とくに男性に対しての必要性を説いています。
性教育のパイオニアと言える村瀬幸浩氏との対談です。
「「レイプもセックスだと思ってた」…まともに教えず、
男を誤解させる自民党の政治的性教育」
(はてなブックマーク)
日本は00年代の性教育バッシングの影響で、性教育が大きく後退したのでした。
そのせいもあって性についての知識がふじゅうぶんで、
とくに男性に危険な考えをする人がいるわけです。
この記事の3ページ目にこんな例が出ています。
にわかに信じがたいですが「レイプはセックスのバリエーション」
くらいの認識の人も男性の中にはいるというのですよ。
わたしも衝撃的かつびっくりです。
しかし、「学ばない」というのは恐ろしいことです。
例えば昔、「レイプが女性の人格を切り裂く
殺人的行為だなんて考えたこともなかった。
セックスのバリエーションのひとつくらいに思っていた」
という感想文を書いてきた男子学生がいましたが、
僕はこれに大きなショックを受けた。
学ばないとは、こういうことなんです。
いまから13年前ですが、早稲田大学で起きた集団強姦事件に対して、
「レイプする人は元気があるからいい」などと
コメントをした国会議員がいたのでした。
「太田誠一議員の「レイプは元気」発言」
これも「レイプはセックスのバリエーション」くらいの
認識だったのではないか、とも思っています。
そしてこのような認識の男性は、それほど珍しくないのではないか
ということが、わたしの懸念するところです。
こんなとんでもないことを言ってはばからない男性がいる
というのは、取りもなおさず性に関する知識が
ふじゅうぶんであるゆえ、ということになります。
ここに性教育を充実させる必要はある、ということです。
一般に男性は、とくに女性の性に関して「他人ごと」感が強く、
それゆえ無神経で無理解になりやすいもののようです。
対談記事ではこんな例もあげています。
望まない妊娠をさせた女性に対して、
酷薄になる男性が珍しくないというお話です。
http://mess-y.com/archives/32936/2
桃山商事では過去に数回、恋人の子どもを中絶し、
そのことで深く傷ついている女性から相談を受けたことがあります。
彼女たちが最も傷ついていたのは、彼氏の“他人事感”でした。
望まない妊娠をさせてしまったことに申し訳なさを
感じているのは確かだけど、中絶費用を負担し、
彼女の手術が無事に済めば、それで一件落着だと思っているようだ──。
女性たちは彼氏の態度からそういった
他人事感を感じ取り、深く傷ついていました。
中には手術が終わるやいなや別れを告げてきて、
「責任は果たした。これ以上求められても困る」なんて
言ってきた彼氏もいたようで……。本当にクソ野郎なんですが、
その一方で、恋人が身体的に経験した出来事を具体的に
イメージすることができず、だから彼らはあんな酷いことが
言えたのではないかと思いました。
このような「他人ごと」感も、性に関する知識がふじゅうぶんゆえに
望まない妊娠をさせた女性に対する理解や共感に
とぼしくなることもあるだろうと考えられます。
村瀬 もちろん許されることじゃないけど、
無知ゆえにリアルな想像や共感ができなかったという側面もあるだろうね。
清田 こういった悲劇を未然に防ぐためにも性教育は本当に大事だなと感じます。
記事で対談している村瀬幸浩氏が性教育に関心を持つようになったのも、
自分の妻との関係がうまくいかなくなったことが発端です。
女性の月経や性的要求の知識がなかったので、
妻に対して無神経で無理解になっていたのでした。
http://mess-y.com/archives/32936
例えば妻は月経がつらいタイプの女性でね、僕らは共働きだったんだけど、
仕事が大変なときと月経が重なったときなんか、
妻はもう青ざめた顔して帰ってくるわけです。
ひどいときは、そのまま立ち上がれないような状態のときもあって。
僕は性教育なんてまったく受けたことなかったので、
女性の月経もよく知らないような状態でした。
それで、妻がどんな状態にあるのか正しく理解できず、
内心で「家事をやるのが億劫だから仮病使ってんじゃないか?」
とか思っていたわけです。
女性の性的欲求に関する知識もまるでなかったので、
妻の気分なんて考えずに性交を要求し、拒否されて
ムッとしちゃうこともしばしばあって。
「愛し合って結婚したはずなのに、何でうまくいかないんだろう?」
って考えたとき、性の問題に関する無知が大きな要因に
なっていることにようやく気づいたんです。
それで妻に謝って、「互いの性について一緒に勉強しませんか」と提案した。
こうしてみると、性教育はとくに男性に必要であり、
女性の性についてもっとよく知っている必要がありそうです。
ところがこの手の話題は女性向けのメディアでしか
取り上げられないことが多いように思います。
この対談記事も『メッシー』ですから女性向けです。
「レイプもセックスだと思ってた」…まともに教えず、男を誤解させる自民党の政治的性教育 - messy|メッシーこういうの大事だけど、女性向けのコンテンツでしか取り上げられないね。男性にも見てほしい。
2016/07/23 10:23
この対談記事では、性教育の効果として
「間違った知識を落とす」ことをあげています。
「教育」というと新しい知識を得ることばかり意識しがちですが、
それだけではないということです。
だから性教育というのは、新しい知識を学ぶことだけじゃなく、
間違った知識を「学び落とす」という行為でもある。
とくに性については、怪しげな情報が氾濫しています。
そうした情報の影響で、おかしな認識をしている人も多いでしょう。
今はネット環境が行き届いたこともあって、
お手軽に性的刺激を得られる時代になっています。
そういう中では遠回りで面倒くさい考えに思われちゃうかもしれないけど、
やはりまずは「性とは何か?」というところから考えて、
きちんと事実を積み上げていくことが大事でしょう。
アダルトビデオの影響を受けて、女性が望まないプレイや
危険なプレイを要求する男性が出てくるのも、そのうちでしょう。
不正確で危険な情報の影響から脱却するためにも、
適切な性教育が必要になると言えます。
