「男女平等指数(ジェンダーギャップ指数)」が発表されました。
「経済」「教育」「健康」「政治」の、4つの分野に対して、
男女間の「相対的な格差」について、国ごとにスコアを算出するものです。
「The Global Gender Gap Report 2016」
「Country Profiles: Japan」
今年2016年の日本の総合順位は、144か国中111位です。
2015年は145か国中101位だったので、10ランクもダウンです。
2016年のスコアは0.660です。
2015年は0.670でしたので、大きくダウンしたことになります。
これが順位を大きく下げる原因となったのでしょう。
順位は2013年の105位が谷底で、2014年と2015年は
少しだけですが順位が上昇していました。
2016年の111位は過去最低であり、
これまで少しずつ上昇していたぶんを
一気に埋め合わせるかのような下降です。
ジェンダーギャップ指数が111位にランクダウンしたことが話題ですが、ここで10年前の日本の順位を見てみましょう。
— Genki Katsube (@KTB_genki) 2016年10月26日
ナント79位!でも指数は微増しています。つまり「他国に比べて日本は改革があまりに遅過ぎてガンガン抜かれている」ということ。
「この国は、女性にとって発展途上国だ」 pic.twitter.com/eWFQm5XWvu
スコアは2013年までは2009-2010年を除き、ほぼ横ばいでした。
2014年と2015年はわりあいスコアは上昇しました。
2016年に0.660になったのは、2014-2015年の上昇を
ほとんど帳消しにするレベルの減少です。
調査対象国の数が毎年変化するので、日本の順位を
調査対象国の数で割って、相対的に何パーセントのところに
日本がいるかを示すと次のようになります。
2016年は上から77.1%で、過去最低だった2013年の
77.2%に迫るところまで来ています。
2015年は69.7%だったので、過去最高の2006年の
69.6%に迫るところまで来ていたのでした。
2016年になって一気に過去最低に肉薄し、
昨年の挽回が帳消しになったということです。
項目別の内訳は次のようになっています。
日本のスコアが低くなる原因は、今年も「経済」と「政治」です。
「経済」でとりわけ低スコアなのは、女性管理職で0.128です。
昨年は安倍政権が女性管理職を2020年までに
30%以上にするという公約を撤回しましたが、
女性管理職が日本はきわだって少ないというデータは、
これまでにも何度も示しています。
「女性管理職30%の目標断念」
「日本と韓国・女性管理職の割合」
「政治」分野は女性議員、女性閣僚、国の代表者の3つとも低水準です。
「国の代表者」は日本の場合首相ですが、
今後も女性首相が現れる気配がないのでゼロが続くでしょう。
「国の代表者」は最近の50人まで範囲としているので、
短期間でスコアが増えないという問題もあります。
全体の順位を大きく引き下げる原因は「経済」分野にあります。
「賃金格差」は2015年と比べて大きくスコアが下がりました。
2015年の0.61から2016年は0.514となっています。
低賃金の非正規雇用が女性に増えたことが原因でしょうか。
「技術職、専門職」も2015年の0.87から
2016年は0.629へと大きく減っています。
「管理職」は2015年は0.10で2016年は0.128なので、
低水準ながらも若干スコアが上がっています。
2015年の日本のジェンダーギャップ指数
「政治」分野は3カテゴリとも、2015年と比べて
2016年は大きな変化はないです。
今年のデータは2016年初めの時点のものを
使っていると思われるので、2016年7月の参院選の
結果は反映されていないです。
昨年と一昨年のエントリ
2015年:
「政治のジェンダー格差」
「男女平等指数2015年」
「教育のジェンダー格差」
「収入のジェンダー格差」
「男女平等指数2015年」
2014年:
「労働力率のジェンダー格差」
「収入のジェンダー格差」
「管理職のジェンダー格差」
「男女平等指数2014年」
おそらく、自国の111位というひどい順位がにわかに信じられなかったのでしょう。男性にとってもショックでこの事実を認めたくないのでしょうが、いずれにしても、もうちょっと普段から現実を冷静に見る目が欲しいですし、国際機関の出した発表を確認もせず、安易にデータが間違ってるなどと言ってしまう思考停止状態は多いに反省する必要があるな、と思った次第です
>自国の111位というひどい順位がにわかに信じられなかったのでしょう。
>男性にとってもショックでこの事実を認めたくないのでしょうが
ジェンダーギャップ指数の日本の現状を見ると、
調査自体を否定しようとするのは、
日本の男性にはまま見られるようですね。
https://twitter.com/gishigaku/status/791202629166567425
女子学生でもご存知なくて、日本の順位はもっと
上のほうだと思っているかたは珍しくないので、
にわかに信じがたいのは、わからないでもないですが。
「学生のジェンダー平等認識」
http://taraxacum.seesaa.net/article/422481171.html
ジェンダーギャップ指数は、賃金とか議員の数とか、
数値で表せるものの格差を機械的に計算するだけなので、
その意味で恣意的な要素はほとんどないのですよね。
ジェンダーギャップ指数を否定するのは、
この調査はどうやって数値を出しているのかが、
わかっていないということだと思います。
>もうちょっと普段から現実を冷静に見る目が欲しいですし、
年収のジェンダー格差とか、女性管理職の割合とか、
女性議員の数とか、わたしのブログを見ているかたは
常識的なのでしょうけれど、男性はこうしたことには
まったくうとい人も珍しくないようなのですよね。
そういうことを知らなくても生活できる立場にいる
ということでもあるのでしょうけれど。