共同調査による、参院選の候補者アンケートをご紹介しました。
「候補者アンケート (朝日・東大谷口研究室共同調査)」
(はてなブックマーク)
ここでは家族・ジェンダー政策について、
各政党がどのようなスタンスにあるかを見てみたいと思います。
「家族観 夫婦別姓・同性婚、違い鮮明」
(はてなブックマーク)
朝日の記事は短いので、全文引用します。
■朝日・東大谷口研究室共同調査
事実婚、シングルでの出産、夫婦別姓……。
家族の形が多様化し、そのあり方を巡って議論が活発化する中、
政治の対応が注目される。
家族観について、「夫婦と複数の子どもがそろっているのが
家族の基本形だ」と「シングルマザーや共働きで子どもがいない夫婦など
家族の形は多様でよい」のどちらに考えが近いか聞いたところ、
自民の半数超が「夫婦と子ども」「どちらかと言えば夫婦と子ども」と答えた。
一方、民進や公明、共産、社民は「多様でよい」
「どちらかと言えば多様でよい」が多数を占め、認識の違いが鮮明になった。
夫婦別姓の賛否では、自民の4割、こころの全員が「反対」。
民進、公明、共産、社民は8割以上が賛成派だった。
同性婚の是非についても、自民、こころは反対派が多数だった。
自民は党憲法改正草案24条に
「家族は、互いに助け合わなければならない」を新設した。
ただ、どの項目を改憲すべきかとの質問に、
「家族」を挙げた自民候補は3割超にとどまった。
この記事では「家族のかたち」「夫婦別姓」「同性婚」について
各政党のスタンスを示す図が載せられています。
「家族のかたち」とは、「家族思想信仰」を維持・強制するか、
ということに他ならないです。
Aが「信仰」の維持、強制、Bが「信仰」からの自由です。
結果は予想通りです。
社民と共産が家族のかたちの多様性を最も主張します。
ついで民進と公明でこれら2党はほぼ同程度の位置にあります。
自民とおおさか維新は真ん中より反対側となり、
最右翼の幸福実現党と日本のこころが、
もっとも「信仰の維持・強制」を主張することになります。
選択的夫婦別姓と同性結婚も同じ傾向を示します。
政党の並びかたもほぼ同じで、「家族のかたち」でB寄りの政党ほど、
選択的夫婦別姓と同性結婚で賛成が多くなります。
これらは「家族思想信仰」の政策での具体的な現れですから、
傾向や並びかたが同じになるのは当然と言えます。
選択的夫婦別姓よりも同性結婚のほうが全体的に
反対に寄っているのは、同性結婚は選択的夫婦別姓にくらべて
まだいくらか抵抗があるということなのでしょう。
ほかに、おおさか維新が思ったより真ん中にいることが、
特筆することかもしれないです。
6月30日の朝日新聞には、選択的夫婦別姓と同性結婚について
次の考察があります。
「(朝日・東大谷口研究室共同調査)民共、消費増税・改憲に隔たり
自公、夫婦別姓・靖国参拝で差 参院選」
夫婦別姓を法律で認めるかについても、
自民は反対派が4割超いたのに対し、公明はほぼ全員が賛成派。
同性婚についても、賛成派が自民は1割未満だったのに対し、
公明は約3割となり、違いが出た。
民進は夫婦別姓の賛成派が8割強、同性婚の賛成派が4割超おり、
これらの政策については、公明は自民よりも民進の方が近い傾向にあった。
選択的夫婦別姓のスタンスは、公明党はもともと賛成であり、
自民よりも民進に近いというのは、むかしから言われていることです。
民法改正問題にずっとかかわっているかたでしたら、
わざわざ調査するまでもなくわかることだと言えます。
選択的夫婦別姓については、公明党は自民党に対して
ほとんどまったく影響力を行使できないので、
現在にいたるまで、実現しないままでいるということです。
自民党の選択的夫婦別姓の反対派議員は4割以上ですが、
賛成派議員が6割近くいて、全体では賛成のほうが多いことになります。
自民党を含めた国会議員全体では賛成のほうが多い
というのも、むかしから続いている状態であり、
よく言われていることだと思います。
本日の新聞。選択的夫婦別姓をかなえるには自民党を落とすしかないと思っていたが、六割の議員が賛成してるのか。
— わんわん (@wanwan_nz) 2016年6月29日
いかに右よりの議員が国会を牛耳っているのかよく分かった。 pic.twitter.com/OxrhA8mh8h
反対派(非共存派)議員というのは、頑迷きわまりなく、
どんな理屈や根拠を見ても無駄、というだけでなく、
主張の強さの激しさも、引けを取らない人たちばかりです。
まともに議論したらかなわないので、ヒステリックに
息巻くしかないとわかっているのでしょう。
「反対派と議論すると...」
「自民党法務部会の実態」
選択的夫婦別姓に関しては、反対派(非共存派)のほうが、
賛成派(共存派)よりずっと熱心で、情熱をかける傾向があります。
それで共存派議員でもさほど積極的でない人は、
非共存派議員の激しい剣幕の前にたじろいでしまい、
結果、選択的夫婦別姓は反対されることになります。
自民党に対しては、日本会議や神道政治連盟のような
右翼的な宗教団体が圧力をかけることも大きいと思います。
神道政治連盟は自民党に対して選挙協力する見返りとして
選択的夫婦別姓への反対を要求してきます。
反対するよう念書を書かせることもあるという徹底ぶりです。
「推薦団体との公約」
産経新聞には7つの公約のうち4つしか掲載されていませんでしたが、
神道政治連盟のページをみると7つすべてあります。
なんとそこには夫婦別姓も。
一、いはゆるジェンダーフリー思想に基づく
夫婦別姓制の導入や男女共同参画社会の推進に反対します。
「朝日ニュースターで野田聖子出演」
支持団体から指令が出ているのだそうです。
去年の総選挙前に選挙応援の見返りに夫婦別姓に反対するようにと
念書を書かされた議員がいたと野田氏は指摘していました。
実際に自民党支持団体には夫婦別姓に猛反対な団体がいるそうです。
そうなると、とくに選挙基盤の弱い候補者は、
選挙協力してもらうために、内心は賛成していても、
選択的夫婦別姓に反対を表明するようになります。
日本会議は自民党に圧力をかけて、選択的夫婦別姓の推進派の議連
「例外的に夫婦の別姓を実現させる会」に参加していた
45人のうち12人を脱退させた実績があります。
「日本会議・別姓反対小史」
「日本会議研究 下 家族編 別姓反対 「広げた」運動」
02年までに、日本会議は181万を超える署名を集め、
自民党議員に反対を表明するよう働きかけ、189人の議員署名を集めた。
その結果、「自民党内に45人いた『別姓推進派』から12人が脱退した」という。
2010年の参院選では、自民党は選択的夫婦別姓に反対することを
公約にしたし、大部分の議員が反対だったのでした。
ここにも日本会議の影響はあるものと思います。
このころの自民党は野党だったので、
支持基盤との連携にとくに力を入れていたのでした。
「えらぼーと(2)」
自民党
13. 夫婦別姓
賛成: 3%、反対: 96%