「「AVに影響受け過ぎ!」と、Hのときにドン引きした男性の言動9パターン」
「セクハラの心理 >> AVの影響」
さらに言えば、おとなにも性教育は必要だと思います。
性教育というと高校生や中学生を対象にするイメージですが、
性に対するリテラシーが怪しいのは、おとなにもたくさんいるからです。
これって子どもだけの話ではなく、我々のように
すでに成人している人間にも関係する問題ですよね。
大人だからといって性の正しい知識やリテラシーが
身についているかというと、全然そんなことはないわけで。
最後にわたしが指摘しておきたいのは、次のくだりです。
「性欲は文化」とはっきり言っています。
はっきりと「性欲は本能でない」と否定するのはすごいと思います。
http://mess-y.com/archives/32936
性欲というのは本能ではなく文化です。
だからこそ、きちんとした性教育が大事になってくるわけです。
性欲はいちおう本能であり、性欲の外へのあらわしかたが
文化なのではないかと、わたしは思っています。
「性欲」そのものと「性欲の外への出しかた」のいずれにせよ、
「文化」である以上、性教育によって対処できることになります。
「性欲というのは文化」で、わたしが連想するのは、
「男の性欲」や「男が女を買いたいと思う要求」は
対処が困難であるかのような主張を展開していたかたです。
「性欲は本能だから教育で対処は困難」と考える人は、
たくさんいるだろうと思います。
「女性にとって男性から望まない性的接触をされるのは、
一般的にはひどく不快で恐怖」であることや、
「女性にとって性を売ることはとても忌避される」ことを、
このかたは、なかなか理解したがらなかったのでした。
「女性にとって性を売ること」
「女性にとって性を売ること(2)」
さらに女性の貧困対策として、性産業に従事させて
カラダを売らせればいい、という主張まで展開していたのでした。
「女性の性を財源で語る」
こういう認識の男性は、珍しくないものと思います。
こうした認識も、女性の性に対する「他人ごと」感や、
それからくる無理解や無神経のうちであり、
性教育の充実によって解決を図ることだろうと思います。
自分は性教育の欠如以前に、想像力が欠如しているのだと思います。それをしたら相手がどう思うのか、自分に置き換えて考える能力そのものがないのだと思います。
普通の男女間の行為でも互いの気持ちを通わせる努力を怠る。ましてや金で買った相手に、なんの気兼ねをすることでしょうか。
相手を考えもせずにおもてなしとか、よくもまぁ。ちゃんちゃらおかしいですよ。
文明の崩壊は想像力の欠如から始まります。
このままなら、この国も先は長くないでしょうね。
コメントありがとうございます。
>自分は性教育の欠如以前に、想像力が欠如しているのだと思います
教育以前でわかりそうなものだと、わたしも思うことありますよ。
(それがわからないから、想像力を養うために
性教育が必要ということなのでしょうけれど。)
>それをしたら相手がどう思うのか、
>自分に置き換えて考える能力そのものがないのだと思います
男は女にならないですからね。
そういう男性にとっては、どうやっても「他人ごと」なのだと思います。
>相手を考えもせずにおもてなしとか、
この手のダブルスタンダードというか偽善、結構多いように思います。
>文明の崩壊は想像力の欠如から始まります。
>このままなら、この国も先は長くないでしょうね
2050年に世界一悲惨な国になると、予想されてもいますからね。
いまのロシアほど大規模ではないだろうと思いますが、
外国へ引っ越す人も出てくるかもしれないです。
http://lacrima09.blog.shinobi.jp/Entry/291/
性教育が必要なのは言うまでもないことですね。
件の人が女性にとって望まぬ性交に酷い苦痛が伴うことが、根本的なところで理解されない(表面的には理解していても、一般女性の理解の深度とは雲泥の差があるご様子)のは、学問的裏付けを持っていないからだと思います。
彼なりに「自分がされて不快なことは人にしてはならない」といった道徳観ならお持ちでしょうけど、自分の感性を相手に投影して「自分ならこう感じるから相手もこうだろう」と想像力を働かせるから大きな誤解を生むのでしょう。
男女で生殖戦略が大きく異なるため、「性」に関しては自分の感性や経験をもとに想像力を働かせて、良かれと思ってしたことでも異性の相手をかえって傷つけてしまいかねない面はありますね。
以前にもこちらのブログに書かせていただいたことがあるのですが、私が書いたYahoo!知恵ノートの内容です。
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n355396
※女性が配偶関係を結ぶのに必要となる生物学的条件
1.自身が心身ともに健康であること
2.配偶相手の適応度が高いこと
3.配偶相手から自身に向けられる愛情が深く揺るぎないこと
こちらはほぼAND条件、論理積。
1*1*0=0(拒絶)、1*1*1=1(受容)
※男性が配偶関係を結ぶのに必要となる生物学的条件
1.配偶相手の身体的魅力が高いこと
2.配偶相手が若く清純であること
こちらはほぼOR条件、論理和。
0+0=0(無反応)、1+0=1(有反応)
このように、男女間で全く違うわけですが、性風俗産業に従事する女性は2.の配偶者選択権、と3.の愛情確認が充足されないため、心身の多大な苦痛と経済的利得との間で重大な葛藤に悩まされることになります。
男性は中学生でも性的加害者になりえますから、想像力を働かせるだけではまったく不十分で、第二次性徴に伴う女性に関する性的好奇心の高まりからくる体験や試行錯誤の段階で被害者を生み出してしまいかねません。
教育によってきちんとした理科学的知識を裏付けとした想像力を働かせるよう導くことが特に男性側に必要だと考えます。
性教育の一環として避妊や性病の知識などを教えるだけでなく、性行為を無理強いするといかに女性を傷つけるかについても義務教育の段階で教えておく必要があるでしょう。また、高校生物や大学教養課程で有性生殖システム、進化心理学、文化人類学について学び、それらの観点から性に関する理解があると、異性に対する理解が格段に深化すると期待できます。
