制定しようとする動きがあります。
2013年にこの法案は上院で可決しています。
下院ではいまだ採決されず、法案成立にはいたっていないです。
「議会はLGBTの雇用差別禁止法案(ENDA)を可決させなければならない」
「同性愛者らの雇用差別を禁止する法案、
アメリカ上院で可決しても下院が採決を阻止する可能性」
「同性婚の次はコレ!平等を求める戦いはまだまだ終わらない。」
「上院で歴史的な雇用非差別法案を通過」
「職場での同性愛者差別禁止を 米アップルCEOが米紙に寄稿」
アメリカ合衆国ではすでに、性別、宗教、民族、人衆、
障害の有無による雇用差別は禁止されています。
ここに性的少数者の雇用差別禁止を加えることになります。
歴史的公民権の拡大ということです。
http://www.huffingtonpost.jp/barack-obama/enda_1_b_4222615.html
アメリカ国民は単に肌の色で解雇されることはないし、
キリスト教徒、ユダヤ教徒、女性、そして障害者だからといって、
仕事を解雇されることもない。
この種の差別は、私たちの国では居場所がない。
しかし、現在2013年時点で、多くの州で、
単にレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーで
あることを理由にして解雇される可能性がある。
現在アメリカ合衆国の29の州で、性的少数者であることを
理由にする雇用差別を禁止する法律がないです。
これらの州では、同性愛者やトランスジェンダーであることを
理由に解雇しても法律違反とはならず、
実際に解雇される可能性があることになります。
青(18州): 性的指向と性自認による雇用差別を禁止している
水色(3州): 性的指向のみ雇用差別を禁止している
黄色(27州): 性的少数者に対する雇用差別を禁止する法律がない
赤(2州): 性的少数者に対する雇用を差別する法律がある
連邦レベルで雇用差別禁止法が制定されれば、
禁止法がない州でも性的少数者の雇用が、差別から守られるようになります。
州や自治体レベルでつぎはぎ的に規定されるよりも、
ずっと簡素で確実でわかりやすくなることにもなります。
http://yuichikawa.hatenablog.com/entry/beyond-marriage
多くの州や地方自治体が独自に差別禁止法を作っている状態ですが、
その内容は微妙に異なり、例えば差別禁止法がある場合でも、性指向だけで、
そこにジェンダー表現や性自認が含まれていない場合もあります。
それに、家のある市や群には差別禁止法があるけど、
ちょっと運転して隣の地方自治体に移動したら、
今度は差別禁止法がないとか、めちゃくちゃ不安定で怖いですよね!
アメリカ合衆国の大半の企業でも、性的少数者に対する
雇用差別の禁止をすでに成文規定を定めています。
企業はENDAを受け入れる準備はできていると言えます。
企業は同意している。フォーチュン500大企業と中小企業の大半は
既に差別禁止のポリシーを定め、LGBTの従業員を保護している。
これらの企業は、雇用差別禁止が正しいことだと知っている。
それとともに、経済的にも大きな意味があると理解している。
それらの企業は最も優秀な従業員を惹きつけ、
確保し続けたいと考えているが、差別はそれを困難なものにする。
ヨーロッパやアメリカの企業は、性的少数者の権利を
保障するのは一般的になっていて、すでに同業他社間で、
どちらがより保障しているかを競争する段階になっています。
でないと企業間競争に勝ちぬけなくなっているからです。
「『性的少数者が働きやすい職場をつくるために』(その2)」
2012年、アメリカの経済誌フォーチュンが選ぶ
「働きがいのある最良企業100社」の全社で、
性的指向を含むあらゆる差別を排除する成文規定があると報道された。
ポリシーだけではなく、具体的な施策も進んでいる。
福利厚生で同性のパートナーを異性と同じに扱う、
トランスジェンダーに必要な医療を保険でカバー出来るようにする、
