2016年12月03日

toujyouka016.jpg LGBT理解増進法案・自民で失速

自民党が性的少数者の理解増進のための法案の提出を
ぜんぜん進めようとしないというニュースです。
これは2016年7月の参院選で公約にしてはいました。

「外圧もあるが…LGBT理解への法案、自民が腰重い理由」
「LGBT 自民足踏み 参院選公約に「理解増進」法整備 
党内・保守派から異論 再び失速」
(全文)
(はてなブックマーク)

11月16日に国会内で、性的少数者に関する
「公正と平等」を求める集会が開かれたのでした。
それを踏まえての記事です。

 
性的少数者をめぐる国内外の動き

はじめにこれまでのお話が出ています。
2014年のレインボーブライド愛媛のアンケートと、
2015年の「家族の絆を守る特命委員会」の会議です。


レインボーブライド愛媛のアンケートに、
自民党だけが「人権問題として取り組まなくてよい」と
臆面もなく回答したことです。
党の公式の回答として、差別を放置してよいと言えるのは、
かなりのものだと思います。

2014年の衆院選では、NPO「レインボープライド愛媛」の
アンケートに「人権問題として取り組まなくてよい」と回答。

記事には2014年12月だけ触れられていますが、
2012年の12月にも同様のアンケートがあり、
自民党の回答は同じようなものでした。

「自民党の性的少数者排除」

@人権問題として同性愛者や性同一性障害者らの性的少数者について
取り組んでいくことをどう思われますか?(複数回答可)

●自由民主党【B】人権問題として取り組まなくてよい

A性的少数者の人権を守る施策の必要性についてお聞きします

●自由民主党【E】性同一性障害者への施策は必要だが、同性愛者へは必要がない

「自民党の性的少数者差別」

性同一性障害の人や同性愛者などで構成する
松山市の支援団体「レインボープライド愛媛」が、
各政党へ性的少数者についての施策を聞くアンケートを5日までに実施した。
性的少数者の人権を守る施策について、多くの党が「必要」と答えたが、
自民党は同性愛者へは必要ないと回答した。

「性的少数者の人権を守る施策の必要性」の質問では
自民党以外の5党が「積極的な啓発や施策が必要」と回答し、
自民党は「性同一性障害者への施策は必要だが、
同性愛者へは必要ない」という項目を選んだ。


そして2015年3月の「家族の絆を守る特命委員会」の会議です。
「考えるだけでぞっとする」なんて露骨な差別発言が
複数の議員から出たこと、そしてそれに笑いが起きたという
差別意識のほうこそ「ぞっと」します。
この特命委員会こそ、どれだけ恐ろしいのかと思います。

党の「家族の絆を守る特命委員会」では昨年3月、
複数の議員から同性愛について「考えるだけでぞっとする」
などの発言があり、笑いが起きた。

この「家族の絆を守る特命委員会」は、2013年12月に、
婚外子の相続差別に対する違憲判決を受けて、
民法改正をした際に「代償」として設立したものです。

目的は「家族思想信仰」の維持にあります。
戦後民法によって規定された家族のありかたと、
「夫が働き妻が専業主婦」という高度経済成長期の
家族スタイルの維持を金科玉条のように守る、
ほとんど宗教同然の家族イデオロギーです。

同性結婚というのは、彼らの「信仰」の世界には存在しない
「異教徒」ですから、彼らにとってはひたすら嘲笑と
差別と排除の対象にしかなりえないということです。


それでも自民党は7月の参院選で、性的少数者の
理解増進のための法案制定を公約にします。

http://www.asahi.com/articles/ASJCK52T0JCKUTFK00J.html
そんな自民党が今年7月の参院選を前に、重い腰を上げた。
公約の「政策BANK」にも「性的指向・性自認に関する
広く正しい理解の増進を目的とした議員立法の制定」を明記した。
背景には、国内外からの「圧力」があった。

なぜそんな気を起こしたのか、その原因ひとつは
2020年に開催予定の東京オリンピックです。
国際オリンピック委員会(IOC)は、2014年12月にオリンピック憲章に、
性的指向による差別禁止を加えています。

一つは、20年の東京五輪・パラリンピックだ。
14年2月のソチ五輪では、ロシアの「同性愛宣伝禁止法」が国際的な批判を受けた。
国際オリンピック委員会(IOC)は同年12月、
五輪憲章の根本原則に性的指向による差別禁止を加え、
日本政府もその姿勢を問われている。


IOCはオリンピックの開催都市には、差別禁止を義務付けています。
同性愛に対する差別法がある国は、
オリンピックの開催都市になれないということです。

「オリンピック:開催都市契約に差別禁止条項が追加」
国際オリンピック委員会(IOC)は、
今後の五輪開催都市との契約に差別禁止義務を含めると発表した。

これは2014年のソチオリンピックの際、ロシア政府が開催前に、
反同性愛法を成立させたことが契機になっています。
ほかに公立学校で女性のスポーツ参加を禁止している
サウジアラビアも意識しています。

IOCの動きは、ソチ冬季五輪前に、
LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)への
暴力と嫌悪を助長する差別的な法律を成立させた
ロシア政府への批判という面も大きいと、
ヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘した。
公立学校で女性のスポーツ参加を禁じるサウジアラビア政府など、
スポーツ分野で女性を差別する国々への警告でもある。


日本には同性愛を禁止、差別する法律はないので、
同性愛者の権利を保証する法律がぜんぜんないですが、
オリンピックの開催国にはなれます。
東京に開催が決まったのは2013年9月で、
IOCが上述の差別禁止条項を追加する前です。)

それでも上述のような自民党の、同性愛に対する
無理解どころか露骨に差別的な態度が続けば、
IOCはなんらかの対策に乗り出す可能性はあります。

トーンダウンする「理解増進」法案。
11月16日の集会で、同性愛の当事者がクギを刺した。
「どうか国際社会の笑い物にならないようにしていただきたい」

現状のままなら笑い物になる可能性はきわめて高いです。
「笑い物」ですむならまだましなほうです。
2014年のソチと同様、2020年の東京オリンピックも、
性的少数者の対応が問題で、差別禁止の規定を
IOCが強化する契機になる可能性さえあると思います。


東京オリンピックの開催には、批判も多いと思いますが、
開催国の人権侵害を抑制する働きはあるということです。
その意味では、東京オリンピックが控えているのは、
むしろよかったと言えるでしょう。

東京オリンピックの誘致は、自民党・安倍政権も熱心でした。
自分たちで招いたオリンピックです。
性的少数者に対する差別問題に対して、
どこまで責任を取ってくれるかと思います。

posted by たんぽぽ at 16:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 法律一般・訴訟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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