日本は医師、薬剤師、看護師、介護士、保育士など医療系の需要が増えているにもかかわらず、理科教育は物理化学ばかり偏重され、大学入試でそれらの分野に進む者でも、選択科目に生物が入っていないことが少なくないために、物理・化学で受験する人が多く(はっきり言って、これらの分野に物理学は不要)、文系はもちろん、理系の人でも性に関して科学的に理解できている人はごく少ないと言わざるを得ないのが現状です。
このエントリにコメント、ありがとうございます。
>彼なりに「自分がされて不快なことは人にしてはならない」
>といった道徳観ならお持ちでしょうけど
男性は「自分がされる」ことが、ありえないですね。
ジェンダー規範や立場だけでなく、からだの作りが違うので、
性に関しては男性はどうやっても女性の経験をすることがない。
となると、男性はいくら想像しても、女性のことを
理解するのはきわめて困難、ということになりそうです。
少なくない男性は自分の利益のために、
女性の性を理解したがらないことが多いです。
だからなおさらわからなくなるということなのでしょう。
>男女で生殖戦略が大きく異なるため、
>「性」に関しては自分の感性や経験をもとに想像力を働かせて、
想像力だけでは、男性は女性の性を理解するのは
ほとんど無理というかたが、大部分ということになりそうですね。
想像力の働く男性のほうが、むしろ奇特ということですね。
>http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n355396
こちらはご紹介ありがとうございます。
以前にも、わたしのブログで紹介してくださっていましたね。
女性のほうが愛情重視で、条件もハードルが高いのでした。
========
※女性が配偶関係を結ぶのに必要となる生物学的条件
1.自身が心身ともに健康であること
2.配偶相手の適応度が高いこと
3.配偶相手から自身に向けられる愛情が深く揺るぎないこと
こちらはほぼAND条件、論理積。
1*1*0=0(拒絶)、1*1*1=1(受容)
※男性が配偶関係を結ぶのに必要となる生物学的条件
1.配偶相手の身体的魅力が高いこと
2.配偶相手が若く清純であること
こちらはほぼOR条件、論理和。
0+0=0(無反応)、1+0=1(有反応)
========
この配偶関係の生物学的条件を見ていると、
なぜ風俗は男性用ばかりなのかもわかりそうです。
性産業従事の女性でも、男性の条件の1.や2.だけなら
満たすことはできる、ということだと思います。
男性の性産業従事者には、女性の条件の2.や3.が期待できないので、
女性は風俗を利用して解決にはならない、
それで女性用の風俗は広まらないのでしょう。
>3.の愛情確認が充足されないため、心身の多大な苦痛と
>経済的利得との間で重大な葛藤に悩まされることになります。
実は1.も満たされないことが多いです。
性産業に従事していると、メンタルを損なったり
性感染症に罹患することが少なくないからです。
>教育によってきちんとした理科学的知識を裏付けとした想像力を
>働かせるよう導くことが特に男性側に必要だと考えます
わたしも「男性問題」だと思っています。
無理解によって、男性が女性を傷つけるほうが、
女性が男性を傷つけるよりずっと起きる可能性が高く、
また被害が出たとき深刻ですからね。
>理系の人でも性に関して科学的に理解できている人は
>ごく少ないと言わざるを得ないのが現状です
わたしのブログで「女性にとって性を売ることの忌避や恐怖」を
理解しようとせず、「自発的に性を売る女性がいる」ことばかり
議論していたかたも、理工系出身でした。
性に関する科学的理解は、ご多聞にもれず怪しいことになりそうです。
このかたは男性の条件の1.か2.を満たしてくれる
女性のことばかり議論をしたがって、女性の条件の1.2.3.について
考察することを極力避けてきたのでした。
男性の条件の1.か2.を満たす女性は、
生物学的に無理なことをしているのですから、
そうした女性にばかり関心を払って、
生物学的にかなっている女性の条件の1.-3.について考察しないのは、
生物学的興味としてはひどく偏っていることになりそうです。
おっしゃるとおり、女性の性産業従事者は、相手を選べず(配偶者選択権が剥奪された状態)、愛情も得られない状態(客から愛の告白などをされることは多いようですが、無料で性的サービスを得られるようにしたいという男性側の本音が容易に判ってしまう)で性的サービスを迫られる状況では、女性は情動と理性の働きとの間で重大な葛藤が生じてしまい、そうした状態が続くと、心に大きなダメージを負ってしまいやすいのですよね。
そうしてできた心の傷や渇きを癒そうとホスト通いして莫大な金銭的支出を余儀なくされ、目的であったはずの金銭の貯えも覚束かず、なかなか業界から縁を切れないという、搾取の構造に嵌ってしまう女性も多いと聞きます。
そうした苦しみを背負う女性が減った方が望ましいのはもちろんのことで、その原因となっている女性の雇用・研修教育・昇進における差別によって引き起こされる、女性の就職難、昇進難などによる経済的苦境を社会制度改革によって緩和してやる必要があるでしょう。
私の改革案としては、年功序列賃金制度(この制度での既得権益者は主に実績や成果が相対的に乏しい中高年男性)から実績・成果主義、同一労働同一賃金へシフト、託児施設や産休・育休制度拡充(こちらが不十分だと企業は女性の採用や社内教育に二の足を踏んで統計的差別が起こる)、長時間労働、遠距離通勤への規制(日本型夫婦役割分担で家事や育児をの負担が重くなりがちな女性はそれに耐えにくい)などですが、統計的差別については科学知識の啓蒙によっても是正させたいところです。
誤った知識や偏見が差別要因となるのはもちろんですが、例えば、ヒトを含む動物には直観的思考(ヒューリステック)による認知のバイアス(歪み、偏り)がかかることがしばしばあり、プラスの情報よりマイナスの情報を重視しやすい(こうした認知傾向をネガティビティ・バイアスといいます)ことが心理学の研究で明らかになっていて、女性が妊娠や出産で会社を辞めてしまうことによる損失が過大評価されやすいため、こちらも差別の要因となってしまいます。
