いまの20代は早婚傾向にあるから、少子化問題は10年後には
解決しているのではないかというご意見です。
「もしかして少子化問題って10年後には解決してるんじゃないの?
非婚が進む30代と早婚志向な20代の溝」
(はてなブックマーク)
裏付けとして記事著者のヒアリングを始め、婚活サービスの利用も
20代が多くなっているという調査があります。
記事にある「婚活経験者の約半数が20代」というのは、
リンクしている記事の次のデータだと思います。
「婚活を始める年齢」は20代でちょうど半分を占めます。
20代の婚姻率が高くなるから、出生率も上がって
少子化問題は解決に向かうだろうということが記事の予想です。
「【婚活者必見】日本初の婚活ブログアンケート調査の結果発表」
なにをのどかなことを言っているのだというのが、わたしの率直な感想です。
これをご覧のかたもおそらくそうお思いだろうと思います。
子どもを持つ人が減っているのは、仕事と育児を両立できる
環境が整備されないことと、経済的事情が解決しないことによります。
2014年に発表された、内閣府の「家族と地域における子育てに
関する意識調査」によると、「今後、子どもを持つ場合の条件」で
回答数が多いものは以下の6つです。
−−−−
1. 仕事と子育ての両立
2. 教育に対する経済的負担
3. 健康上の問題
4. 保育所の整備
5. 雇用の安定
6. 配偶者の家事、育児への参加
−−−−
このうち2.と5.は「経済的問題」であり、
1.4.6.は「仕事と子育ての両立」に関することです。
「子どもを持つ場合の条件」
「保育園落ちた日本死ね」の記事が象徴するように、
女性が仕事と子育てを両立できる環境整備はいまだに遅れています。
出産した女性がパートに回されることも横行しています。
子どもがいる女性の賃金格差は大きいです。
長時間労働を始め既婚男性中心の労働環境も残っているし、
男性の家事への参加もとぼしいです。
「「保育園落ちた日本死ね」」
「出産でパートに回される」
「子を持つ女性の賃金格差」
「WLBと女性管理職の割合」
「女性管理職と長時間労働」
「家事をしない日本の男」
子どもを産み育てるための経済的負担や時間的負担は
あいかわらず大きいことになります。
とくに雇用や賃金に関することの女性の不利は、
20代であればなおさら厳しいと思います。
20代の出生率が上昇する要因は取り立ててないと言えます。
「男女&雇用形態別年収分布」
「女は結婚で年収が減る」
「男女別正規・非正規雇用の数」
20代の結婚観について、30代の結婚観と比較しながら
記事でいくつか述べられています。
これらから察するに、20代にとっての結婚は、
「とにかくいっしょになっておく」というものであって、
結婚と子どもを持つことがリンクしていないということだと思います。
子どもを持たないだけでなく、いっしょに暮らすともかぎらず、
女性が家事の負担を多く引き受けるのでもなく、
遊びに行こうと思えば時間的余裕はたくさんあって、
結婚しても独身時代とあまり違わない暮らしをする、
というものに近いのではないかと、わたしは想像します。
それに対して20代は「まずは同じ年収くらいの男性を探します。
それがだめでも条件を下げて結婚するつもり。
暴力をふるうとか、ギャンブルに全財産突っ込む人はだめだけど、
ある程度まともな相手となら結婚したい」と現実的な発言が多い。
20代は男性も早婚志向なのが興味深い。
学生時代から付き合った彼女と結婚したいから就職活動を頑張りたい、
次に付き合った女性と結婚したいという発言が目立つ。
よって20代の結婚観がこのようだというなら、
今後の状況として予想されるのは「結婚する人は増えるけれど
子どもを持つ人はあまりいない」社会になるでしょう。
20代でも子どもができたら時間的負担や経済的負担が
増えることくらいわかっているでしょう。
「とにかくいっしょになる」だけの結婚だから、
20代の経済力や時間的余裕でも可能だということです。
もしかして少子化問題って10年後には解決してるんじゃないの?非婚が進む30代と早婚志向な20代の溝 - トイアンナのぐだぐだ
