民法改正法案が6月1日に参院本会議で可決しました。
5月20日に衆院で可決しているので法案成立です。
「女性の再婚禁止期間100日に 違憲判決で改正民法成立」
「女性の再婚禁止期間を100日に短縮 民法改正法が成立」
「女性の再婚禁止 100日に 期間短縮、改正民法成立」
「女性の再婚禁止、100日に短縮…改正民法成立」
「女性の再婚禁止期間「6カ月以上」→「100日」に短縮」
「改正民法が成立 女性の再婚禁止期間を100日に短縮」
「女性の再婚禁止期間を短縮 改正民法が成立」
http://www.asahi.com/articles/ASJ5075XZJ50UTIL06D.html
離婚した女性の再婚禁止期間を6カ月から100日に短縮する
民法の改正法が1日、参院本会議で可決、成立した。
離婚時に妊娠していないことを医師が証明した場合などには、
離婚から100日以内であっても再婚を認める条文も盛り込まれた。
近日中に公布、施行される。
もちろん2015年12月の最高裁の違憲判決を受けた改正です。
自民党内でも目立つ反対はなかったし、順調に進むだろうとは
思っていましたが、わりあい順調に運んだと思います。
「再婚禁止期間に違憲判決」
5月20日の衆院法務委員会での可決の記事です。
「再婚禁止100日を可決 民法改正案成立へ」
「女性の再婚禁止期間100日に短縮 衆院法務委で可決」
「再婚禁止100日を可決 民法改正案成立へ」
閣議決定は3月8日でした。
「再婚禁止100日閣議決定 「妊娠せず」前倒し容認」
再婚禁止期間は短縮されますが100日は残ることになります。
現在のDNA鑑定などの医療技術があれば、
父子関係ははっきり判定できるので、父性の推定の必要はなく、
再婚禁止期間自体が必要ないものです。
「再婚禁止・残された100日」
日本弁護士連合会は、再婚禁止期間自体を
すべて廃止するべきだという声明を出しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160601/k10010542241000.html
日弁連会長「禁止期間自体を撤廃すべき」
日弁連=日本弁護士連合会の中本和洋会長は
「国会が改正すべきと判断した点については評価できるが、
100日に短縮しても、女性のみに再婚禁止期間を
設けることがやむをえないとは言えない。
日本政府は、国連の委員会からも、再婚禁止期間を廃止すべきだと
繰り返し勧告されているところであり、
禁止期間自体を撤廃すべきだ」とする声明を出しました。
国連の女子差別撤廃委員会は、再婚禁止期間をすべてなくすことを
勧告しています。
「CEDAW日本審査・民法改正」
「CEDAW日本審査・民法改正(2)」
再婚禁止期間内でも妊娠していないことが証明できれば
再婚できる規定を含めることや、高齢の結婚や同一人物との再婚など、
これまで運用で再婚禁止を適用しなかったケースも、
はっきりと条文で定めることを検討していました。
「再婚禁止規定・民法改正案」
http://www.asahi.com/articles/DA3S12120472.html
6人の裁判官が賛同した「補足意見」でも、「100日以内」は
違憲ではないものの、父親をめぐって争いになる
可能性がない場合には、再婚禁止期間は必要ない、と提案した。
実際にはすでに、婚姻届を受け取る窓口で、女性が高齢の場合や
離婚した夫と再婚する場合などには適用が除外されている。
医師の証明書などで「離婚時に妊娠していない」ことが
確実であれば、適用を除外してもよい、とも述べた。
これらも成立した法案には含まれています。
最高裁判決では補足意見として付け加えられていた
内容まで踏み込んだことになります。
「女性の再婚禁止 100日に 期間短縮、改正民法成立」
民法733条1項は、父子関係を安定させるため、
女性の再婚禁止期間を離婚後6カ月と規定。
今回の改正はこの期間を100日に短縮した。
また(1)離婚時に妊娠していなかった
(2)離婚後に出産した−−など、「父は誰か」という推定が重ならに場合は
