2016年10月08日

toujyouka016.jpg 待機児童・2年連続増加

9月2日なので1か月以上前で恐縮ですが、
待機児童が今年2016年も増えて、2年連続で増加したというニュースです。

「待機児童2.3万人、増加続く 「隠れ」は6.7万人」
「待機児童2.3万人、増加続く」(全文)
「遠のく「待機児童ゼロ」」
「厳しい「待機児童ゼロ」 2年連続増加、都市部に集中」
「厳しい待機児童ゼロ 2年連続増加2.3万人」(全文)

「待機児童 2年連続増 保育所 追いつかず」
「保育所探し 親苦悩 自治体「空いた土地少ない」」

「待機児童 2年連続増 保育所整備追いつかず 共働き増、都市部で希望者急増」
「待機児童2年連続増 「潜在」も公表6万7354人」
「今年も2万3553人、2年連続増 「潜在的」は6万7354人」

 
4月1日の時点でのデータで、2015年の23167人から386人増えて、
2016年は23553人となっています。

保育尾などの入所申し込み者と待機児童の推移

保育所などの定員数と待機児童数の推移

待機児童の数は2010年がピークで、
この年になされた保育サービスの定員を増やす閣議決定によって、
以後毎年待機児童は減り続けたのでした。
安倍政権3年めの2015年から、きゅうに待機児童が増えたのでした。

「保育所の数が増えている」

保育所の定員数は2010年からきゅうに増え始め、
2015年の増え幅はとくに大きかったのでした。
入所申し込み者も2015年は大幅に増えていて、
これが待機児童が増えることになった原因と思われます。


安倍政権は2017年度末までに、待機児童をゼロにするという
公約を掲げているのですが、これはほぼ絶望的と言えます。
目標まであと2年ですが、減らないどころか増えているくらいだからです。

http://www.asahi.com/articles/ASJ915HLSJ91UTFK00J.html
安倍政権は2017年度末までの「待機児童ゼロ」を掲げ、
保育施設の整備を進めている。
ただ、都市部で需要が集中し、対策が追いついていない。

(2014年までの減少ペースが続いたとしても、
2017年度末までの待機児童ゼロはとても無理だと思います。
どうやって待機児童を減らせると、考えたのかと思います。)


読売新聞のリードには、待機児童が増えたのは、
女性の就業率が増えたからだと書いてあります。
厚生労働省の分析をそのまま載せたと思います。
2015年の待機児童数が2014年より増えた理由として考えられたのでした。
(安倍首相が「アベノミクスの成果でうれしい悲鳴」などと言っていた。)

https://flic.kr/p/LYEZN5
2015年度の1年間に新たに約9万5000人分の
保育の受け皿が整備された一方で、女性の就業率の上昇などにより
入所申し込み者も増加したためという。

これは今年の1月13日の衆議院予算員会で、
山尾志桜里議員がそうではないだろうと反論しています。
25-44歳の女性の就業者数は、2015年は2014年より減っているからです。

「待機児童と女性就労者数」

25-44歳の女性の就業者数の年次推移(万人)

女性の「就業率」は実際に増えているのですが、
待機児童の数を問題にするなら「就業者数」を見る必要があるでしょう。
(2016年はまだデータが出ていないです。)


読売新聞の本文には別の分析が出ています。
保育所の利用対象者を拡大したことが原因とあります。
こちらは「女性の就労率の上昇」より説得力がありそうです。
(いままでこれらを待機児童にカウントしなかったことが
そもそもの問題と言えますが。)

増加の背景には、昨年4月に始まった国の新制度で、
保育所の利用対象に求職者やパートの子供が位置付けられたこともある。

厚生労働省の統計は、入園を申し込んだものだけを
「待機児童」としてカウントしています。

「『保育所は増加・待機児童も増加』という怪奇現象の理由
〜 政府にとって好都合な数字ではダメ」

厚労省による待機児童数の推移などを記したもの。
待機児童問題が保育所等に申し込んだ者だけを対象とし、
かつ、都会問題の一つとしてしか捉えられていないことが、
年金・医療・介護なども含めた社会保障政策の中で
待機児童対策が大幅に劣後している原因。

https://flic.kr/p/LYEZN5
「隠れ待機児童」は、
1. 自治体が補助する認可外施設に入った
2. 保育所に入れず育児休業を延長した
3. 自治体が通えると判断した認可保育施設に入らなかった
4. 求職活動をやめた
といったケースに当てはまる子どもで、

統計で待機児童にカウントされない「隠れ待機児童」の存在は、
思わぬ変動をもたらす可能性があります。
行政に都合のいいカウントのしかたをせず、
潜在的な待機児童まで顧慮した上で、施策を推進しないと、
いつまでも待機児童がなくならないことになりそうです。


読売の記事の最後には、保育所が増えるとそれにともなって
入園を申し込むかたが増えるという指摘があります。
入園申し込み者数も2011年からずっと増え続けていますが、
2015年からの急増はこれを裏付けていると言えます。

待機児童問題に詳しい猪熊弘子・東京都市大学客員准教授は、
「新たな保育施設ができると、入所を諦めていた
保護者の申し込みが増えるという状況が続いている。
国と自治体が潜在的な需要にも目を向けて
必要な量を整備しなければ問題は解消しない」と指摘する。

3月21日エントリで、わたしはこのように書いたのですが、
わたしの予想は結構当たっていたことになりそうです。
(女性の就労者数が増えないことと、
入園希望者が増えたことから予想した。)

「待機児童が増えた理由」
2015年に保育園への入園を申し込むかたが増えたのは、
それまでは入園要求がありながらあえて申し込まなかったようなかたが、
申し込むようになったということではないかと考えられます。

posted by たんぽぽ at 21:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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