2016年12月04日

toujyouka016.jpg 保育園落ちた・流行語受賞

12月1日に「現代用語の基礎知識」が選ぶ
『2016 ユーキャン新語・流行語大賞』が発表されました。

「【2016新語・流行語】大賞は「神ってる」 今年も芸能ネタ逃す 」

ここになんと、あの「保育園落ちた日本死ね」が、
「トップテン受賞語」に選ばれたのでした。

「国政関連で唯一「保育園落ちた日本死ね」流行語受賞」
「「保育園落ちた日本死ね」新語・流行語大賞トップ10入りで山尾議員が受賞」

 
2016新語・流行語

「保育園落ちた日本死ね」ということばは、
保育園の整備が立ち遅れる現状と、それに無関心な
日本社会に対する批判を、端的に言い表しています。

ネットの匿名の記事が発端で、国会の審議で取り上げられ、
署名がなされ、集会が開かれ、待機児童や保育士の待遇について
多くの人たちが議論をし、その後も国会でも議論となり
まがりなりにも政権が対応することになったのでした。

ネットの無名人のことばが政治を動かしたのでした。
それまで政治課題のすみに押しやられていた待機児童問題を、
一躍重要課題として注目させることになったのでした。
そして待機児童問題で不満を持ち続けていた人たちには、
ひとつの希望となったのでした。

「1年の間に軽妙に世相を表現している“言葉”、
広く大衆の目や口、耳をにぎわせた“言葉”の中から選出」
という受賞の基準に合致していると言えます。


授賞式に出席したのは、民進党の山尾志桜里衆議院議員です。
最初の匿名記事を書いたかたが出席するところなのでしょうが、
さすがにご本人が登場するわけにいかないので、
このことばに注目して取り上げた山尾志桜里が
授賞式に出ることになったのでしょう。



「保育園落ちた日本死ね」なんて、死語となってもらうよう、
山尾志桜里には今後も待機児童問題をはじめ、
家族やジェンダーに関する課題で、活躍していただきたいと思います。

「これからは新語・流行語から死語になるように頑張っていく」と
待機児童問題の解消に向けてのさらなる取り組みへ決意を述べた。


特筆することは、政治関係で受賞したことばは、
「保育園落ちた日本死ね」ひとつだけということです。
そしてそのひとつは野党から出たものだということです。

ネット上の言葉が、政治も動かした。
「こんなことになるとは思わなかったが、
年の始まりと終わりを大きく象徴する言葉になった」。
同賞の政治関連語で、野党の言葉だけが表彰される年も珍しい。
安倍1強のあおりで沈みがちの民進党だが、
「野党と市民が同じ方向を向いた時、思いもかけない力が出る。
民進党の責任は大きい。幕引きにはできない」と述べた。

安倍政権の圧倒的な強さで、野党から出たことばだけが
注目されるのは、とても珍しいことだと思います。
ましてやなにかにつけて業績が目立たない民進党です。
その民進党がこれだけ注目されたのも珍しいです。

さらに言えば、家族やジェンダーに関することは、
「オンナコドモのことはくだらない」として、
まともに取り合わないのが日本社会です。
そうした中で、家族やジェンダーに関することが
脚光を浴びたのも、珍しいことだと思います。

posted by たんぽぽ at 16:12 | Comment(4) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
私もこれは受賞して欲しかったです。
一般人が書いたブログが国会に取り上げられ、各地で「保育園落ちたの私だ」
今までこんな動きを私は存じません。
私も小さな積み重ねでいつか世の中が変わるようにコツコツとやっていこうと勇気付けられたブログでした。
Posted by わんわん at 2016年12月04日 19:52
こちらにコメントありがとうございます。

