2016年05月21日

toujyouka016.jpg 自民改憲草案・女性の地位

5月3日5月4日5月5日5月15日エントリの続き。
自民党の憲法草案の「家族」を取り上げた朝日新聞の連載です。
今回は連載の「下」、女性の地位向上について見ていきます。

「(憲法を考える)自民改憲草案・家族:下 女性の地位向上は個人主義?」
(はてなブックマーク)

「(憲法を考える)自民改憲草案・家族:下 女性の地位向上は個人主義?」

 
はじめに自民党がしばしば主張する個人主義の否定に触れています。
個人主義の否定を「根拠」にした現行憲法の24条否定です。
自民党では「個人主義は悪」というコンセンサスがあって、
個人主義だと言えば容易に否定できると思っているのだと思います。

2004年、衆院憲法調査会で自民党議員が発言していた。
「(24条)が行き過ぎた個人主義という風潮を
生んでいる側面も、私は否定できないと思う。

あの「戦争に行きたくないのは利己的」発言の武藤貴也も
「選択的夫婦別姓は個人主義の問題だから反対」
という趣旨のことを言っていました。
自民党の改憲草案の24条は、選択的夫婦別姓を認めないのを
合憲としやすくするためと考えられますから、
より直接的な個人主義否定による24条否定だと言えます。

「別姓は個人主義の問題?」



連載では前に話題になった、自民党の改憲解説の漫画に言及します。
5月9日エントリでお話したあのコマに触れています。

「自民党・改憲の解説漫画(2)」

ほのぼの一家の憲法改正ってなあに? p.61

これについては、わたしのブログでもお話しています。
連載では
憲法を「家訓みたいなものかしら」とするこの漫画、
女性の地位が向上したから家族の絆が薄れたと言いたいのだろうか
と書いていますが、そうとしか思えないです。
猛批判を受けると思ったのか、それをはっきり言うことを避ける程度の
「用心深さ」は、解説漫画の作者にもあったのでしょう。


自民党のお歴々は「国家や社会や家族のために
女性の権利を制限する必要がある」と言いたいということです。
そして女性の権利制限を正当化する「根拠」として、
「個人主義悪玉論」を持ち出しているということです。
憲法24条の改正も、女性の権利をいまより制限する
という考えを込めているということになります。


国家や社会や家族のために女性の権利を制限するとどうなるのか、
ひとつの具体的な例が連載で挙げられています。
「女は自分のために生きようなどと考えず、
無学のまま親族や地域社会のために尽くせばよい」ということです。

私は、長崎県の離島で生まれ育った。母は20歳で結婚。
父方の祖父を介護し、その間の家事は、私が担った。
「女は勉強せんでもいい」という風土が、息苦しかった。
法事のときは、地域の女性みんなで炊事をする。
親戚付き合いは、何より優先されていた。
「家族の絆」という美しい言葉では表せない、たくさんの葛藤があった。

これは記者の個人的な体験ですが、同様のことは
日本全国どこの地方でも、普遍的に見られたと思います。

(憲法を考える)自民改憲草案・家族:下 女性の地位向上は個人主義?:朝日新聞デジタル

実に良い記事。執筆した杉原里美記者が、実家の長崎の離島で母親や地域女性が法事の際の負担に追われたことを自民党の家族観と重ねている。私の住む奈良盆地でも90年代に似た話があり、当然女性は不満を持っていた。

2016/04/21 19:31

自民党の改憲案は女性の犠牲の上に成り立つこうした社会を
「家族の絆」とか「地域の連帯」と表現していることになるでしょう。
成員の一部の犠牲の上に成り立つというのであれば、
そんなものは本来の「絆」「連帯」ではないです。

「睦み和らぎの心も豊かになっていくはず」という
幻想に至っては、独善もはなはだしいというものです。
女性の犠牲がなければ「絆」「連帯」が成り立たないというなら、
その「絆」「連帯」はそれだけ不健全ということであり、
むしろさっさとなくしてしかるべきです。

このあと記者は憲法で男女平等が定められているのと見て
自分の生きかたを自分で決めてよいと、希望を持ったことを書いています。
自民党の改憲草案には、女性にこうした希望を持ってほしくない
という思いも込められているのでしょう。

小学校高学年のとき、憲法に男女平等が書かれていることを知った。
自分の生き方は自分で決められるんだ---。心の支えにしてきた。


55年体制時代は、「夫が外で働き妻が専業主婦」という
ジェンダーによる役割分担が定着した時期でした。
それは女性を無給の家事や介護・育児の要員にするという、
女性を犠牲にした上での社会だったのでした。
社会福祉を敵視し「伝統的家族」を理想とする自民党のお歴々は、
こうした家族のありかたに回帰したいものと思います。

1970年代は「日本型福祉」が称揚され、私の母のような専業主婦は、
介護や家事の担い手として期待されていた。
その後、経済が停滞し、97年には共働き世帯数が
専業主婦世帯を本格的に上回り、差は広がり続けている。
それに伴い、保育所整備も進んだが、予算は圧倒的に不足している。

自民党の改憲草案の24条は「家族の助け合い」という
文言が加えられますが、これは社会福祉を削減して、
家庭による扶養を要求するための口実として使われる
可能性が考えられているのでした。

「自民改憲草案・家族の助け合い」
「自民改憲草案・扶養義務」

かかる福祉削減のためには女性を犠牲にする必要があるので、
憲法24条を改正して女性の権利を制限しよう、
ということでもあるのでしょう。

posted by たんぽぽ at 23:29 | Comment(2) | TrackBack(0) | 法律一般・訴訟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
サミットが行われる今月の26日あるいは27日の18時丁度に、国内全ての(通勤電車の)女性専用車並びに女子トイレに対しての一斉サリンテロを断行する。既に、発生装置は仕掛けた。
てめえら日本女子は調子に乗りすぎだ!!男性層から何か気に入らないことをされると、何かにつけて警察という名の【暴力装置】を悪用する。そういう行為を合法とするような法令を敷いた奴についても、子孫を含め一族郎党に【畜生殺し】にするよりほかはあるまい!!!


てめえら女子層と警察を諸共に必ずや【地獄へ逆落とし】にしてやる。こっちはイスラム国やオウムの残党が付いている。警察頼みにしても無駄だ!!!
Posted by 吠えたぎる獅子 at 2016年05月25日 15:26
吠えたぎる獅子さま、あなたを投稿お断わりとします。

「投稿お断わりのお知らせ(5)」
http://taraxacum.seesaa.net/article/438271731.html

以前投稿お断わりにした「白田川 一」や
その「おともだち」の人たちと、特徴がよく似ているからです。
http://taraxacum.seesaa.net/article/434076493.html
http://taraxacum.seesaa.net/article/434718538.html
http://taraxacum.seesaa.net/article/434753310.html


「白田川 一」は「おともだち」がたくさんいるらしく、
やはり以前投稿お断わりにした「m13」もその一員のようです。

「呼び寄せられる不気味」
http://lacrima09.blog.shinobi.jp/Entry/1220/
「投稿お断わりのお知らせ(4)」
http://taraxacum.seesaa.net/article/436090356.html

吠えたぎる獅子さまは「m13」とも面識があるのでしょうか?
Posted by たんぽぽ at 2016年05月25日 23:11
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