科学的知識の啓蒙によって、ヒトの判断にはこうした歪みや偏りが生じてしまうことをあらかじめ解っていれば、もっと合理的に判断できるようになって、統計的差別が緩和されることを期待します。
(いつも貴重なご意見ありがとうです。)
>女性の性産業従事者は、相手を選べず
性産業従事については、改めてこちらに書いてみました。
性産業が男性用ばかりで女性用がほとんどない理由も、
性衝動の生物学的条件で理解できそうです。
「性衝動の条件と性産業」
http://taraxacum.seesaa.net/article/441786845.html
>女性の就職難、昇進難などによる経済的苦境を社会制度改革によって緩和してやる
それが常識的判断ですね。
ところが、女性の経済的苦境を社会制度で緩和するのではなく、
積極的にからだを売らせることで解決すればいい
などと言う人がいるから嫌になってしまいます。
(エントリで書いたことですが。)
「女性の性を財源で語る」
http://taraxacum.seesaa.net/article/434537494.html
ご本人は「われながら名案」と思っているみたいなので、
もっと嫌になってしまいます。
>私の改革案としては、年功序列賃金制度
そのあたりも議論されていることですね。
既婚男性優遇の企業文化がいつまでも温存されることが原因だと思います。
高度経済成長期に定着した「夫が働き、家庭のことは
専業主婦の妻に任せる」という家族スタイルの影響ですね。
当時の成功体験が強いゆえに、いまだにこの家族観と
労働観が幅を利かせているのだと思います。
>女性が妊娠や出産で会社を辞めてしまうことによる損失が過大評価されやすいため、
かかる認識は、採用の時点で男子優遇になる大きな原因でもあります。
認知バイアスの産物でもあったのですね。
「女子は優秀でも採らない」
http://taraxacum.seesaa.net/article/416247103.html
「女子は優秀でも採らない(2)」
http://taraxacum.seesaa.net/article/416391863.html
>科学的知識の啓蒙によって、ヒトの判断にはこうした歪みや偏りが
>生じてしまうことをあらかじめ解っていれば
科学リテラシーは大事ということを再確認です。
性産業に従事することは女性にとって大きな苦痛を伴うものであるにもかかわらず、経済的苦境からそうせざるを得なくなってしまう女性が多くいる状態を放置するどころか推奨するような常軌を逸した考えを名案などと言われては、強い嫌悪感を覚えるのも無理はないと思います。
相手方に多大な苦痛や負担を強いながらその自覚に乏しい状態は乳幼児期に多くみられ、躾と教育によって更生してゆくものですが、加齢とともに躾に対して従順でなくなり、知識は取捨選択が激しくなって都合の悪い情報は捨てられやすくなるので更生が難しくなってしまいます。
このため、大人の甘えん坊将軍を相手にするとかなりの忍耐を強いられてますね。当人にさして悪気はないぶんなおさら…。
それはともかく、女性の就職難や昇進難などに伴う経済的苦境を緩和すれば、苦痛に耐えながら性産業に従事せざるを得なくなる女性は減りますし、年功序列賃金制度や長時間労働推奨を是正すれば男性側の性産業における購買力も減少して性産業は縮小するでしょう。
私の考えなどは別に名案でも何でもないですが、差別構造や苦痛や貧困を取り除く方がが社会としてフェアで健全だと思います。
>常軌を逸した考えを名案などと言われては、
>強い嫌悪感を覚えるのも無理はないと思います
まったくですよ。
程度がはなはだしいと、ハラスメントにもなると思います。
ご本人は、女性にとって性産業に従事することが
大きな苦痛ということを理解する姿勢にとぼしく、
「自発的に性産業に従事する女性がいる」ことばかり
議論したがるので、埒があかなくなるんだけど。
>知識は取捨選択が激しくなって都合の悪い情報は捨てられやすくなるので
「自分のアンテナにひっかかったものだけ取り上げる」と
ご本人は表現しています。
ランダムゆえに公平と思っていて(公平ということにしていて?)、
偏っているという認識はないようです。
>このため、大人の甘えん坊将軍を相手にすると
中高年男性となると、社会の既得権益者になるので、
社会的強者ゆえにまわりが顔色を伺うようにもなるので、
なおさら我を通されて当然となるのかもしれないです。
>差別構造や苦痛や貧困を取り除く方がが社会としてフェアで健全だと思います。
こちらもまったくです。
くだんのかたがそれを支持しない理由は「財源がない」だそうです。
「女性の性を財源で語る」です。
初めまして。
近頃、こちらにお世話になっておりますあやめと申します。
性が軽々に取り扱われることが、なぜこれほど嫌悪の情を引き起こすのか、
お説を拝読致しまして、自明のことながらどうしても言い表せなかったこと
が何であったのかが、明快に書き表されていることに目から鱗が落ちる思いです。
今はまだ私の非力ゆえに、理解が充分行き届いておらず、もどかしく感じて降りますが、
まずは御礼まで。
理解を助けて下さり、誠にありがとうございます。
いずれ行き会うおりがありましたら、その時はどうぞよろしくお願い致します。
>性が軽々に取り扱われることが、なぜこれほど嫌悪の情を引き起こすのか
わたしもすごい納得&参考になりましたよ。
理屈が大好きだけど、女性のことを理解したがらない
中高年男性が相手でも、なぜ望まない性的接触に女性は嫌悪を感じるのか、
より明確な根拠をもって示すことができそうです。
>いずれ行き会うおりがありましたら、その時はどうぞよろしくお願い致します
お話が合うこともありそうですね。
自分の欲望に忠実であるだけではなく、性産業に従事することが女性にとっていかに大きな苦痛を伴うものであることをなかなか理解したがらないとなると、性教育どころか生命科学において更に根本的なところで、「感情」とはどうして備わっているのかを説明から始めざるを得ないかもしれません。
私が過去にYAHOO!知恵袋に書いた内容が多少とも役立てば良いのですが…。
感情の働き
