2016年08月07日

toujyouka016.jpg 自民党的性教育と女性の権利

7月31日エントリ前のエントリの続き。
性教育の必要性についての記事です。

「「レイプもセックスだと思ってた」…まともに教えず、
男を誤解させる自民党の政治的性教育」

(はてなブックマーク)

性教育バッシングに興じる自民党のお歴々の考える
「望ましい性教育のありかた」は「お花畑」です。

 
特に今の首相である安倍晋三さんなんかは、
第一次安倍政権の2005年に「過激な性教育・ジェンダーフリー
教育実態調査プロジェクト」を設置し、性教育を激しくバッシングしました。

その事務局長を務めていた山谷えり子さんとは、
フジテレビの討論番組で向き合いましたが、「性なんて教える必要はない」
「オシベとメシベの夢のある話をしているのがいい」
「結婚してから知ればいい」などというのがその主張でした。


山谷えり子の性教育論は、たとえば2013年5月に放映された
中京テレビの『ニッポンの性教育』でご披露されています。
「お花が綺麗に咲く姿」などと言っていて、本当に「お花畑」かという感じです。

「「性教育は結婚してから」山谷えり子参議院議員の発言がお花畑過ぎると話題に」


『ニッポンの性教育』は、対談記事に出てくる村瀬幸浩氏が
出演したフジテレビの討論番組とはべつの番組ですが、
山谷えり子の性教育に対する思想は、どちらも同様のものです。

「NNNドキュメント「ニッポンの性教育」が感慨深い」
「ニッポンの性教育〜セックスをどこまで教えるか〜」


性教育がふじゅうぶんなことによってどんな弊害が起きるかは、
さんざん議論されていることだと思います。
危険な性行為が増えたり、早すぎる妊娠が増えたりすることになります。
性感染症も増えることになるでしょう。


また性教育がふじゅうぶんだと、7月31日エントリでお話したような、
女性の性に対して無神経、無理解で「他人ごと」のように
考える男性が出てくるということがあります。


「レイプもセックスのうちだと思っていた」という
男性の認識は衝撃的ですが、「蝶々が飛んでいる姿」や
「お花が綺麗に咲く姿」をいくら教えても、
こういう認識を持つ男性は減らせないでしょう。
自民党的な性教育の忌避こそ、「性を乱す」もとである
「誤解する男性」を増やすというものです。

自民党は「性教育は余計に性を乱す」と言いましたが、
むしろ性を乱しているのはそっちだろって話ですよね。
しかも、これからますますその方向に進みそうで、ちょっと怖いです……。


性教育の効果は、男性に対しては女性のからだと心を大切にする、
女性に対しては自分のしてほしいこととして欲しくないことを
はっきり言えるようにする、ということがあります。
性教育の充実は、女性の権利や尊厳を守るためとも言えます。


そう考えると性教育バッシングの背景には、
女性の権利の尊重に対する危機感があることもわかりそうです。
性教育を充実させることが、女性の権利尊重につながり、
彼らにとって都合が悪いことを察知したわけです。

ご存じの人もいると思いますが、21世紀に入って以降、
性教育に大きな逆風が吹き荒れるんですよ。
女性の自立や性の対等・平等性などが進むことに、
時の政権が危機感を覚えたんですよ。

女性の性に無理解、無関心で「他人ごと」と思う男性が
増えるほうが、女性の権利が守られなくなるので、
彼らにとっては都合がよく「推進するべきこと」になります。
彼らにとっての「性が乱れる」とは、女性の性が尊重されることや、
女性が性の自己決定権を持つ、ということだと言えます。

posted by たんぽぽ at 13:08 | Comment(4) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
たんぽぽ様
最近はどうだか知りませんが,自分が子供の頃には月経のこと、生理用品のことなど、小学校では男児は教わらなかったと思います。でも、女児は5〜6年生くらいではもう、小さなポーチを持ってたりして。
だから興味本位でそういう女の子をからかうなんて、普通にありました。ポーチを取り上げて中身を広げたりとか。
保健の授業でまともに習ったのって中学生くらいになってからかな。でもその頃には女の子をからかったことは時効になっているんですよね、彼女の心に傷を残したのかもしれないのに。
性教育=セッ クスへの興味と捉えている下衆な向きもありますが、せめて精神的にも不安定になりやすい時期の子供たちを守るという考えくらいは持って欲しいと思います。傷つく女の子はもちろんですが,傷つけてしまったことを後悔する男の子だっているでしょう。これもまた子供にとっては癒えない大きな傷です。
そうした事態は、わずか数時間の説明だけでも避けられるように思えるんですけどね。
Posted by aka21 at 2016年08月07日 17:04
aka21さま、こちらにコメントありがとうございます。