社員の意識をモニタリングする、地域のイベントに会社として協賛する、
性的少数者向けの就職相談会を行う等の取り組みが行われている。
アメリカ合衆国における性的少数者に対する雇用差別禁止法は、
2013年11月7日に上院で可決しています。
下院での審議の見通しが立たないまま、今日まで来ています。
共和党が下院で多数を占めているあいだは、
成立は困難ということになりそうです。
下院での審議に持ち込ませないようにしているのが、
共和党のジョン・ベイナー下院議長です。
共和党でも雇用差別禁止法に賛成している議員も多く、
採決になれば下院でも可決すると見られてはいます。
http://www.huffingtonpost.jp/2013/11/05/lgbt-enda_n_4221382.html
「今日、ベイナー下院議長が採決を議会に上程しないと
表明したことに愕然としている」と
リード院内総務は5日朝、下院の議場内で述べた。
「昨日、彼はENDAは好ましくないと言った。
今日、彼は採決しないとまで言った。
ただし、下院で採決まで持ち込まれたら通過するだろう」
オバマ大統領は2014年7月に、連邦政府の契約業者に対して、
性的少数者の権利を保護する大統領令に署名しています。
共和党がなにもしないなら政権でできることを行なうと、
オバマ大統領はかねてから述べていて、
ここに下院での可決の見込みがないと見たのでしょう。
「オバマ米大統領、同性愛者の差別を禁じる大統領令に署名(RYOT News)」
「連邦契約企業に対する大統領令の意義」
ここで注目しておきたいのは、
共和党にもENDAに賛成している議員が少なくないにも
かかわらず、法案成立にいたらないことです。
とくに共和党出身の議長が、審議を妨害していることがあります。
すでに多数の理解を得ているのに、少数の頑迷きわまりない
反対派によって、妨害されていることになります。
日本の自民党にも選択的夫婦別姓法案に賛成する
議員はそれなりにいるのですが、反対派議員のほうが圧倒的に強く、
自民党のせいでほとんど握りつぶされる状態です。
一部の頑迷きわまりない反対による妨害という図式は、
アメリカ合衆国のENDAと同様と言えそうです。
また日本の選択的夫婦別姓も、野党が毎年のように
法案を提出しているにもかかわらず、与党・自民党はいつも
いっさい審議することなく、黙殺を続けています。
議論したら絶対かなわないので議論自体しないようにするのも、
アメリカ合衆国の反性的少数者の議員も同様のようです。
ENDAは上院で成立した2013年の時点で、すでに17年かかっています。
2016年の現在は20年ということになります。
日本の選択的夫婦別姓法案も、2016年で20年目ですから、
ちょうど同じ長さの歴史があることになります。
また、上院での通過さえ17年もかかったため、
これ以上制定を延期するべきではないと主張している。
アメリカ合衆国のENDA成立に反対の圧力をかけるのは、
宗教団体の影響がやはり大きいです。
宗教団体は家族やジェンダーに関することは、
たいてい因習・反動的であり、ジェンダーに関する権利には
往々にして反対勢力として対峙することになります。
下院議長のジョン.ベイナー氏は労働市場での政府の干渉がビジネス、
特に小規模企業での雇用拡大の足を引っ張ると主張している。
また、保守派の政治活動グループであるヘリティジ.アクションも
同じような理由で下院共和党の投票を阻止している。
政治家に圧力をかける宗教団体は、聖書は同性愛を禁じていると
主張していることも長い間この法案が通過しない別の理由である。
従って、 上院で通過した法案は宗教組織を除外しているため、
教会の雇用決定はこの法律の制限を受けない。
しかし、ベイナー氏は反対の姿勢を崩さない。
イタリアで同性結婚のパートナーシップ成立が遅れたのも、
バチカンのお膝元ゆえ、カトリックの影響が強いこともあります。
日本でも神道政治連盟や日本会議といった宗教団体が、
選択的夫婦別姓法案の成立阻止に強い力を発揮しているわけです。