明治安田生活福祉研究所の調査を見ると、恋愛や結婚に対する
意欲が最近になって、急速に減っていることがわかったのでした。
「2016年 20〜40代の恋愛と結婚」
(はてなブックマーク)
「20〜40代の恋愛と結婚 -第9回結婚・出産に関する調査より-」
「20代男性の53.3%が「交際経験なし」 恋愛・結婚意識に「年収」は影響大」
(はてなブックマーク)
恋愛や結婚に対する意欲減退の原因として、調査では年収を挙げています。
これを見てみたいと思います。
年収階層別の恋愛と結婚に関する意識や行動を見ると、
とくに男性に年収依存がはっきりしています。
意識と行動の両面において、年収が低いほど消極的です。
女性にも年収依存はある程度あるのですが、
男性ほどはっきりとはしていないです。
恋愛や結婚に対する意識や行動が年収に依存するのは、
ひとつは「衣食足りて恋愛を知る」からではないかと思います。
恋愛とはある程度以上生活に余裕あって、
心理的に余裕があってできるということです。
「衣食足りて恋愛を知る」
もうひとつは恋愛の先に結婚があると考えていて、
結婚がある以上、生活が安定しないわけにいかないと
考えるということだと思います。
とくに男性は女性より、自分が家計を支えなければならない
という意識が強く働くので、年収が安定しないと
なおさら結婚や恋愛をする気にならないのでしょう。
明治安田生活福祉研究所の調査を見ると、
男性の「独身でいる理由」でもっとも多いのは、
「家族を養うほどの収入がない」になっています。
2014年の内閣府が行なった「家族と地域における
子育てに関する意識調査」でも、「若い世代で未婚・晩婚が
増えている理由」の2位は「経済的に余裕がないから」
(男性に限ると1位)であり、「結婚を決心する状況」の1位は
「経済的に余裕ができること」だったのでした。
恋愛や結婚に関する意識や行動は、経済状況、生活の安定が
かなり影響していると思ってよいでしょう。
6月11日エントリで、「とにかくくっつく」という
意識の結婚が20代で増えているのではないかという
お話をしましたが、全体に影響するほどではないようです。
2013年から2016年にかけては、全部安倍政権の時代です。
この時代に恋愛や結婚に対する意識や願望が
急速に薄れたわけで、「アベノミクス」は恋愛や結婚に
積極的になれるような経済状況の変化を、少なくとも若年層に
対してはもたらしていないことになります。
「アベノミクス」が若年層に薄情であることは、
これまでにも何度かお話していることです。
日本の賃金体系はもともと既婚男性優遇です。
それに加えて、若年層は非正規雇用という労働市場の周辺に回され、
さらに低年収かつ不安定な生活を余儀なくされたのでした。
「男は結婚で年収が増える」
「日本の非正規雇用はひどい」
「安倍政権・経済効果が薄い理由」
「賃金格差と低い労働生産性」
「アベノミクス」はこうした既婚男性優遇の賃金体系の
改善にあまり熱心ではないのでした。
若年層の暮らしが改善されないのも無理もないというものです。
http://wpb.shueisha.co.jp/2016/01/22/59766/2/
構造改革という名の下に「雇用の流動性を増やしましょう」とか
「規制を緩和しましょう」という、ファクラーさんの意見と
同じようなことは自民党も安倍首相も言っている。
でも、実際にやっていることは既得権益者に
利益を誘導するような形でしかない、と。
http://blogos.com/article/142480/
終身雇用制と年功序列が完全にはなくならず、
さらに正規雇用と非正規雇用が固定化したため、
低賃金の労働力が生産性の低い分野に流入した。
日本は若者や女性を虐げ、外国人労働者を排除してきたため、
時代の変化とグローバル化に完全に乗り遅れてしまった。
企業は、少子高齢化が進む国内市場には投資せず、海外企業を買収している。
若者たちは正規雇用の指定席を求めて、リスクをとらなくなっている。
移民についても拒絶反応は相変わらずだ。
若者や女性を低賃金で働かせて得た利益は
海外に投資され、人口はどんどん減っていく。
こうした悪循環を断つためには、日本は若者たちが
家庭を持って子供を育てていけるよう、まず賃金を上げるべきだ。
差が出るのは既婚者なのよ。
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2016年2月7日
男性社員には「養う家族がいるだろう,がんばれ」,女性社員には「仕事はほどほどにね」ってね。 pic.twitter.com/awyOc1syAk