2016年07月23日

toujyouka016.jpg 結婚願望と交際経験の減少(2)

7月16日エントリの続き。

明治安田生活福祉研究所の調査を見ると、恋愛や結婚に対する
意欲が最近になって、急速に減っていることがわかったのでした。

「2016年 20〜40代の恋愛と結婚」
(はてなブックマーク)
「20〜40代の恋愛と結婚 -第9回結婚・出産に関する調査より-」

「20代男性の53.3%が「交際経験なし」 恋愛・結婚意識に「年収」は影響大」
(はてなブックマーク)

恋愛や結婚に対する意欲減退の原因として、調査では年収を挙げています。
これを見てみたいと思います。

 
年収階層別の恋愛と結婚に関する意識や行動を見ると、
とくに男性に年収依存がはっきりしています。
意識と行動の両面において、年収が低いほど消極的です。

20・30代未婚男女の恋愛・結婚に関する意識・実態(年収階級別)(1/2)

女性にも年収依存はある程度あるのですが、
男性ほどはっきりとはしていないです。

20・30代未婚男女の恋愛・結婚に関する意識・実態(年収階級別)(2/2)

恋愛や結婚に対する意識や行動が年収に依存するのは、
ひとつは「衣食足りて恋愛を知る」からではないかと思います。
恋愛とはある程度以上生活に余裕あって、
心理的に余裕があってできるということです。

「衣食足りて恋愛を知る」

もうひとつは恋愛の先に結婚があると考えていて、
結婚がある以上、生活が安定しないわけにいかないと
考えるということだと思います。
とくに男性は女性より、自分が家計を支えなければならない
という意識が強く働くので、年収が安定しないと
なおさら結婚や恋愛をする気にならないのでしょう。


明治安田生活福祉研究所の調査を見ると、
男性の「独身でいる理由」でもっとも多いのは、
「家族を養うほどの収入がない」になっています。

独身でいる理由(20・30代未婚の男女:複数回答)

2014年の内閣府が行なった「家族と地域における
子育てに関する意識調査」でも、「若い世代で未婚・晩婚が
増えている理由」の2位は「経済的に余裕がないから」
(男性に限ると1位)であり、「結婚を決心する状況」の1位は
「経済的に余裕ができること」だったのでした。

図表6 若い世代で未婚・晩婚が増えている理由<MA>(全体・性別)

図表7 結婚を決心する状況<MA> (結婚意向者、全体・性別)


恋愛や結婚に関する意識や行動は、経済状況、生活の安定が
かなり影響していると思ってよいでしょう。
6月11日エントリで、「とにかくくっつく」という
意識の結婚が20代で増えているのではないかという
お話をしましたが、全体に影響するほどではないようです。


2013年から2016年にかけては、全部安倍政権の時代です。
この時代に恋愛や結婚に対する意識や願望が
急速に薄れたわけで、「アベノミクス」は恋愛や結婚に
積極的になれるような経済状況の変化を、少なくとも若年層に
対してはもたらしていないことになります。

「アベノミクス」が若年層に薄情であることは、
これまでにも何度かお話していることです。
日本の賃金体系はもともと既婚男性優遇です。
それに加えて、若年層は非正規雇用という労働市場の周辺に回され、
さらに低年収かつ不安定な生活を余儀なくされたのでした。

「男は結婚で年収が増える」
「日本の非正規雇用はひどい」
「安倍政権・経済効果が薄い理由」
「賃金格差と低い労働生産性」

「アベノミクス」はこうした既婚男性優遇の賃金体系の
改善にあまり熱心ではないのでした。
若年層の暮らしが改善されないのも無理もないというものです。

http://wpb.shueisha.co.jp/2016/01/22/59766/2/
構造改革という名の下に「雇用の流動性を増やしましょう」とか
「規制を緩和しましょう」という、ファクラーさんの意見と
同じようなことは自民党も安倍首相も言っている。
でも、実際にやっていることは既得権益者に
利益を誘導するような形でしかない、と。

http://blogos.com/article/142480/
終身雇用制と年功序列が完全にはなくならず、
さらに正規雇用と非正規雇用が固定化したため、
低賃金の労働力が生産性の低い分野に流入した。
日本は若者や女性を虐げ、外国人労働者を排除してきたため、
時代の変化とグローバル化に完全に乗り遅れてしまった。
企業は、少子高齢化が進む国内市場には投資せず、海外企業を買収している。
若者たちは正規雇用の指定席を求めて、リスクをとらなくなっている。
移民についても拒絶反応は相変わらずだ。
若者や女性を低賃金で働かせて得た利益は
海外に投資され、人口はどんどん減っていく。
こうした悪循環を断つためには、日本は若者たちが
家庭を持って子供を育てていけるよう、まず賃金を上げるべきだ。




posted by たんぽぽ at 08:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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