2016年10月29日

mar0006.gif通称使用の状況という方便

「通称使用は根付いているとは言えない」とした
10月11日の東京地裁の判決で、もっとも理不尽なことは、
「旧姓使用は社会的に広まっている」とした、
2015年12日の最高裁判決と矛盾することだと思います。

「旧姓使用、なぜ認められなかった 判決読み解くと…」
「教諭の旧姓使用認めず 東京地裁判決 戸籍性「合理性ある」」(全文)

 
今回の判決は、男性裁判官3人が判断した。
旧姓を使える範囲が社会で広がる傾向にあることを認めつつ、
「旧姓を戸籍名と同様に使うことが社会で根付いているとは
認められない」と結論づけた。
旧姓使用をめぐっては昨年12月の最高裁大法廷判決が、
「旧姓使用が社会的に広まっており、戸籍名に変わることでの
不利益が一定程度緩和される」ことなどを理由に、
夫婦同姓を「合憲」と判断している。

最高裁判決では「旧姓使用は認められている」として
選択的夫婦別姓を導入しなくてよい理由にしたのに、
今度の地裁判決はその理由を否定しています。
そしてその扱い非改姓結婚をしたいかたにもっとも不利です。
理不尽としか言いようがないです。




「通称使用の状況」が、選択的夫婦別姓の反対派にとって
ていのいい方便になっているように思います。
選択的夫婦別姓を認めたくないときは、
「通称使用は受け入れられている」と言い、
戸籍の苗字を名乗らせたい(女性が改姓しないのを否定したい)ときは、
「通称使用は受け入れられていない」と言うのでしょう。

最高裁の判事と東京地裁の判事は別人だと言うのなら、
「通称使用でじゅうぶんだ」と言う別姓反対派と、
「通称使用はうその苗字だ」と言う別姓反対派とで、
徹底的に議論していただくのがよいでしょう。


東京地裁が矛盾した判決を出したことで、
最高裁はどう考えているのかということがあります。
わたしが憶測するに、最高裁はたいして
困惑していないのではないかと思います。
(違憲と判断した裁判官は問題視すると思いますが。)

「旧姓使用、どうしてだめなの? 司法の理屈って…」

「この判決には最高裁も困惑しているのではないでしょうか」
そう指摘するのは、二宮周平・立命館大学法学部教授(家族法)だ。

 昨年、別姓を認めない民法の規定を「合憲」と判断した最高裁は、
改姓する側がアイデンティティーの喪失感など不利益を被ることを認めつつ、
「それを緩和する手段として、通称使用が広がっており、
夫婦同姓制がただちに違憲とは言えない」としていた。

「地裁判決は、合憲判断の前提だった通称使用を
『社会的に受け入れられていない』と真っ向から否定した。
最高裁からすれば、選択的夫婦別姓を認めよと
言われているようなものでしょう」(二宮教授)

「通称使用は広く受け入れられている」というのは、
しょせん選択的夫婦別姓を認めないための方便ではないかと、
上述のようにわたしは憶測するからです。
(本気で「受け入れられている」と思っているかどうかさえ怪しい。)

女性の非改姓結婚を認めないことが目的と考えられるので、
判決の矛盾はよほど強く追及されないかぎり、
基本的に無視しそうに、わたしは思います。


今度の地裁判決を契機に、事実婚に移行するかたが増えています。
この問題に関心のあるかたなら、通称使用なんて
どこで認められなくなるかわからないという
「壁」をつねづね意識しています。

そうしたかたは最高裁判決の「通称使用は広まっている」も、
たいして信用していなかったと思います。
そこへもってきて通称使用を否定する地裁判決です。
やはり「通称使用は広まってない」のだと思って
事実婚への移行を検討する人が増えてもごもっともなことです。




posted by たんぽぽ at 07:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
素朴な疑問。
選挙の立候補では通称使用が認められてましたよね。
てことは、女性の結婚における改姓は、国政を担う選挙よりも厳格に守られなきゃならない戒律ってことなんですかね。
いやぁ、まさに宗教だわ、これは。
Posted by aka21 at 2016年11月01日 01:39
aka21さま、こちらにコメントありがとうございます。

>選挙の立候補では通称使用が認められてましたよね

通称使用が「うその名前」だというのなら、
選挙や議員活動で通称を使っている議員は、
みんな「うその名前」で政治活動をしていることになりますよね。

戸籍の名前だけが本当の名前という原理主義者は、
国会議員にかぎらず現在通称を使って活動をしている人たちを、
どのように思っているのかと思います。

内心不愉快に思っているのか、それとも国会議員に関しては
エライから特別ということにしているのか、
それはわたしにもわからないです。


>いやぁ、まさに宗教だわ、これは

それも「原理主義者(ファンダメンタリスト)」ですね。
Posted by たんぽぽ at 2016年11月01日 22:25
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