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確かに、結婚「だけ」ならそこまでの束縛はないと思う/ただ、これからくるのは「結婚しても子どもをあまり生まない」社会。流石に子どもが出来たら自由が減るのは20代も認識してるし、子どもを育てるためのお金がない
2016/05/18 21:39
記事著者は結婚と出産がリンクしていると、
暗黙のうちに思っているものと思われます。
それで婚姻率が高くなるのだから、それにともなって
出生率もおのずと高くなるだろうと考えるのだと思います。
それは記事著者が書いている30代以上の結婚観だと思います。
この世代は結婚したら子どもを持つものと思っている、
もしくは子どもを持つために結婚すると思っているのでしょう。
もし「経済力がないから結婚できない」というのなら、20代こそ非婚化するはずだ。
非正規雇用の比率は上がっているし、
20代男性の年収はここ10年以上300万円台を脱していない。
だが現実には20代の方が早婚志向である。
「経済力がないから結婚できない」というのは間違いではないです。
内閣府の世論調査でも示されています。
これは従来の結婚当事者世代が出産とリンクした結婚観を
持っているからで、子どもを持って時間的負担や経済的負担が
増えることを前提にして結婚を考えるからです。
「未婚・晩婚化の意識調査」
それゆえ経済力がなくて子どもを持てない人は、
そもそも結婚しないことになります。
子どもは持たないけれど、結婚だけするというかたは、
ことのほか少ないということです。
結婚と子どもを持つことがリンクしているのが、
これまでの結婚観だということは、配偶者のいる女性の出生率は、
とくに30代で上昇を続けていることが示しているでしょう。
経済力のある人だけが結婚して子どもを持つということです。
「有配偶者女性ベースの出生率」
有配偶女性ベースだと,出生率は上がっているじゃんよ。やっぱ,少子化の原因は未婚化なんだ。 pic.twitter.com/stT8jbOXGT
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014年7月8日
記事では
30代は「いい人がいたら結婚したい。性格が合うかを付き合う中で知っていきたい。などと書いていますが、そんなことはぜんぜんないと思います。
運命の人を探してるんです」というラブロマンス的な出会いを探している。
結婚したら仕事が続けられなくなり、家事の負担を女性が多く引き受けて、
遊びに行ったりと自由な時間も少なくなり、
子どもを持ってさらに経済的負担も増えるという結婚観であれば、
相手を決めるのに慎重を重ねるのは当然です。
依然として、
http://skky17.hatenablog.com/entry/2014/10/31/223934
結婚は、男性にとっては「イベント」であり、女性にとっては「生まれ変わり」である以上、こうした状況に対してきわめて現実的な
判断をしているというだけのことです。
付記1:
20代の結婚観が記事のように出産とリンクしないものだとしたら、
もしくは社会ないし相手の男性がそれを受け入れるように
なっているとしたら、これは好ましいことだと思います。
結婚しても子どもを持たない生きかたが定着することで
ライフスタイルの多様性が広がることになります。
フェミニズム的な視点で言えば「ロマンチックラブ・イデオロギー」の
一角が崩れることにもなります。
結婚が男性だけでなく女性にとっても「イベント」になることで、
結婚におけるジェンダー平等に近くことにもなります。
付記2:
もしかすると非婚・少子化問題は10年後、1975〜85年生まれ特有の現象というのは、いまの20代に対する認識はもちろん、
として語られる日がくるのかもしれない。
過去に対する認識に関しても気になるところです。
1980年代から出生率は下がり続けていました。
いまの40代や50代が結婚・出産適齢期だったときも
すでに少子化は進んでいたということです。
政府が本格的に人口現象を問題視したのも1990年ごろですから、
すでに四半世紀ほど前のことになります。
「楽観的すぎた出生率予想」
この記事著者は少子化問題を30代特有のことと思っているあたり、
日本の少子化は21世紀に入ってからの比較的最近の現象だと
思っているのかもしれないです。