少を続けていて、
人数は毎年15万人程度、割合は0.1ポイントとなっています。
来年2017年の子どもの数は1600万人を下回りそうです。

子どもの数と、総人口における子どもの割合


年齢3歳階級別の子どもの数を見ると、
低年齢になるほど少ないことがわかります。
子どもの数が減り続けて先細っていく様子が伺えます。

図1 年齢3歳階級別こどもの数


出生率は2006年から2013年まで毎年上昇していました。
特殊合計出生率は「ひとりの女性が一生のあいだに
産む子どもの人数の推測値」なので、
出産可能な女性の人口にも依存することになります。

「出生率が9年ぶりに低下」

出生数と合計特殊出生数の推移

厚生労働省は2013年までの出生率の上昇は
団塊ジュニアによる「押し上げ効果」だと分析していました。
そのあいだも子どもの数自体と、総人口に対する
子どもの割合は、減り続けていたということです。

「出生率:9年ぶり低下…出生数は減少加速 14年」


年齢3区分別の人口の割合の推移を見てみます。
0-14歳(年少人口)、15-64歳(生産年齢人口)、
65歳-(老年人口)の3区分です。

図2 年齢3区分別人口の割合の推移

見ての通り、年少人口の割合は減り続け、
老年人口の割合が増え続けていることがわかります。
「少子高齢化」というのは、子どもが産まれないことで
総人口が減るだけでなく、子どもの割合が減って
高齢者の割合が増えることでもあるということです。

少子高齢化楽観論の多くは総人口だけに注目して、
年齢構成も変化すること、とくに子どもが減って
高齢者が増えることをじゅうぶん顧慮してないことが
多いようだというのが、わたしの印象です。


総務省の調査は都道府県別のデータも出しています。
子どもの数が増えたのは東京都だけです。
ほかの46道府県はどこも減少しています。

表3 都道府県別こどもの数及び割合(平成27年10月1日現在)

図4 都道府県別こどもの割合(平成27年10月1日現在)

なぜ東京だけ増加しているのか、総務省のサイトでも分析はないです。
東京も都市部の自治体の例にもれず、
保育所の環境は取り立てて良好ということはないです。

大阪や神奈川、兵庫、愛知などほかの都市部の自治体は
どこも子どもの数が減っています。
子どもを産み育てやすい環境とはべつの事情により
東京だけ増えているということになりそうです。

子どもの数が増えたのは2015年も東京都だけでした。
2014年は東京と沖縄の2都県、2013年は東京、沖縄、福岡の3都県でした。
だんだんと子どもが増えた自治体が減っていることになります。
東京の子どもの数の増加は大きめなので、
東京だけ増加する状況は、しばらく続くかもしれないです。



付記:

総務省統計局による子どもの人口の推計調査は、
毎年行なっていて、子どもの日の前に発表をしています。
わたしのブログでは2014年から毎年話題にしているのでした。

「子どもの数が34年連続減少」
「子どもの数が33年連続減少」

世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数と同じく
来年以降も毎年この話題を取り上げようかと思っています。
(書く内容はやはり毎年同じようなことばかりで、
変わりばえのない内容になりそうではありますが。)

あまりほかのかたの興味を惹かない話題のようなのですが
(と昨年のエントリで書いたら、山口一男大先生から
コメント欄で激励を受けた)、だれも興味を持たなくても、
わたしひとりだけの興味で続けようという気になっています。

posted by たんぽぽ at 12:18 | Comment(2) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
たんぽぽさん
昨年同様、この関連の記事もぜひお続けくださいと再度申し上げます。貴女の情報量に富む記事とご意見は定期的に読み続けています。自分の主たる関心領域でもあるからですが、最近の記事では
(04/30)社会的不平等・現実と認識
(04/29)大学進学率のジェンダー比較
が、特に印象に残っています。特に前者は、本当に不思議な事実ですが、あまり知られていません。今後とも貴女の情報発信を楽しみにしています。
山口一男
Posted by 山口一男 at 2016年05月15日 01:40
山口一男さま、お久しぶりです。
こちらにコメントありがとうございます。
(なんだか呼び出したみたいで、恐縮です。)

>昨年同様、この関連の記事もぜひお続けくださいと再度申し上げます

またまた激励、まことにありがとうございます。

出生率のニュースは多少関心を惹くようなのですが、
子どもの数のニュースはなぜかセンセーションが少ないみたいです。
マスコミの記事もあまりないですし。

他人が興味を持たないことを取り上げるという
「人と違ったことをする」という精神が、ちょっと出てきているところです。

>貴女の情報量に富む記事とご意見は定期的に読み続けています

つたないブログをいつもご覧くださり、ありがとうございます。
「情報量に富む」なんてもったいないくらいのご評価です。


>(04/30)社会的不平等・現実と認識
>(04/29)大学進学率のジェンダー比較
>が、特に印象に残っています。特に前者は、本当に不思議な事実ですが

まったく不思議で「なぜ?」と思います。
日本人が自己責任論が好きな理由ではあると思います。
ほとんど知られていないのは大問題だと思います。
じつはわたしもつい先日知ったばかりでした。

「なぜ日本だけなのか?」という問題もあると思います。
前時代の既得権や影響がいまだに残っている
ということだろうと思いますが、
もう少し深く立ち入った分析が欲しいところです。

もうひとつの大学進学率のジェンダー差も、日本に特異ですね。
教育に予算を割かないことが大きな理由で、
そこには社会が公平と思われていることもあるからで、
ふたつのエントリの内容は無関係ではないことになります。
Posted by たんぽぽ at 2016年05月15日 13:34
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