2016年07月17日

toujyouka016.jpg 参院選・比例区の民進復調

7月11日7月12日7月13日エントリの続き。
7月10日の参院選についてです。

「2016参院選」

今回は比例区について見ていきたいと思います。
比例は党勢が割と直接的に反映されやすいです。
比例の獲得議席を見れば、おおむね党勢がわかると言えるでしょう。

「自民、比例2千万票超す 01年「小泉旋風」に次ぐ」
「自民 比例2000万票超え 19人当選 01年「小泉旋風」に次ぐ」(全文)

「18・19歳の半数、比例区で自公に投票 朝日出口調査」
「18・19歳の半数 自公に投票 本社出口調査 比例区」(全文)

「無党派層、比例投票先は民進と自民互角 朝日出口調査」
「無党派層の票は分散」(全文)

 
自民党の絶対得票率と議席占有率/各党の参院選比例得票率の推移

今回の参院選の、民進党の比例の獲得議席は11です。
党勢がじゅうぶん回復したとは言えないレベルではあります。
それでも小泉旋風の陰に隠れた2001年よりも議席を取っています。
自民党の過去最低は2010年の12議席なので、
それにもあと1議席まで迫ったことになります。

前回2013年の民進党の議席はわずか7議席、
公明と同数で得票数は公明を下回るという凋落ぶりでした。
今回はそれから4議席増えて、議席と得票数の両方で
比例第2党になったのであり、ここでも党勢の回復の兆候が
出てきたとは言えそうです。

議席が伸びた民進と生活は得票率・得票数ともに増えていますが、
議席が増えなかった共産と社民も得票率・得票数は少し増えています。
立憲4党は全て得票率と得票数を伸ばしたということです。
支持層固め、支持層の拡大ができたということだと思いますが、
参院1人区の野党共闘に好感を持たれたことも
原因のひとつとしてあったことが考えられます。


自民党の獲得議席は19で、前回2013年よりさらに1増えています。
得票率・得票数も増えて、2000万票を超えたのでした。
2001年の小泉旋風の得票数に迫っています。
自民党は依然として党勢が安定していると言えます。

自民党は絶対得票率(棄権した人も含めた
すべての有権者に占める割合)が、比例区は15-20%程度であり、
あまり変化しないという指摘があります。
基本的に組織票や支持層からの票が多いのでしょう。

棄権者も含めた全有権者に占める割合を示す
「絶対得票率」で自民党の比例区得票率を見ると、
04年以降は10%台後半で推移しており、
大きく変動しないことが特徴だった。

第2次安倍政権以降に圧勝した13年参院選や
14年衆院選でも、自民支持に大きな広がりはなく、
低い投票率に支えられての勝利と見られてきた。
今回、投票率は前回から約2ポイント増加したが、
自民党の比例票も大きく伸びたことが議席増につながった。

朝日新聞は投票率は上がったけれど、
自民党の比例票は大きく伸びたという分析をしています。
自民の比例区の絶対得票数は、2013年は18%、2016年は19%で、
前回よりそれほど増えていないと言えます。

2016年の投票率は2013年より高いと言っても、
2.09ポイント多いだけなのでたいしたことないです。
今回の自民党の議席獲得も低い投票率に支えられたと
言ってよいのではないかと思います。


無党派層の投票先は

比例で民進党に投票した無党派は、全体の19%です。
2013年は12%ですから、3年前と比べると
だいぶ無党派からの得票は回復したと言えます。
党勢が強かった2010年の30%にはまだまだ及ばないので、
回復の兆候が現れたくらいだと言えます。

比例で自民党に投票した無党派は、全体の19%です。
2013年は23%ですから、3年前と比べると
無党派からの得票は減りだしたことになります。
それでも自民党が2000万票以上を得て19議席を獲得したのは、
自民党の支持率が41%もあることによります。

無党派の投票先で民進党の19%は、自民党の19%と並んでいます。
1人区の無党派の投票先は、野党統一候補に56%、
自民党に34%だったのでした。
無党派からの支持に関する限り、民進党は自民党と同程度か
それ以上に得票できる程度に、党勢が回復したと言えそうです。


今回の参院選で投票した無党派は全体の13%でした。
2013年は22%、2010年は21%なので、
無党派はこれまでより動員できなかったことになります。
いつもより無党派の投票率が低いあたり、
改憲の危機は無党派にはあまり届かなかったことになります。

全体の投票率が2013年より少しとはいえ上がったのは、
各政党の支持層が増えた、もしくは投票率が
上がったということだと思います。
改憲の危機を感じたのは支持政党がある程度に
ふだんから政治に関心のある層、ということなのでしょう。


今回は自民党も民進党も「身内」を固めているという特徴があります。
とくに民進党の比例の議席が伸びたのは、
支持層からの票をまとめたことも原因と言えます。

10年参院選は自民支持層1割が比例区でみんなの党に、
前回も維新の党とみんなに計1割が投票するなどしていたが、
今回は自民支持層の8割が比例区で
自民に投票していて、歩溜まりが良かった。

民進も、前回は旧民主支持層から自民や共産、維新、みんななどに
比例区の票が流れ、歩溜まりがかなり悪かった。
だが今回は、民進支持層の8割が比例区で民進に投票しており、
支持層をまとめることに成功した。

前回の2013年に支持層からの票がまとまらなかったのは、
政党の数が多く、とくに維新やみんなの党といった
「第三極」に票が流れたことがあります。
「第三極」が整理統廃合されてなくなったので、
それらの票が自民や民進に戻ってきたということでしょう。

posted by たんぽぽ at 21:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 選挙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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