2016年07月06日

toujyouka016.jpg 日本会議・運動の手法

6月29日6月30日7月2日エントリの続き。

朝日新聞の日本会議の「選択的夫婦別姓反対小史」の記事では、
日本会議が使う運動の手法について触れられています。

「日本会議研究 下 家族編 別姓反対 「広げた」運動」

3手法を総動員
運動手法は主に、署名集め、大規模な集会、地方議会での決議だ。

 
日本会議の重要な手法である、署名集めやデモ、集会というのは、
もともと左翼やリベラルが使う運動手法だったのでした。
7月1日エントリで触れた、『日本会議の研究』の著者インタビューの記事で、
このあたりについて少し述べられています。

「安倍政権を支える右翼組織「日本会議」の行動原理(上)」
右翼といえば、戦闘服を着て、軍歌を流しながら
街宣車に乗っている姿を想像しがちですが、
本当の右翼は背広を着てデモをして署名集めをしているんですよ。
で、政権を動かすフィクサーといえば葉山の別荘とか
ゴルフ場で首相と密談をしているようなイメージを抱きがちですが、
日本会議のメンバーはゴルフどころか、
土日はデモや署名集めをやっているんです。
デモや署名活動といえば、逆に左翼の手法です。
一般的な右翼のイメージとはまるで違いますね。
まさに、そういう「イメージとの乖離」を書きたかったわけです。
日本会議はリベラル勢力から、運動の仕方から
使う言葉からデモのやり方まで学んで真似た。
そして彼らは「68年の反乱」から飽きることなく
地道にそれをやり続けたわけです。

日本の保守や右翼は、運動の手法は左翼やリベラルのものを
取り入れているというのは、よく言われると思います。
藤岡信勝氏なんてその見本ですよね。)
日本会議はこの点についても、徹底していたことになりそうです。

1968年に世界で同時多発的に学生運動が起きたのですが、
ヨーロッパの国ぐにはリベラルや左翼がその運動手法を継承したけれど、
日本では保守や右翼が継承したことに端を発するようです。
(なぜ日本ではリベラルや左翼が継承しなかったのかは、
彼らは内部対立に明け暮れていたからだそうです。)


三つを総動員した運動は、日本会議が発足してから2回しかない。
夫婦別姓の反対運動と、教育基本法の改正運動だ。
どちらも日本会議の主張通り、政府の法案が提出されなかったり、
法律が改正されたりした。

かくして選択的夫婦別姓の実現阻止で大きな「成果」をあげた
日本会議ですが、それは事実と根拠を示して理解を広めるのではなく、
物量に任せてデマをばらまくと言ってよいやりかたです。

「七生養護学校の件について」
といってもその批判の多くは、価値闘争的というよりは
むしろ流言ベースのバッシングだったといえ、
「ジェンダーフリー教育」「過激な性教育」「男女共同参画」の3つを
意図的に混同させ、「男女共同参画基本法」を廃止することを
目標に社会問題化しようというものだった。

デマ情報を氾濫させることで、リテラシーの低い人を騙すとともに、
適切な情報にアクセスしにくくして、結果的に適切な情報を
発信する人の妨害をすることにもなります。

「「情報の封鎖」と「情報の氾濫」」


「親子別姓で縦のつながりが遮断」とか「別姓夫婦は男女の野合」といった
日本会議の主張を始め、自民党PTの「3500の実例」とか
日本政策研究センターのスウェーデン・バッシングなど、
どれもばかげた主張ですし、反論するのは容易なものばかりです。

こんなでたらめな主張でも、組織力を動員して物量に任せて
大量に流すことで、選択的夫婦別姓の実現を阻止するという
目的は達成させられるということです。
「うそも百遍言えばなんとやら」でしょうか。
ここに素朴な「話せばわかる」信仰は崩れることになります。

かかる流言ベースのデマ情報は「内輪向け」でもあるのでしょう。
日本会議にしてみれば、政府や国会議員をたじろがせて、
選択的夫婦別姓の実現に反対させればよいと言えます。
その意味では主張に実証性があることよりも、
威圧感があるほうが大事ということになります。

推進派が「お願い」したり「伝える」ことによって、
選択的夫婦別姓の必要性を理解するようになった議員よりも、
反対派の圧力によって選択的夫婦別姓に反対を標榜するようになった
議員のほうが多いのですから、日本会議のやりかたは
きわめて効果的であると言わざるをえないです。


これは日本会議からの「勝利宣言」と見ていいでしょう。
選択的夫婦別姓の息の根を止めるのは終わった、
いまや悲願の憲法改正に手をつけるときだ、ということです。

「政府に夫婦別姓を導入する動きがない今は、
家族を憲法にどう位置づけるかが課題だ」と、
日本会議の村主(むらぬし)真人広報部長は言う。

いま、日本会議はこれまでに「成功」した手法を総動員し、
憲法改正を目指している。

選択的夫婦別姓の実現を求めるかたたちは、
それだけなめられていることでもあります。
「こんなことが許されていいのか!?」と思うのですが、
選択的夫婦別姓の実現の見通しは、ほとんどまったくない現状です。

posted by たんぽぽ at 22:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 政治活動・市民運動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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