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13157720333
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1483567549
性コンテンツと羞恥心
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11158496691
感情には、大別して、嬉しい、楽しいなどの「快」と、苦しい、悲しい、怒りなど「不快」があり、前者に対しては積極行動を、後者に対しては回避行動を採る動機付けが働き、それなりに中枢神経系の発達した動物一般に見られるのはご存知の通りかと思います。
身の危険が迫っていることを示す情報が得られているにも拘らず不快感情を覚えないと、退避行動を採る動機付けがなされず、平気で身の危険に晒されるという事態に陥るため、生存や繁殖面で不利になって淘汰されやすくなるというわけです。
上記は進化心理学からの見解ですが、こうした学問的知識が無くても、映画、ドラマ、小説、時事、漫画、周囲の経験談、自らの体験などから帰納法的に理解されても良さそうなものですよね。
これらの情報にも乏しかったり、科学リテラシーに欠けていたり、情性(ゲミュート:同情、憐憫、羞恥、反省、後悔、良心といった、社会生活における摩擦を低減し、より協調して生きてゆくために必要とされる感情)が欠如していたりすると、女性にとって望まぬ性交が大きな苦痛を伴うことをなかなか理解できない男性が出てきてしまうのでしょう。
日本は文化的に「ウチ」と「ソト」では情性の使い分けが甚だしく、「ウチ」(相互依存的な共同体)の者に対しては紳士淑女的だが、「ソト」の者に対しては冷淡・非情であることは、古くから中根千枝(人類学)、土井健郎(医学)、福島章(心理学)など著名な学者から指摘されていましたし、当エントリで指摘されている性教育の軽視は、このような男性が育ってしまう文化・教育的土壌となってしまっていると考えます。
第二次世界大戦時のアジアにおける日本軍慰安婦への性的虐待や、海外買春ツアーといった破廉恥な蛮行は、意識の中で「ソト」に区分された女性に対して冷酷非情であるからこそ引き起こされたものであり、他人事では済まされない問題だと思います。
「女性の性を財源で語る」エントリも拝見いたしましたが、女性にとって大きな苦痛を伴う性産業の拡大が福祉対策になるわけがないのに(むしろ深刻な人権侵害や搾取にあたる)、それを福祉政策として奨励しようという意見を持つ者は、日本人男性の中には少なくないと考えざるを得ないですね。
私も若年層とは言えない年齢になってきましたし、既得権益の受益者に該当する男性の一人ですが、己の欲望の充足のために尊厳を傷つけられる女性を増やしてしまうような意見には到底賛同できませんし、軽蔑の念すら抱きます。
自分の目先の利益追求などより、社会の差別構造や貧困の連鎖を取り除き、公平な社会で人生を全うできることの方が、私にとってずっと大切な価値観ですね。
なお、貧困にあえぐ人々を救うための財源は、ある程度の経済的余裕がある者の良心や真心といったものから捻出できるものだと考えます。
私の知見がお役に立てて、とても嬉しく思います。
女性にとって、望まれない性的扱いを受けることに苦痛を伴うことは、外傷をによる痛みを感じるというのと同様の説明不要と言えるほど自明の理であるにもかかわらず、ある種の男性にはなかなか伝わらず、軽率な言動に強い嫌悪感を抱くのは、誠にもっともなことだと思います。
女性にとって性的受容の条件は知恵ノートに書かせていただいた通りなのですが、直接体験しない場合であっても、なぜ嫌悪感を抱くのかについては以下も参考になるかもしれません。
痛覚—脳科学辞典
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%97%9B%E8%A6%9A
こちらの「痛覚と情動」の項目で書かれている「こころの痛み」を覚えるからですね。
認知処理された情報や過去に蓄えられた記憶が大脳新皮質から大脳辺縁系に送られ、その中の視床下部(快や不快の感情をつかさどり、さらには性欲中枢があって、生殖戦略とマッチングしているかどうかの評価が行われる)や扁桃核(ここで好き嫌いの判定が行われる)に送られ、マッチングする場合は性腺刺激ホルモンとして下垂体から血液を通じて全身に送られて性反応が表れるのに対し、ミスマッチが大きいと島や帯状回が反応して「心の苦痛」(おぞましい感覚)を覚えるのです。
文章を読んだ時や、過去の記憶を想起した時、あるいは空想の場合でも、楽しくなったり、悲しくなったり、苦痛を覚えたりと様々な感情を抱くのは、脳内でこうした情報の流れがあるからです。
直接的な体験による場合は、感覚情報がいったん視床に集められ、そこから大脳辺縁系の扁桃核や視床下部での評価が行われたのちに大脳新皮質に送られるので、情報の流れとしては概ね逆になります。
肉体的な苦痛は外傷の程度からそれなりの確度で判断できるのですが、心理的な苦痛は心療内科医の臨床所見、各種心理テストから非常に大雑把にしか判断できず、しかも特に性に関しては心の内をさらすことに非常に大きな抵抗感を抱きやすいから、女性にとって苦痛の大きさを伝えつことの恐るべき困難さに直面せざるを得ず、なおさらもどかしいことになってしまいます。
あやめさんの書きこみは基本的に共感できますので、今後ともお役に立てれば嬉しいです。
>「こころの痛み」
まさにそれだったのですね、私が感じているものは。
実体験が無くとも、人にはそれを「我が身に引き寄せて」感じ取る機能が備わっているのですよね。
そのことを示す言葉もたくさんあります。
「おめでとう」「良かったね」「安心したよ」「心配している」「かわいそうに」「お気の毒に」
「何それムカツクー!」…
これら同情を示すたくさんの言葉は、人が高度に進化したことで獲得した豊かな文化、文明の一つ
だと思います。
ritiarnoさまのお説に接して私が一番に思ったことは、
現在渦中にある、『理屈が大好きだけど、女性のことを理解したがらない』彼の御仁の望む世界は、
文明が進んだ世界なのか?あれは人間を進化させる思想なのか?
