2016年11月06日

toujyouka016.jpg 若年層の結婚願望の低下

若年層で結婚願望や子どもの希望が減っているという調査です。
国立青少年教育振興機構が行なっている調査で、
2015年の結果と2008年の結果を比較しています。
この結果自体は「いつもどおり」で、意外性はないと思います。

「結婚願望20代で低下=子供の希望も、「経済格差影響」−青少年機構」
(はてなブックマーク)

元の調査の資料はこちらです。

「若者の結婚観・子育て観等に関する調査[結果の概要] 」

 
2015年の調査は20-30代を対象にしています。
2008年の調査は18-29歳が対象でした。
調査対象が違っていることは一応注意が必要でしょう。

今回の調査は15年12月、インターネットを通じて
全国の20〜30代の男女に実施。4000人の回答を分析した。
前回08年度調査は18〜29歳の男女2400人が対象だった。

はじめに結婚願望の結果を見てみます。
全体では結婚願望がないことを示す「結婚したくない」は20.3%です。
また結婚願望が強いことを示す「早く結婚したい」は16.9%です。

結婚願望の現状

性別で見ると、女性より男性のほうが「結婚したくない」が多く、
また「早く結婚したい」が少なく、結婚願望が弱くなっています。
年代別でみると、世代が上がるほど「結婚したくない」が多くなり、
また「早く結婚したい」が少なくなり、結婚願望が弱くなっていきます。
このあたりは予想どおりだと思います。

結婚願望の現状(性別)(年代別)


2008年から2015年にかけての、結婚願望の推移を見てみます。
「結婚したくない」は10.1%から17.8%となり、8割近く増えていて、
結婚願望が低下していることを示しています。

結婚願望の推移 (平成 20 年度調査との比較)

「早く結婚したい」は20.2%から18.0%なので、
結婚願望の強いかたはさほど減っていないと言えます。
「いい人が見つかれば」が41.6%から30.0%と大幅に減っていて、
自分と合った相手との出会いに期待が持てないかたが
増えていることになりそうです。


ジェンダー別でも結婚願望の低下は、女性より男性が顕著です。
男性で「結婚したくない」は11.9%から21.6%と2倍近くに増えています。
女性で「結婚したくない」は7.9%から12.9%で
こちらも男性ほどではないですが増えています。

男性は「早く結婚したい」が、17.4%から12.1%に減っていて
結婚願望の強い男性も結構減っていることになります。
女性は「早く結婚したい」が、23.4%から25.5%なので
結婚願望が強い女性は、若干増えていることになります。

男性の「いい人が見つかれば」は42.1%から27.4%、
女性の「いい人が見つかれば」は41.0%から33.3%なので
どちらも減っていますが、とくに男性の減りかたが大きく、
出会いに期待が持てないかたは、男性により多いことになりそうです。


2008年の調査は18-29歳まで、2015年の調査は20-30代なので、
2015年の調査は結婚願望がより少ないであろう
30代がカウントされていることは、注意が必要でしょう。
それでも2008年と比べて、2015年は結婚願望が
減っていると考えてよいだろうと思います。

「いい人が見つかれば」の割合は、2015年の結果を見るかぎり、
世代依存はほとんどないです。
2008年と比べた時の2015年の男性の
「いい人が見つかれば」の割合の減りかたは大きいので、
結婚願望の低下が現れているとして問題ないでしょう。


かかる若年層の結婚願望の低下は、経済的事情によると考えています。
低年収や雇用の不安定によって、暮らしが経済的に安定にせず
結婚をしたいと思わなくなる人が増えていることは
よく言われることで、とくに問題はないと思います。

同機構の明石要一青少年教育研究センター長は
「経済格差や貧困の問題などが、新しい家族をつくる足を
引っ張っているのではないか」と分析している。



付記:

以前にも明治安田生活福祉研究所が、
20-40代を対象にした結婚願望の調査を行なっていました。
2013年から2016年という期間の短さを考えると、
こちらの調査のほうが結婚願望の低下のしかたが、
国立青少年教育振興機構の調査より大きく出ています。

「結婚願望と交際経験の減少」
「20〜40代の恋愛と結婚 -第9回結婚・出産に関する調査より-」

図表2 結婚に対する意向 (20~40代未婚の男女) (1/3)
図表2 結婚に対する意向 (20~40代未婚の男女) (2/3)

図表2 結婚に対する意向 (20~40代未婚の男女) (3/3)

明治安田生活福祉研究所の調査では、女性の20代と30代も
「できるだけ早く結婚したい」は減っています。
国立青少年教育振興機構の調査では、女性は「早く結婚したい」が、
2015年は2008年と比べて少しだけ増えていました。

また明治安田生活福祉研究所の調査では、
「結婚したいと思わない」は、20代の女性は
6.6%から17.0%と3倍近くに増えています。
国立青少年教育振興機構の調査よりも増え幅が大きく、
ここでも結婚願望の低下が大きく現れています。

posted by たんぽぽ at 22:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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