2016年05月22日

toujyouka016.jpg 自民改憲草案・人口政策

5月21日エントリの続き。
自民党の憲法草案の「家族」を取り上げた朝日新聞の連載の「下」、
女性の地位向上についての続きです。

「(憲法を考える)自民改憲草案・家族:下 女性の地位向上は個人主義?」
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「(憲法を考える)自民改憲草案・家族:下 女性の地位向上は個人主義?」

 
国家や社会、家族のために女性を犠牲にしたい自民党の憲法草案ですが、
犠牲にすることで具体的に女性にさせたいことのひとつが
「子どもを産み育てる」であることは、容易に考えられることです。
連載記事では、子どもを産み育てるという圧力が
女性にかかることについて、いくつも例が挙げられています。

「女性にとって最も大切なことは、子どもを2人以上産むことです。
これは仕事でキャリアを積むこと以上に価値があります」。
大阪市の中学校長の発言を思い出す。2月29日の全校集会でのこと。
高校入試を控えた女子生徒もいただろう。どんな思いで聞いたのだろう。
それでも、新聞記者になって地元に帰った時、
中学時代の担任は開口一番、こう言った。
「仕事もいいけど、子育てもちゃんとせんとね。
一方で、少子化も進行した。
安倍政権は「希望出生率1.8」を国の目標として掲げる。
昨年9月には菅義偉官房長官が芸能人カップルの結婚に
「ママさんたちが一緒に子どもを産みたいとか、
そういう形で国家に貢献してくれたら」と発言。

ふたつ目は記者の個人的体験ですが、同じようなことは
「日常的なこと」として、多くのかたにとって珍しくないだろうと思います。
ひとつ目と3つ目はマスコミで話題になったことです。

「ふたり以上産むことが大切?」
「子どもを産んで国家に貢献?」


自民党のお歴々も少子高齢化に対する危機感はあるのでしょう。
一部に見られる少子化楽観論を主張する人はあまりいないようです。
出生率を高めて少子化を解消しなければという意識自体は、
党内からも反対意見は見られないようです。

彼らが問題なのは、女が自由意志を持つようになって
子どもを産まなくなったから少子化社会になった
などと考えていることにほかならないです。
そこから少子化の解消のためには、女性の自由を制限して
子どもを産ませることだと考えることになります。

「女性の権利と格差と少子化」
「人口政策はやはり男女平等」

彼らはそもそもが「国家や社会のために個人がある」
という思想なので、人口政策に対しても
「お国のために子どもを産ませる」という考えかたに、
なんら問題を感じないこともあるのでしょう。


こういうことをはっきり言うと猛烈に批判されることは
自民党のお歴々もわかっているらしく、
あからさまな言いかたはなかなかしないようです。
はっきり言えるのはネットの「反フェミ」のように、
責任のない立場で発言できる人たちなのでしょう。

それでも菅義偉の「国家に貢献してくれたら」発言のように、
彼らがふだん思っている思想がことばの端に染み出るくらいは
わりとしょっちゅうあるもののようです。


太平洋戦争の時代、日本は戦時人口政策という、
「お国のために子どもを産ませる」政策を推進したことがありました。
現在でも共産主義国の中には「国家のための家族」という
理念にもとづき、「個人は国家のために子どもを
産み育てる義務がある」と考える思想があります。

「大政翼賛会の母性の保護」
「共産主義国の反同性愛」

かつてのファシズムの時代にみずから行なったことが
教訓にならないのは危険なことだと言えます。
また自民党のお歴々が敵視しているであろう
共産主義とそっくりなことを意に介さないというのは
危険を通り越して失笑ものだと思います。

「共産主義国の反同性愛(2)」

高度経済成長期は、企業の利益のために産児制限をしたのですが、
「子どもはふたりくらいがよい」という考えを
国民全般に普及させるという方法でした。
個人のライフスタイルに国策で介入することに関しては、
高度経済成長の時代からすでに、ファシズムの時代を
教訓にしていなかったと言えます。


21世紀の民主主義社会は「国家のために国民に
子どもを産ませる」という人口政策を是としないです。
「国家は個人のためにある」というのが基本思想であり、
ゆえに「個人のための家族政策」という理念が基盤にあります。

それは少子化を克服しつつあるとされる国でもしかりです。
フランスの家族政策は「個人がどのようなライフスタイルでも
選択できるよう、国家が基盤を整える」という立場であり、
時代に応じて多様化していくライフスタイルに、
家族政策が対応し続けてきたのでした。

「フランスの家族政策」
「フランスの家族政策(2)」

「【こんにちは!あかちゃん 第24部】少子化乗り越えた 
フランスから<下>家族を社会の根本に」


‐具体的にはどんな内容か。

「フランスの家族政策には三つの柱がある。一つは法的環境の整備。
事実婚や婚外子の容認、異性同性のカップルに
結婚と同等の権利を与える「連帯市民協約(PACS)」の法制化、
同性婚解禁と、時代とともに進化している。

‐いい形の人口動態を手にすることができたのはなぜか。

「子どもを1人持つか3人持つかは、カップルが決めること。
その決断がしやすい環境を、国や企業がどう整備するかだ。
何が子どもを持つブレーキになっているか、カップルに寄り添って、
不都合や不安をどう解消するかを考え、取り組んだ結果だ」

出生率が回復して少子化が克服されつつあるのは、
個人のライフスタイル実現のために国家が奉仕した結果として
現れた効果というスタンスであるということです。

実際には出生率の回復を意図して導入した政策であっても、
あくまで目的は個人のライフスタイルであり、
出生率の回復はむしろ「副産物」という位置付けです。


日本の為政者がこうしたことにいつ気づくかはわからないです。
一般市民のレベルであれば、「女性手帳」のように
個人のライフスタイルへの介入と思われる政策が
導入されようとすると、強い反発が出たりします。

「女性手帳で少子化対策?」

社会が「国家のために子どもを産んでもらわなければ」と
考え続けるなら、「少子化で日本が滅んでも構わない」と
考えるかたも少なくなくいらっしゃるようです。

「少子化対策・立場の違い」

太平洋戦争中や高度経済成長期のような
国家による個人のライフスタイルの管理という、
21世紀の民主主義社会に受け入れられない思想や政策を
拒否するようにはなっていると言えます。

posted by たんぽぽ at 23:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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