という疑問でした。
そうではないだろう、と思います。
彼がやりたいことは「オランダの公娼制度」などでは全く無く「第二次対戦下の従軍慰安婦の復活」です。
あれがどれほど加害者/被害者双方の人間の感情を破壊したことか、現代にまで及ぶ被害の大きさを
痛感しています。つまり”男は女をあのように扱って良い”という価値観の強烈な刷り込みです。
(思えば彼の御仁もその被害者の一人と言えるかも知れません。)
この価値観が人を幸福にするものとは到底思えませんし、先人が営々と築き上げた豊かな感情の文化、文明を損なうものに他ならないと考えます。
>自分の目先の利益追求などより、社会の差別構造や貧困の連鎖を取り除き、
>公平な社会で人生を全うできることの方が、私にとってずっと大切な価値観ですね。
(ritiarnoさま at 2016年09月19日 00:01)
心から同意します。
私は費用の捻出なぞ、この世の中の価値観が変わっていけば充分可能だと思っています。
お返事ありがとうございます。
ハッキリ分かっているのに、説明できないもどかしさを思うときに、
常識が共有できない他者の存在を、何か空恐ろしいものに感じます。
たぶんそうした不安があるから、
「そ、そ、そ、そんなの当たり前だーッ!ムキーッ!!」
的な言い種になるのかな〜…?と思ったことでした。
それにしても、日頃、「私は感情を重視しています!」と言っているクセに、
その感情というものを全然わかっていなかったのだ、と、ritiarnoさまの
お説触れて初めて知りました。
目から鱗が落ちた後は、自分の不明を恥じる思いです…
>感情の働き
>http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13157720333
>http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1483567549
>性コンテンツと羞恥心
>http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11158496691
いつもいろいろとご紹介ありがとうございます。
あのかたに対して、この方面からのアプローチが、
効果的かどうかはなんとも言えないです。
ますます自分の感情ばかり主張したりしないかと思います。
>これらの情報にも乏しかったり、科学リテラシーに欠けていたり、
あのかたは理工系出身で、企業の技術者と思われます。
『美味しんぼ』が放射線関係で「とんでも」を
描いたときは、批判をしていました。
わたしのブログのコメント欄でも批判したし、
自分のブログでも書いていました。
もともとにせ科学批判に関心のあるかたです。
「西尾正道氏のミスリード術を検証する」
http://tamagodon.livedoor.biz/archives/51857038.html
むかし医師が作っている進化生物学のサイトの
掲示板にも常連投稿をしていたことがあります。
生命科学を含めて科学リテラシーはかなりあるのですよね。
「進化論と創造論〜科学と疑似科学の違い〜」
http://members.jcom.home.ne.jp/natrom/
専門家といえども、オンナコドモのことになると、
きゅうに軽視した態度になる人(男性)は、珍しくないみたいですが。
https://twitter.com/hollyhockpetal/status/773779023180668928
========
悪性腫瘍の病態も癌細胞のなんたるかも重々承知なのに、
病名が婦人科領域の話になった途端「女性性のなんとかが〜」とか
垂れ始める連中の脳天に基礎医学の教科書一式が突き刺さりますように
========
>「女性の性を財源で語る」エントリも拝見いたしましたが
こちらはご覧くださりありがとうございます。
日本人のジェンダー観や人権軽視、差別に対する寛容さや、
福祉への敵視を考えると、支持する人たちは多そうだと
わたしも戦々恐々としています。
「財源がない」なんて、福祉否定を正当化する
「殺し文句」として、いまだに効果がありますし。
>貧困にあえぐ人々を救うための財源は、ある程度の経済的余裕が
>ある者の良心や真心といったものから捻出できるものだと考えます
そうした層にいかにしてアプローチするかだと、わたしも思います。
ここでも同様のことを議論していますが。
http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=8478&page=4
========
ただ、何も知らないより、「6人に1人の子どもが貧困状態にある」と
知ることで、行動が変わる人は絶対いるわけで。
全世代の理解・共感を得るためにも啓蒙活動は
引き続きやっていかないといけないと思います
========
日本人の「ウチ」と「ソト」意識は、むかしから言われていますね。
女性の性に関する男性の無理解や無関心も
その「ウチ」と「ソト」意識でも理解できそうですね。
>第二次世界大戦時のアジアにおける日本軍慰安婦への性的虐待や、
>海外買春ツアーといった破廉恥な蛮行
一連の議論も、最初は慰安婦問題だったのでした。
「ミクシーの慰安婦の議論」
http://taraxacum.seesaa.net/article/427627231.html
「ミクシーの慰安婦の議論(2)」
http://taraxacum.seesaa.net/article/429145448.html
買春に関しては、日本は買春経験のある男性が多いという
データを見たら、「童貞を隠すので実際より買春経験が多く
申告されているはずだ」なんて「理屈」で、調査を疑い出しましたよ。
「日本は買春大国らしい」