1項を適用せずにすぐに再婚できるようにした。
(1)、(2)に該当することを戸籍窓口で証明するため、
原則として医師作成の証明書の提出が求められる。
再婚禁止の規定が改正されたのは、最初に民法が施行された
1898年以来初めてのこととなったのでした。
19世紀に定められた法律を、21世紀まで変更を加えずに
後生大事そうに続けていたことになります。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20160601-OYT1T50069.html?from=tw
100日を超える再婚禁止期間は憲法違反とする
昨年12月の最高裁判決を受けた措置で、再婚禁止の期間が見直されるのは
118年前となる1898年(明治31年)の民法施行以来、初めて。
欧米の民主主義国では、女性の権利と医療技術との観点から、
再婚禁止期間はどこも廃止されて「過去のもの」となっています。
ヨーロッパの国でいまだ再婚禁止期間があるのはイタリアくらいです。
イタリアはカトリックのお膝元で、家族やジェンダーに関して
因習・反動的なので、周辺国より遅れを取っているのでしょう。
「諸外国の再婚禁止期間」
イタリアには再婚禁止期間内で結婚が認められるケースはあります。
日本は今回の民法改正でイタリアに追いついたくらいです。
「ガラパゴス」が「周回遅れ」になったというレベルです。
「世界の離婚(11)〜イタリア編〜」
イタリアには再婚禁止期間があり、女性は前婚の解消から300日間は再婚できません。
ただし、婚姻の解消前から同居していなかった場合には、
裁判所は再婚禁止期間中でも婚姻を許可することができます。
また、妊娠の終了によっても再婚禁止期間が終了します。
今回の民法改正の施行から3年をめどに再検討する
という附則が付け加えられています。
3年後には再婚禁止期間の全廃に向かうのかが気になるところです。
http://www.asahi.com/articles/ASJ5075XZJ50UTIL06D.html
付則では、再婚禁止制度そのものも今回の法改正の施行から
3年をめどに再検討することにした。
http://mainichi.jp/articles/20160601/k00/00e/010/219000c
今回の改正では、与野党の修正合意により、
施行3年後をめどに見直しを行う付則も加えられた
それでも一歩前進と、喜ぶべき?
これも選択制別姓と同じく、『誰にも不利益を生じない』
話のはずなんですけどね…
夫と別れた女が、即再婚なぞ、そんなふしだらは許せん。
まして夫の子を身ごもってるかも知れない時期に!
DNA鑑定が無かった時代から意識が一歩も進んでいないのか、
単なる他罰感情なのか、自分を愛さない女への復讐なのか、
あるいは、
再婚禁止期間を無くしてしまったら、自分の妻はしっぽを
振って他の男のところに行ってしまうだろう。
という恐れがあるのだろうか…?
と思います。
このエントリにコメントありがとうございます。
>撤廃ではなく、短縮ですか。
>それでも一歩前進と、喜ぶべき?
「ガラパゴス」から「周回遅れ」ですからね。
そう考えるとあまり喜べないと言えます。
それでも民法改正前よりは格段に状況は改善されたし、
これで救われる人がたくさんいるのもたしかではありますが。
>という恐れがあるのだろうか…?
>と思います。
男性に優位な仕組みを残したかった、ということかもしれないです。
再婚禁止期間の全廃だったら、自民党の「家族思想信仰」が
大事な人たちは、もっと反発して噴きあがった可能性はあります。
再婚禁止期間が女性にとって障害になるのは、
結婚生活が破綻していても夫が離婚に応じない、というケースが多いです。
形骸化していても「結婚している」という既成事実を
維持したがる男性が多いということかもしれないです。
このあたり、離婚が多いと男性の自殺が増えることと、
なにか関係があるのかもしれないです。
「日本の未婚男性の不幸感(2)」
http://taraxacum.seesaa.net/article/438393056.html