>最近はどうだか知りませんが,自分が子供の頃には月経のこと、
>生理用品のことなど、小学校では男児は教わらなかったと思います。

わたしも小学校のころは、性教育を受けた覚えがないのですよね。
(なんて書くとトシがばれるかな?)
一度だけ男女別になって、それらしき授業を受けたことがあります。
男女別なので、男子は男性の性についてだけで、
女性の性については、たぶん習わなかったのだろうと思います。

性教育は男女別ではなく、男女いっしょで
自分と相手の性について学習することだと思います。

>女児は5〜6年生くらいではもう、小さなポーチを持ってたりして。

中学生になってから、本格的に性教育を学習するのでは遅いのですよね。
むかしはそれでもよかったのかもしれないですが、
いまはもっと成長が早くなっていますからね。


>性教育=セッ クスへの興味と捉えている下衆な向きもありますが

「純潔思想」もそのような認識があるのだと思います。
不確かな知識でセッ クスに興味を持つから
教育が必要なのですが、彼らはそうは思わないからやっかいです。

>傷つけてしまったことを後悔する男の子だっているでしょう。
>これもまた子供にとっては癒えない大きな傷です

傷つけたことに悩む子もいるのですよね。
そういうある意味不本意な「加害者」を防ぐためにも、
性教育は必要だと思います。
Posted by たんぽぽ at 2016年08月07日 23:40
お久しぶりですー。

>性教育?実経験

…と言っていいかどうかは微妙ですが、小学校の頃に修学旅行の前に女子が生理関連の授業を受けたようなうろ覚えがあります(自信は無い)。

あと、覚えてるのは高校で専門家の人が講演に来たのと、大学でそれと近い内容の講義を受けたことですかね…。

>性教育論

最初に取り上げられている対談記事でも

『性というのは政治の「政」、宗教の「聖」、そして人生の「生」と、全部の“せい”がつながったひとつの問題だ』
『性って、単にセック/スの「性」だけを考えていてもわからない問題』(スラッシュ引用者)

ということが語られていますけど、性って
「シラフの時こそ考えないといけない部分」
もある…というか、そっちの方が大きいはずですよね。

>女性の権利の尊重=性の乱れ?

という風に現与党と近しい人達が考えるのは、

「家長=主体」「その他=受け身」

が「正しい」と考えていて、「性の乱れ」は単なる逸脱じゃなくて「正しい」形が崩壊することを指しているからかな、なんて考えています。
Posted by 七重 at 2016年08月08日 23:14
七重さま、お久しぶりです。
こちらにコメントありがとうございます。

>小学校の頃に修学旅行の前に女子が生理関連の授業を受けたような

女子だけではあるのですね。
男子にはその手の授業はなかったのかしら?
(あっても男女別なら、男性は生理関連のお話はなさそうですが。)
なぜに修学旅行前?とか思ったりもしますが。

>覚えてるのは高校で専門家の人が講演に来たのと、
>大学でそれと近い内容の講義を受けたことですかね

専門の人が来るというのはすごいですね。
中学と高校は、わたしのときは正規の保健体育の授業だけでした。


>『性というのは政治の「政」、宗教の「聖」、そして人生の「生」と、
>全部の“せい”がつながったひとつの問題だ』

4つの「せい」は言い得て妙だと思います。

>「シラフの時こそ考えないといけない部分」
>もある…というか、そっちの方が大きいはずですよね

ふだんから考えてしかるべきことだと、わたしも思いますよ。


>「性の乱れ」は単なる逸脱じゃなくて
>「正しい」形が崩壊することを指しているからかな、

彼らにとっての「正しい」ありかたからの逸脱を
言い換えているだけなのだろうと、わたしも思います。
ようは「純潔思想」という信仰からの逸脱している、ということです。

その意味では「夫婦別姓で家族の一体感がなくなる」の
「一体感がなくなる」と同じものだと思います。
これも信仰からの逸脱を言い換えているだけですし。
http://lacrima09.blog.shinobi.jp/Entry/1092/
Posted by たんぽぽ at 2016年08月09日 22:33
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