http://pissenlit16.seesaa.net/article/442013234.html
http://taraxacum.seesaa.net/article/434827919.html#comment
========
日本には童貞が馬鹿にされるという文化のために、
買春経験者は多く申告されがちです。
可能性を顧みないのは間違っています。
また配偶者とイチャイチャすることを人に言わないのも、
日本の文化的行動として知られるところです。
========(2016年04月22日 00:50)
>直接体験しない場合であっても、なぜ嫌悪感を抱くのかについては
>以下も参考になるかもしれません。
>https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%97%9B%E8%A6%9A
>文章を読んだ時や、過去の記憶を想起した時、あるいは空想の場合でも、
>楽しくなったり、悲しくなったり、苦痛を覚えたりと様々な感情を抱くのは、
>脳内でこうした情報の流れがあるからです
こちらもご紹介ありがとうございます。
(わたしに紹介したのではないのかもしれないですが。)
あとは男性が一生体験しないであろう、女性が望まない性的接触を
受けることで、どれだけ「こころの痛み」を覚えるか、ですね。
>心理的な苦痛は心療内科医の臨床所見、各種心理テストから
>非常に大雑把にしか判断できず、しかも特に性に関しては
>心の内をさらすことに非常に大きな抵抗感を抱きやすいから、
>女性にとって苦痛の大きさを伝えつことの恐るべき困難さに直面せざるを得ず、
それはわたしも思うところです。
とくに男性に理解を求める場合、
女性の苦痛が男性の利益と相反することも大きいと思います。
他人の苦痛を理解するより、どうしても自分の利益を
追求したくなるでしょうし、それが女性の望まない性的接触の苦痛を
理解する姿勢にとぼしくなる大きな要素だと思います。
>現在渦中にある、『理屈が大好きだけど、
>女性のことを理解したがらない』彼の御仁の望む世界は、
>文明が進んだ世界なのか?あれは人間を進化させる思想なのか?
文明の後退ですね。
「女性も男性と同じく人間であり権利もある」という認識が、
人類が長い年月をかけて得た結論だからです。
「理屈が大好きだけど、女性のことを理解したがらない」
というのは、共存していそうに思います。
「理屈大好き」の人(男性)ほど「オンナコドモのことなんてくだらない」
というミソジニーに陥っていそうと思うからです。
>日頃、「私は感情を重視しています!」と言っているクセに、
>その感情というものを全然わかっていなかったのだ、と、ritiarnoさまの
>お説触れて初めて知りました
ritiarnoさまとはお話が合いそうでよかったです。
件の人はNATROMさんの「進化論と創造論〜科学と疑似科学の違い〜」の常連投稿者だったことがあったのですね。
進化論関連サイトとして有名なサイトですが、掲示板まではほぼ読んだことがなかったので、たんぽぽさんもご投稿されていたのは初めて知りました。
有性生殖システム(性科学)や心理学は進化論と学問的関連性や近親性が高いので、私の生物学に関する内容について、たんぽぽさんの理解が的確で応用の仕方が豊かであることに合点がいきました。
一方、彼が進化論や疑似科学に関心がありながら(この点でみれば日本人として知的レベルは高い方なのでしょう)、日本軍慰安婦や性産業に従事する女性の苦痛を過小評価してしまうのは、ウチとソトに対する差別意識が激しい排外的思想が強く影響していると思えました。
ある意味で、日本人(男性)の典型と言えるかもしれません。
排外的思想が強い人の特徴として
・見聞を広げつつ学の蘊奥を究めることより、自己利益追求のために相手をやり込めることに重点を置く
・↑の理由により基礎知識・基礎理解を蔑ろにしがちで、揚げ足取りに使えそうな知識は豊富
・相手への好き嫌いや分野ごとの知識の濃淡が激しい
・物事を包括的に捉えようとはせず、重箱の隅をつつくような細部にこだわりがち
といった点が見いだせると思います。
このタイプの人はある種の強烈な信仰や先入観を持ち、自分と異なる思想や見解に非寛容であるため、見解を変えるのは甚だしく困難でしょう。
なお、創造科学、血液型性格論、神経神話といった疑似科学(トンデモ説)は、事実認識など軽く覆してしまうほどの、強い信仰や先入観が背景にありそうです。
現在では間違いが判明して神経神話とされる説のいくつかを真に受けていたことがある私にとっても他人事ではなく、強く戒めなければならないことです。
これらは先入観に沿うような都合の良い情報ばかり選択し、それによって自分の見方を補強しようとする「確証バイアス」によって生まれることが多く、「認知バイアス」(認知の歪み)の一つとして有名です。
ただ、認知バイアスの起こる仕組みが一般に広く理解されれば、女性の性的苦痛を過小評価してしまいがちな男性一般に対する啓蒙効果や、差別によってもたらされる貧困の解消が少しは期待できると思います。
ヒトは状況認識において、一般にネガティビティ・バイアス(負の情報価が正の情報価より高い)による損失回避性が働きやすいですが、男性の生殖に関する認識は、これとはほぼ逆の、自信過剰バイアス、ポジティビティ・バイアスが働きやすいとされています。
例えば、女性が誰に対しても行う礼儀正しい振る舞いでもてなしたのに対し、男性側は自分に対する特別な好意によるものと受け止める(他者から見たら根拠なき自信過剰に映る)、女性の自分に対する好意的反応を過大評価し、嫌悪的反応を過小評価しがちです(正の情報価の方が負の情報価より高い)。
これは、自信過剰バイアスやポジティビティ・バイアスがかかることによって、投資が無駄になってしまうリスクをとって女性への求愛行動にチャレンジする動機を高めます。