>私もこれは受賞して欲しかったです

わたしも受賞したと聞いて、「おお、やった」と思いましたよ。
この問題がそれだけ認められたんだな、と思ったです。

>一般人が書いたブログが国会に取り上げられ、各地で「保育園落ちたの私だ」

こんなこともあるんだと、わたしも思ったです。

>私も小さな積み重ねでいつか世の中が変わるように
>コツコツとやっていこうと勇気付けられたブログでした。

小さなことでもずっと続けていれば、
いつか大きな力を発揮することがあるということですね。
Posted by たんぽぽ at 2016年12月04日 21:23
たんぽぽ様、こんにちは。

この件に関して、俳優のつるの剛士さんが「悲しい」とツイッターだかに書いたところ、非難を受けて謝罪せざるを得なくなったそうです。

ただ、自分の所感を述べさせていただくとしたら、自分もつるのさんと同様に、この言葉が「流行」語に選ばれたことは悲しいです。

もちろん「死ね」という語感や表現についても違和感がないわけではありませんが、この「死ね」は罵倒ではなく慟哭ですから、それくらいの意味はどこぞの総理大臣と違ってわかるので、あからさまに否定するつもりはありません。

あまり使っていい言葉とは思えないですが、でも、そうと言わなければならないところまで追い込まれている現実を、端的に表すのもまた、この言葉でしかなかったということなのでしょう。

だからこそ悲しい。こんな慟哭が流行ってしまう現実が。そしておそらくは一過性となって明日にも忘れ去られるであろう軽さが。

これはご本人が言われたわけではないので、個人的な見解ですが、つるのさんも同様な思いだったんじゃないかな、とか思うんです。

だってあの人、子沢山ですから。知らないはずないんですよね、子供を抱えた母親の苦労を。それにあの人、子煩悩ですからね、すごく子供大切にしていますから。

なのに、それを安易に「語感だけで否定した」と決めつけて非難する連中、そういう連中こそ、物事や人物を深く考えていないんじゃないかな、とか思います。

まぁ、所詮自分の言っていることも外野の戯言なんでどうでもいいですが、なんいせよ、自分はこの言葉が一過性の「流行(ながれいく)」とレッテルを貼られたことには悲しいです。
Posted by aka21 at 2016年12月12日 18:17
aka21さま、コメントありがとうございます。

>そうと言わなければならないところまで追い込まれている現実を、
>端的に表すのもまた、この言葉でしかなかったということなのでしょう。
>だからこそ悲しい。こんな慟哭が流行ってしまう現実が

保育所の整備がそれくらい遅れている現実があること、
そのように表現せざるを得ないという意味でなら
悲しむべきことですね。


つるの剛士は、おそらく「日本を悪く言われた」という
ナショナリズム的反発だろうと思います。
ただただ「日本を悪く言うな」と圧殺したいだけで、
保育所の不足なんて、問題意識も解決しようという意識も
ろくにないだろうと思います。

つるの剛士が国粋主義的動機で反発しているのは、
次のツイートで現れていると思います。
自分も保育園に落とされたことがあると言っているけれど、
女性でも女性差別的な言動をする人がいるのと、
同じようなものだと思います。

https://twitter.com/takeshi_tsuruno/status/804925375553802240
========
??誰が右翼だぁ〜! 今、現に子供を5人育ててる
ただの普通の日本人のオヤジ!そもそも日本好きで何が悪いんだろ。。?
この記事は論点がズレ過ぎてて驚いてます。。ありがたいですが。。
ちなみに昔保育園も落とされとります。笑
========

こんなのは、もっとはっきり国粋主義者であることが
現れていると思いますよ。
https://twitter.com/takeshi_tsuruno/status/628905965501448192
https://twitter.com/takeshi_tsuruno/status/629284031121747968


流行で終わるかどうかは、それほど悲観的でもないかもしれないです。
かたや自分の生活がかかっていますから、解決しないかぎり、
いつまでも問題を提起し続けることになるからです。

受け手である日本社会のありようによっては、
一過性の流行になる可能性はあるかもしれないです。
ようは「オンナコドモのことはくだらない」と思って、
また関心がなくなるということです。
Posted by たんぽぽ at 2016年12月12日 22:30
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