全体比は23.1%で、これは過去最高となりました。
これまでの過去最高だった2007年の26人を更新です。
非改選と合わせて、参院全体では21%となり2割を超えます。
「女性当選者28人、過去最多 参院議員の21%に」
(はてなブックマーク)
「女性当選者 過去最多28人」(全文)
「参院選 女性候補、最多28人当選」
「参院選女性当選最多…でも女性の政治参画、いまだ遅れ」

「過去最高」と言っても全体の4分の1を超えていないです。
列国議会同盟の女性議員ランキングを見ても、
女性議員の多い国は4割程度あります。
23.1%というのは、国際的にはまだまだ少ないことになります。
「Women in national parliaments」
女性議員が少ないのは、日本の「ジェンダー平等指数」で
政治分野の格差が大きくなる原因でもあります。
「政治のジェンダー格差」
女性議員の存在感が眼に見えるためには3割以上だと言われています。
この意味でもまだまだ少ないということです。
三重大学教授の岩本美砂子さん(政治学)は
「今回の女性躍進は評価できるが、参院で2割に過ぎない。
3割を超えれば存在感が目に見えると言われており、まだ足りない」
女性の候補者は96人で当選率は29%です。
男性の当選率は32%で、若干男性のほうが当選しやすいようです。
それでも候補者の人数の男女比がほとんどそのまま
当選者数の男女比になっていると言ってよいでしょう。
各政党が女性の候補者を擁立する自助努力が大事になるようです。
「女性の活躍推進や男女平等を掲げる政党が率先して、
候補者の男女割合を均衡にするなど、自ら努力すべきだ。
国民の半分は女性であり、多様な女性議員が
国会に誕生することが重要だ」と指摘する。
6月に女性議員を増やすための法案が、自民党の部会で猛反発を受けて、
超党派での法案提出ができなかったのでした。
「女性議員増法案提出できず」
女性議員を増やすことをこころよく思わない
現職の国会議員がとくに与党にいるわけで、
女性議員をじゅうぶんな数だけ増やすのは、
まだまだいばらの道になりそうです。
女性議員を増やすため、男女同数の候補者を目指す法案作りを
超党派の国会議員で進めていたが、先の通常国会では合意に至らなかった。
政党別は自民10人(18%)、民進7人(22%)、公明3人(21%)、
共産2人(33%)、おおさか維新2人、社民1人、生活1人、無所属2人です。
自民は全体の当選者が多かったので、女性当選者も多くなっています。
割合は18%で他党と比べるとやや少なめです。
民進党の7人は結構健闘したのではないかと思います。
割合は22%で全体平均にはわずかに及ばないですが。
社民と生活の各1人はどちらも女性です。
無所属は4人当選なので、うちふたりが女性というのは、
女性の当選率が高いと言っていいでしょう。
当選者の少ない政党や無所属で女性当選者が多かったことも、
全体の女性当選者の数に寄与したようです。
全体の女性当選者が増えるときは、選挙区での女性当選者が
増えるときという指摘があります。
比例の女性当選者はいつも10人前後で、あまり変わらないからです。
(比例で増えないことはこれはこれで問題だと思います。)
上智大学教授の三浦まりさん(政治学)は、
「比例選の当選者数が10人前後と従来と変わらない中、
今回は選挙区選で躍進が際だった」と説明する。
特に1人区で、実力のある女性が野党統一候補となって
勝利したことが大きいという。
「勝てる女性が増えれば、手を挙げる女性も増え、女性有権者も
政治を身近に感じやすくなるという好循環が生まれる」と話す。
一般に比例のほうが女性が当選しやすく、
選挙区は女性に不利と言われています。
比例は当選者割合の変動がしにくく、選挙区は変動しやすいので
選挙区では女性当選者が増えるときは
きゅうにに増えるということなのでしょう。
今回の参院選で女性当選者が増える原因となったのは、
1人区の野党共闘候補に当選が多かったことがあります。
野党共闘は女性当選者を増やすのにも効果があったことになります。
民進党からの女性当選者が比較的多かったのも、
野党共闘候補の当選が多かったことによると思われます。
一般に民進党の当選が増えると女性当選者の割合は
高くなる傾向にありますが、1人区の野党共闘に限っては
民進党は善戦したということなのでしょう。

2007年も選挙区での女性当選者が多かったですが、
これは小沢一郎が積極的に女性の候補者を擁立したからです。
このとき初めて女性議員の割合が2割を超えたのでした。
「女性議員を増やした小沢一郎」
1989年は「マドンナブーム」で、
やはり積極的に女性候補者を擁立したときでした。
日本で女性議員が増え始めた(増やさなければという
意識を持つようになった)のは1989年以降と言えます。
付記1:
各国の国会議員の占める女性の割合の推移。
ジェンダー平等先進国の北ヨーロッパは別格で早かったですが、
女性議員を増やそうという意識を持つようになったのは、
国際的に見ても1990年代からと言えそうです。
「女性議員の割合の年次推移」
先進国における上院における女性議員比率の推移。実は、日本でも女性が初めて選挙権を得た1946年には8.4%だったんですけどね。現在、衆議院では9.5%です。 #datanhk pic.twitter.com/3EeMTIijmG
— akupiyo (@akupiyocco) 2015年5月23日
付記2:
日本が国際的に見て女性国会議員が少ない原因の
ひとつとして、クォータ制がないことがあります。
クォータ制がない国はOECD加盟国の中では、
ニュージーランド、アメリカ合衆国、日本、トルコの4か国だけです。
この点についても日本は取り残されつつあります。
「国会議員にクォータ制導入を」
「OECD30か国の状況」