2015年には68.1%となり、統計を取り始めた
2004年以来最高となったのでした。
ところがその多くが非正規雇用ということもわかったのでした。
「働くママ、過去最高の68% 非正規が4割 厚労省調査」
「働くママ68% 過去最多」(全文)
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「働く母親、過去最高の68% 15年厚労省調査」
「働く母親、過去最高の68% 昨年調査」(全文)
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厚生労働省が発表した2015年の国民生活基礎調査です。
詳しい結果はこちらに出ています。
「平成27年 国民生活基礎調査の概況」
朝日の記事の見出しと本文にある、「非正規が4割」は紛らわしいです。
「仕事あり」の母親68.1%のうち4割が非正規雇用と誤解しそうです。
タイトルがミスリーディング。 「非正規の職員・従業員」37・2%、「仕事なし」31・9%、「正規の職員・従業員」22・4%。「正規」の割合は、子どもが何歳でも20%前後で変化なし。 / “働くママ、過去最高の68% 非正規が4割…” https://t.co/8FmaZmMY6c
— akupiyo (@akupiyocco) 2016年7月13日
実際は「仕事あり」と「仕事なし」を合わせた
全体のうち37.2%が非正規雇用となっています。
「仕事あり」の母親にかぎると、このうち非正規が占める割合は
54.6%で半数以上になります。
ここで注目したいのは、末の子どもの年齢依存です。
正規雇用は20-25%程度で、子どもの年齢にかかわらずほぼ一定です。
非正規雇用は子どもの年齢が上がるにつれて増えていきます。
0歳の母親の非正規雇用の割合は10.9%ですが、
子どもが高校生だと、非正規率は46.7%になります。
子どもの年齢が上がるとともに「仕事なし」が減って、
そのぶん「非正規雇用」が増えていることになります。
子どもを持つ女性が、育児がひと段落して復職しようとしても、
非正規雇用しかない様子がはっきりしています。
「子を持つと仕事をやめる」
「出産でパートに回される」
厚生労働省の「国民生活基礎調査の概況」の資料には、
男女の労働力率の年齢依存曲線が出ています。
これは未婚や、結婚していても子どものない人も含めたものです。
女性を見ると、日本と韓国に特有のM字カーブを描いています。
この図は、正規雇用と非正規雇用にわけた
労働力率も算出しているという、ほかにない特徴があります。
女性の若年層は正規雇用のほうが多いですが、
M字カーブの底を過ぎて労働力率の上昇が始まる
30代後半から非正規と正規が逆転し始めます。
それ以降の年齢層はずっと、非正規雇用が正規雇用より多いです。
子育てがひと段落した女性が復職しようとしても、
非正規にしかなれない様子が、さらにはっきり現れていると思います。
さらに総務省の『就業構造基本調査』(2012年)の資料を見れば、
女性は未婚よりも既婚のほうが正規雇用の割合がずっと低く、
結婚、妊娠、出産によって女性が離職すると、復職するとき
非正規雇用にしかなれないことが、もっとはっきりするでしょう。
「ジェンダー別の正社員の割合」
女性は,家庭生活と正社員勤務の両立が難しい。男性は正社員でないと,結婚は難しいってことさね。 pic.twitter.com/HhHE3Ul2qu
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2016年8月18日
「就労形態と未婚率の関係」
正規・非正規別の未婚率年齢曲線。男性は非正規の未婚率が高い。私の年齢層(30代後半)では,40ポイント近くもの差がある。一方,女性はその反対。正社員のほうが未婚率が高いのですな。こういうジェンダー差がみられる社会って,他にあるんか。 pic.twitter.com/f5hAmd2MtW
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014年1月13日