7月10日の参院選についてです。
「2016参院選」
今回は比例区について見ていきたいと思います。
比例は党勢が割と直接的に反映されやすいです。
比例の獲得議席を見れば、おおむね党勢がわかると言えるでしょう。
「自民、比例2千万票超す 01年「小泉旋風」に次ぐ」
「自民 比例2000万票超え 19人当選 01年「小泉旋風」に次ぐ」(全文)
「18・19歳の半数、比例区で自公に投票 朝日出口調査」
「18・19歳の半数 自公に投票 本社出口調査 比例区」(全文)
「無党派層、比例投票先は民進と自民互角 朝日出口調査」
「無党派層の票は分散」(全文)
今回の参院選の、民進党の比例の獲得議席は11です。
党勢がじゅうぶん回復したとは言えないレベルではあります。
それでも小泉旋風の陰に隠れた2001年よりも議席を取っています。
自民党の過去最低は2010年の12議席なので、
それにもあと1議席まで迫ったことになります。
前回2013年の民進党の議席はわずか7議席、
公明と同数で得票数は公明を下回るという凋落ぶりでした。
今回はそれから4議席増えて、議席と得票数の両方で
比例第2党になったのであり、ここでも党勢の回復の兆候が
出てきたとは言えそうです。
議席が伸びた民進と生活は得票率・得票数ともに増えていますが、
議席が増えなかった共産と社民も得票率・得票数は少し増えています。
立憲4党は全て得票率と得票数を伸ばしたということです。
支持層固め、支持層の拡大ができたということだと思いますが、
参院1人区の野党共闘に好感を持たれたことも
原因のひとつとしてあったことが考えられます。
自民党の獲得議席は19で、前回2013年よりさらに1増えています。
得票率・得票数も増えて、2000万票を超えたのでした。
2001年の小泉旋風の得票数に迫っています。
自民党は依然として党勢が安定していると言えます。
自民党は絶対得票率(棄権した人も含めた
すべての有権者に占める割合)が、比例区は15-20%程度であり、
あまり変化しないという指摘があります。
基本的に組織票や支持層からの票が多いのでしょう。
棄権者も含めた全有権者に占める割合を示す
「絶対得票率」で自民党の比例区得票率を見ると、
04年以降は10%台後半で推移しており、
大きく変動しないことが特徴だった。
第2次安倍政権以降に圧勝した13年参院選や
14年衆院選でも、自民支持に大きな広がりはなく、
低い投票率に支えられての勝利と見られてきた。
今回、投票率は前回から約2ポイント増加したが、
自民党の比例票も大きく伸びたことが議席増につながった。
朝日新聞は投票率は上がったけれど、
自民党の比例票は大きく伸びたという分析をしています。
自民の比例区の絶対得票数は、2013年は18%、2016年は19%で、
前回よりそれほど増えていないと言えます。
2016年の投票率は2013年より高いと言っても、
2.09ポイント多いだけなのでたいしたことないです。
今回の自民党の議席獲得も低い投票率に支えられたと
言ってよいのではないかと思います。
比例で民進党に投票した無党派は、全体の19%です。
2013年は12%ですから、3年前と比べると
だいぶ無党派からの得票は回復したと言えます。
党勢が強かった2010年の30%にはまだまだ及ばないので、
回復の兆候が現れたくらいだと言えます。
比例で自民党に投票した無党派は、全体の19%です。
2013年は23%ですから、3年前と比べると
無党派からの得票は減りだしたことになります。
それでも自民党が2000万票以上を得て19議席を獲得したのは、
自民党の支持率が41%もあることによります。
無党派の投票先で民進党の19%は、自民党の19%と並んでいます。
1人区の無党派の投票先は、野党統一候補に56%、
自民党に34%だったのでした。
無党派からの支持に関する限り、民進党は自民党と同程度か
それ以上に得票できる程度に、党勢が回復したと言えそうです。
今回の参院選で投票した無党派は全体の13%でした。
2013年は22%、2010年は21%なので、
無党派はこれまでより動員できなかったことになります。
いつもより無党派の投票率が低いあたり、
改憲の危機は無党派にはあまり届かなかったことになります。
全体の投票率が2013年より少しとはいえ上がったのは、
各政党の支持層が増えた、もしくは投票率が
上がったということだと思います。
改憲の危機を感じたのは支持政党がある程度に
ふだんから政治に関心のある層、ということなのでしょう。
今回は自民党も民進党も「身内」を固めているという特徴があります。
とくに民進党の比例の議席が伸びたのは、
支持層からの票をまとめたことも原因と言えます。
10年参院選は自民支持層1割が比例区でみんなの党に、
前回も維新の党とみんなに計1割が投票するなどしていたが、
今回は自民支持層の8割が比例区で
自民に投票していて、歩溜まりが良かった。
民進も、前回は旧民主支持層から自民や共産、維新、みんななどに
比例区の票が流れ、歩溜まりがかなり悪かった。
だが今回は、民進支持層の8割が比例区で民進に投票しており、
支持層をまとめることに成功した。
前回の2013年に支持層からの票がまとまらなかったのは、
政党の数が多く、とくに維新やみんなの党といった
「第三極」に票が流れたことがあります。
「第三極」が整理統廃合されてなくなったので、
それらの票が自民や民進に戻ってきたということでしょう。