慰安婦否定の在米日本人団体(GAHT)の訴えが棄却されました。
GAHTは慰安婦像の設置は憲法に反すると訴えていました。
この控訴審は連邦裁判所で争われたものです。
(一審で「GAHTに原告資格はない」と判決をくだしたほう。
恫喝訴訟認定を出したカリフォルニア州裁判所の裁判ではない。)
「米の慰安婦像撤去訴訟、二審も日本人ら敗訴」
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「「歴史の真実を求める世界連合会」(GAHT)による
連邦控訴審判決への不誠実極まりない 「抗議声明」」
(はてなブックマーク)
朝日の記事は短いので全部引用します。
米ロサンゼルス近郊グレンデール市に設置された
従軍慰安婦像をめぐり、米在住の日本人が、像の撤去を求めた訴訟で、
カリフォルニア州の連邦高裁は4日、原告の訴えを棄却した。
2014年の一審判決に続き、二審でも日本人側が敗訴した。
原告側は、市が像の設置を通して外交上の問題に関与し、
米連邦政府の外交権を侵害したと主張。
像は撤去されなければならない、と求めた。
これに対して高裁は、像の設置によっても市は連邦政府の外交権を
侵害しておらず、市の権限を逸脱したとはいえないと判断した。
(平山亜理)
二審でも原告が敗訴するのは当然のことです。
一審の内容を見ても、GAHTはグレンデール市に対して、
ひどい言いがかりをつけているとしか言いようのない
お粗末な訴えだったからです。
二審の判決の内容は一審のときと同じようなものでした。
http://macska.org/article/432
原告適格を認めたうえで、今回の裁判において裁判所が判断したのは、
「グレンデール市による慰安婦像の設置は連邦政府の外交権を
侵害しており違憲である、というGAHTの主張は妥当かどうか」だ。
結論は、これまでの判決と同様に、「自治体が国際的な
問題について何らかの意見を表明することは、
表現の自由の範疇であり、違憲ではない」というもの。
二審が一審と違うのは、今回はGAHTに原告資格を認めたことです。
一審では原告資格も認められなかったのでした。
これはこれで「大前進」なのかもしれないです。
上に「第一審判決と似たり寄ったり」と書いたが、
実のところ大きく違う部分もある。
それは、今回はじめてGAHTや代表者の目良浩一氏らに
「原告適格」が認定されたことだ。
これまでの判決では、目良氏らはグレンデール市の行為によって
具体的にどのような被害を受けたのか説明できていない、
つまり原告として市を訴える資格すらない、として訴えが退けられてきた
より問題なのは、判決に対するGAHTの出した抗議文だと思います。
判決は憲法判断だけを行ない、歴史的事実については
問題にしていないにもかかわらず、抗議文では裁判所は間違った
歴史認識を元に判決を下したことにしているからです。
そもそも「判決は被告グレンデール市を擁護するGAPH等の他機関から提出された見解書を基に、旧日本軍が朝鮮人女性を奴隷に強制したとの一方的な憶測で書かれている」というのが事実に反する。判決文で「奴隷」という言葉が出てくるのは、下院決議を引用した一箇所だけ。意見書は参照されていない。
— エミコヤマ (@emigrl) 2016年8月5日
GAHTは「歴史的事実は争わない、連邦政府の外交権侵害があったかどうかだ」という訴えを起こしたのだから、裁判所もその論点だけを審議している。なのに負けた途端に「裁判所が間違った歴史を鵜呑みにして判決を出した」と騒ぐ。判決文のどこにも歴史的事実の認定なんてないのに。
— エミコヤマ (@emigrl) 2016年8月5日
具体的には、世界抗日戦争史実維護連合会(抗日連合会)や
カリフォルニア韓国系米国人フォーラム(KAFC)が提出した意見書を
裁判所が信用したなどと、GAHTは言っているのですが、
実際の判決はこれらの意見書はまったく引用されていないです。
GAHTの抗議声明によると、GAHTは抗日連合会やKAFCの意見書に対して、「反論書を用意しその準備が出来ている事は6月の公判で述べた」けど、実際の反論を法廷ではしていなかったんだね。GAHTが提出した「意見書採用への反対意見」を読んでも、内容への反論は一切なかった。
— エミコヤマ (@emigrl) 2016年8月5日
