2016年10月15日

mar0006.gif日本の貧困率が高い理由

9月18日エントリ9月19日エントリでお話した、
「貧困バッシング」に関して書かれたうち、
次の記事についてみてみたいと思います。
子どもの貧困について一通りのことが書いてある、
わりとスタンダードな記事だと思います。

「子供の「6人に1人が貧困」 40兆円の社会的損失」

 
はじめに、相対的貧困と絶対的貧困の違い、
そして先進国で問題なのは相対的貧困であることに触れています。

先進国においては「絶対的貧困」はありません。
しかし「相対的貧困」が増えています。

「相対的貧困」とは、可処分所得が全人口の
「中央値(※平均値ではない)」の半分未満の世帯員のことです。
いわゆる所得格差の数字となります。

次に日本の相対的貧困率は上昇し続けていること、
そしてOECD加盟国の中で高い水準であることが述べられています。

日本の「相対的貧困率」は1980年代から右肩上がりで増え続けています。
2012年のデータでは16.3%で、6人に1人が貧困状態です。
16.3%は先進国(OECD加盟国)のなかでも
4番目に貧困率が高いことを示しています。


貧困率が上昇し続けていることは、前に示したことがあります。
6人にひとりというのは、ありふれていると言えるし、
貧困はぜんぜん他人ごとではなくなっています。

「上昇を続ける日本の貧困率」


OECD加盟国の中で高い水準というのは、こちらが示しています。
順位や貧困率の数値が若干違っていますが、
日本の貧困率が高い水準であることはたしかです。

相対的貧困率(2000年代半ば)

Japan faces a probem of high poverty

一般的な日本人が貧困率の高さを実感できないのは、
相対的貧困が眼に見えにくいことや、「経済大国日本に貧困はない」とか
「日本は出自によらない公平な社会」と言った
思い込みだろうと思います。

「日本社会で貧困が「再発見」されてから10年。貧困対策は進んだのか?」
「社会的不平等・現実と認識」


次に記事では、貧困家庭が増えている原因に触れています。
やり玉に上がるのは非正規雇用の増加のようです。

第1の原因は「非正規雇用者による子育て世代の増加」です。
非正規雇用の割合は1990年で20.2%でしたが、
2015年には37.6%にまで増加しています。
正社員の平均年収はおよそ676万円。
それに対して非正規社員の平均年収は387万円です。
生涯賃金になるとこの「格差」はさらに拡大します。

非正規雇用の推移は、以下のようになっています。
出典は総務省の『労働力調査』で、2014年は37.4%です。
2015年はさらに0.2ポイント上昇したことになります。

「非正規雇用、ついに4割に」

正規雇用と非正規雇用の推移

正規と非正規の年収格差は、何度がご紹介している
次の図がはっきり示しています。
出典は総務省の『就業構造基本調査』です。

「男女&雇用形態別年収分布」


非正規雇用に回されるのは、若年層や女性が多いこと、
そして中高年男性の既得権益は温存される傾向にある
ということも付記しておきます。

「実質賃金の低下と男女格差」
「日本の非正規雇用はひどい」
「賃金格差と低い労働生産性」


ついで貧困率が高くなり続けている原因として、
ひとり親家庭(母子家庭)が増えていることを挙げています。
第2の原因は一人親家庭、主に「母子家庭の増加」です。
18歳未満の子供がいる母子家庭は、1988年で約3.4%でした。
それが2012年には6.8%と2倍に増加しています。
母子家庭の非正規雇用率は57%に達し、平均年収は181万円です。

母子家庭の増加は次のグラフが示しています。
「ひとり親世帯」ですが、大半は母子家庭と思われるので、
母子家庭の推移とみなしてよいでしょう。

この統計によれば1975年は4.2%でしたが、
2013年には7.2%にまで増えています。
総世帯数も増えていますから、母子家庭の世帯数も
増えていることになります。

「国民基礎生活調査(平成25年)の結果から グラフでみる世帯の状況」

世帯構造別にみた世帯数の構成割合の年次推移


ひとり親家庭に非正規率が高いことと、
平均年収が低いことは、以下の図が示しています。

「シングルマザーの実像」

日本のシングルマザーの実像は



そして日本は公的な教育・家族向け支出が少ないことがあります。
このような子供の貧困問題を助長する要因として、
公的な補助が少ない点も指摘されます。
日本における公的・私的教育支出、家族向けの支出は
「対GDP比で1.4%」で先進国の中でも低い数字なのです。

これは次のOECDの調査をもとにした図が示しています。
日本は自己責任の国アメリカ合衆国よりは多いですが、
イタリアやドイツと比べても少ないです。
フランス、イギリス、スウェーデンと比べたら、
なおさら日本の低水準がきわだちます。

「家族関係社会支出(各国対GDP比)」

各国の家族関係社会支出の対GDP比の比較(2011年)


これは高齢者に対する支出と家族・教育に対する支出との比を
見るともっとわかりやすくなります。
日本は高齢者に対する支出と比べた、家族・教育に対する支出の
割合が0.5程度であり、もっともも少ない国の
ひとつであることがはっきりします。

「高齢化対策に対する少子化対策の相対ウェイトと出生率
(少子化対策に教育費公的負担を含む)」


高齢化対策に対する少子化対策の相対ウェイトと出生率(少子化対策に教育費公的負担を含む)

日本の福祉政策は、基本的に高齢者に偏重しているということです。
高齢者は人口比が多い上、投票率が高いので、
ますます票のウェイトが大きくなります。
それで為政者も高齢者向けの政策を重視するようになるわけです。

「高齢者向けに偏重する予算」

posted by たんぽぽ at 19:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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