男性にとって性交によるリスクが女性と比べてごく小さいため、淘汰圧がそれなりに高い状況では、これらのバイアスがかかることが遺伝子継承可能性の上で有利に働いたからだと進化心理学では説明されます。
男性が一般に、女性の性的苦痛を過小評価しやすい少なからぬ要因は、この認知バイアスによるものだと言えます。
一方のネガティビティ・バイアスによる損失回避性については、以下サイトの「プロスペクト理論」を参照
http://matome.naver.jp/odai/2134642832522348801/2134859374118769503
ネガティビティ・バイアスは、危険を素早く予知・回避するのに役立つ一方、女性が妊娠出産育児のために休職や離職することによる損失が過大評価され、企業は女性の雇用、研修、管理職登用に過度に消極的となり、親は娘への教育投資に消極的になるなど、統計的差別を生み出す大きなデメリットがあります。
このような、主に直観的思考(ヒューリスティック)がもたらす認知バイアスは、科学技術・文明の恩恵で淘汰圧が低下してくると生存・生殖上のメリットが薄れ、偏見や差別の原因となるマイナス面が相対的に多くなるため、より文化的で豊かな生活を営むためには、あらかじめ認知バイアスの傾向性を認識し、物事をより正確に認識するよう心がけることで、差別や偏見を減らすよう努力することが望まれます。
あやめさんが書かれているように、女性が一方的な欲望や暴力の対象として扱われるのは文化や文明の崩壊につながりますし、認知バイアスによる心の内なる偏見や差別と闘う(闘えば心の中でそれなりの葛藤があります)のをやめるのは、ひと時の精神的安定につながるかもしれませんが、こちらも文明の後退につながります。
>件の人はNATROMさんの「進化論と創造論〜科学と疑似科学の違い〜」の常連投稿者だった
そうなのですよ。
いまでも当時の関係者と交流があるし、オフ会であったりもしています。
「もうすぐ遺伝研オフなのだ」
http://tamagodon.livedoor.biz/archives/51923866.html
>たんぽぽさんもご投稿されていたのは初めて知りました。
掲示板、ていねいにご覧になったのですね。
わたしを見つけてくださってありがとうございます。
>私の生物学に関する内容について、
>たんぽぽさんの理解が的確で応用の仕方が豊かであることに
もったいないご評価をくださりありがとうございます。
いえいえ、かいかぶりですよ。
>彼が進化論や疑似科学に関心がありながら
>(この点でみれば日本人として知的レベルは高い方なのでしょう)、
>日本軍慰安婦や性産業に従事する女性の苦痛を過小評価してしまうのは
このあたりは理由はいくつも考えられそうです。
理工系出身者の人文・社会科学軽視とか、
そういったこともありそうです。
こちらのコメント欄で、ちょっと会話したことがあります。
12.のコメントのあたりからです。
(15.のコメントであのかたについて触れている。)
http://blog.livedoor.jp/nanae_ll/archives/51922163.html#comments
========
排外的思想が強い人の特徴として
・見聞を広げつつ学の蘊奥を究めることより、
自己利益追求のために相手をやり込めることに重点を置く
・↑の理由により基礎知識・基礎理解を蔑ろにしがちで、
揚げ足取りに使えそうな知識は豊富
・相手への好き嫌いや分野ごとの知識の濃淡が激しい
・物事を包括的に捉えようとはせず、重箱の隅をつつくような細部にこだわりがち
といった点が見いだせると思います。
========
こちらはご指摘まことにありがとうございます。
(なるほどねえ。)
いろいろと思い当たるフシがあります。
いずれ話題にすることもあるかもしれないです。
認知バイアスのお話もありがとうございます。
なるほど、そういうことだったのですね。
人間には認知バイアスがあること、
とくに男性の性に関する認識は、特例的にポジティビティ・バイアスが
かかるということを把握するのは、
男性が女性の性を理解する上で、重要になりますね。
>女性が誰に対しても行う礼儀正しい振る舞いでもてなしたのに対し、
>男性側は自分に対する特別な好意によるものと受け止める
>(他者から見たら根拠なき自信過剰に映る)
よくあることだと思います。
生物学的、心理学的な要素もあることはあるのですね。
>一方のネガティビティ・バイアスによる損失回避性については、
>以下サイトの「プロスペクト理論」を参照
>http://matome.naver.jp/odai/2134642832522348801/2134859374118769503
ご紹介ありがとうございます。
ネガティビティ・バイアスがかかるのが、一般的なケースなのですね。
>ネガティビティ・バイアスは、危険を素早く
>予知・回避するのに役立つ一方、女性が妊娠出産育児のために
>休職や離職することによる損失が過大評価され、
そういうことだったのですね。
こちらも生物学的、心理学的な要素もあるのですね。
>主に直観的思考(ヒューリスティック)がもたらす認知バイアスは、
>科学技術・文明の恩恵で淘汰圧が低下してくると
>生存・生殖上のメリットが薄れ、偏見や差別の原因となる
>マイナス面が相対的に多くなるため、
科学技術を発達させることで淘汰圧を下げたのだから、
今度は科学力、技術力で差別や偏見をなくす努力が必要ですね。
ようは差別や偏見であるという認識の共有、
情報リテラシーの問題ですが。
ご心配ありがとうございます。
旧知ではありますが、少なくともこの件に関しては
信頼しているというほどではないです。
現在の状況はある程度は予想していました。