そもそも「判決は被告グレンデール市を擁護するGAPH等の他機関から提出された見解書を基に、旧日本軍が朝鮮人女性を奴隷に強制したとの一方的な憶測で書かれている」というのが事実に反する。判決文で「奴隷」という言葉が出てくるのは、下院決議を引用した一箇所だけ。意見書は参照されていない。
— エミコヤマ (@emigrl) 2016年8月5日
なぜGAHTは判決で言ってもいないことを言ったことにするという、
露骨に事実を歪曲させた抗議文を出すのかと思うところです。
弁護士に騙されてかもにされているので、
判決の内容を適切に理解できないのではないか、
なんて憶測も出たりしています。
わたしが想像するに、「負けを認めなくない」あるいは、
「負けをできるだけ小さいものと思いたい」という動機で、
露骨に歪曲させているのではないかと思います。
自分たちと「お仲間」の支援者たちのあいだで、
「あれは本当はこういうことだったんだ」と
納得できればいいという、「内輪向け」の説明です。
ネットの議論でも、都合が悪い結末になると、
事実を恣意的に取り出したり、歪曲した解釈をしたりして、
自分たちだけで独りよがりに納得する人たちはいくらでもいます。
そうした歪曲を無批判に信用して、支持や拡散をする
「お仲間」が、たくさんいることも少なくないです。
GAHTもそういう人たちだったということだと想像します。
こんなでたらめな抗議文を出して、GAHTは支援者に対して
不誠実はなはだしいし、詐欺にさえなりかねないという考えもあります。
第三者的、客観的には不誠実だし、詐欺にもなりえるのでしょう。
GAHTはなんでこんな嘘だらけの「抗議声明」を発表するの?わたしはGAHTが嘘をついても何ら困らないしどーでもいいけど、裁判費用を寄付している日本の支持者の人たちに対して失礼すぎる。せめて支持者・支援者に対しては、誠実に状況を説明すべきでは。
— エミコヤマ (@emigrl) 2016年8月5日
GAHTに惜しげもなく寄付を出すような支援者なら、
不誠実とも詐欺とも思わないのではないかと、わたしは想像します。
かりに彼らが判決文を読んでも、GAHTは不誠実とは思おうとせず、
GAHTの抗議文が真実だと思いたがるのではないかと思います。
「人は見たいものだけ信用する」ということです。
GAHTの抗議文によって、実際の判決の内容が、
抗議文にあるようなものだという誤解が広まること、
とくに支援者がそのような誤解の拡散に貢献する可能性がある、
という心配をしたほうがよさそうに思います。
GAHTとやらのサイトを見に行きましたが、これって本当に活動実績のある組織なんですか? まともな組織図もないし、発起人とやらも名前が連ねてあるだけで、そこにはガバナンスすらない。
こんな組織によく金出す人がいるものですね、そんなに使い道に困っているのかしら?
それに訴えるにしても、その像が目障りで精神的苦痛を与えられたとかで訴えたほうが、なんぼかマシだったような気がします。なんか妙にカッコつけようとして滑っているだけという印象。
本当に彼らは日本人の組織なんでしょうか。むしろ日本を貶めるために騙っているんじゃないかとすら思える。いまなら、そんな陰謀論でも信じられそうな、いや信じたい気分です。
>GAHTとやらのサイトを見に行きましたが、
>これって本当に活動実績のある組織なんですか?
どうやら組織としても相当にお粗末のようですね。
組織の体裁だけ整えたのかもしれないです。
ガバナンスというと、リベラルや民進党がよく批判されるけれど、
保守や右翼のガバナンスはもっとひどそうに思います。
>こんな組織によく金出す人がいるものですね、
>そんなに使い道に困っているのかしら?
そんなところに寄付するなら、もっと有効な
お金の使い道がありそうだと思うところですよね。
慰安婦否定の歴史修正主義なんて、
生活感のないイデオロギーに熱中できるなんて、
生活がわりあい安定な人たちなのではないかと思います。
自身が差別を受けたりとか、身近な生活のレベルで
苦労することもあまりない、社会的強者の立場に
いる人も多そうに思います。
生活が安定した社会的強者であれば、
こういうところに寄付するお金にもたいして困らない
ということではないかと思います。
>本当に彼らは日本人の組織なんでしょうか。
>むしろ日本を貶めるために騙っているんじゃないかとすら思える。
GAHTが日本人の団体だと思いたくない人は、少なくないと思います。
でも彼らこそ「真の日本人」であり、彼らは「日本のため」の活動に
尽力していると思っている人は、もっと多そうです。