2016年09月11日

toujyouka016.jpg 女性の労働力率と非正規率

18歳未満の子どもがいて仕事をしている女性の割合は、
2015年には68.1%となり、統計を取り始めた
2004年以来最高となったのでした。
ところがその多くが非正規雇用ということもわかったのでした。

「働くママ、過去最高の68% 非正規が4割 厚労省調査」
「働くママ68% 過去最多」(全文)
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「働く母親、過去最高の68% 15年厚労省調査」
「働く母親、過去最高の68% 昨年調査」(全文)
(はてなブックマーク)

厚生労働省が発表した2015年の国民生活基礎調査です。
詳しい結果はこちらに出ています。

「平成27年 国民生活基礎調査の概況」

 
朝日の記事の見出しと本文にある、「非正規が4割」は紛らわしいです。
「仕事あり」の母親68.1%のうち4割が非正規雇用と誤解しそうです。


実際は「仕事あり」と「仕事なし」を合わせた
全体のうち37.2%が非正規雇用となっています。
「仕事あり」の母親にかぎると、このうち非正規が占める割合は
54.6%で半数以上になります。

末子の年齢階級別にみた母の仕事の状況


ここで注目したいのは、末の子どもの年齢依存です。
正規雇用は20-25%程度で、子どもの年齢にかかわらずほぼ一定です。
非正規雇用は子どもの年齢が上がるにつれて増えていきます。
0歳の母親の非正規雇用の割合は10.9%ですが、
子どもが高校生だと、非正規率は46.7%になります。

子どもの年齢が上がるとともに「仕事なし」が減って、
そのぶん「非正規雇用」が増えていることになります。
子どもを持つ女性が、育児がひと段落して復職しようとしても、
非正規雇用しかない様子がはっきりしています。

「子を持つと仕事をやめる」
「出産でパートに回される」


厚生労働省の「国民生活基礎調査の概況」の資料には、
男女の労働力率の年齢依存曲線が出ています。
これは未婚や、結婚していても子どものない人も含めたものです。
女性を見ると、日本と韓国に特有のM字カーブを描いています。

性・年齢階級別にみた15歳以上の者の就業の状況

この図は、正規雇用と非正規雇用にわけた
労働力率も算出しているという、ほかにない特徴があります。
女性の若年層は正規雇用のほうが多いですが、
M字カーブの底を過ぎて労働力率の上昇が始まる
30代後半から非正規と正規が逆転し始めます。

それ以降の年齢層はずっと、非正規雇用が正規雇用より多いです。
子育てがひと段落した女性が復職しようとしても、
非正規にしかなれない様子が、さらにはっきり現れていると思います。


さらに総務省の『就業構造基本調査』(2012年)の資料を見れば、
女性は未婚よりも既婚のほうが正規雇用の割合がずっと低く、
結婚、妊娠、出産によって女性が離職すると、復職するとき
非正規雇用にしかなれないことが、もっとはっきりするでしょう。

「ジェンダー別の正社員の割合」


「就労形態と未婚率の関係」




posted by たんぽぽ at 19:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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