2016年12月10日

mar0006.gifHPVワクチン薬害説の起源

子宮頸がんワクチンの副作用だと思われている
けいれんや認知症などの症状は、そのほとんどは
心因性にストレスによるものだと考えられます。

科学的、医学的にはワクチンとの関係に根拠はないのですが、
なぜワクチンの薬害だと信じられるようになったか、
そのいきさつについて触れた記事があります。

「「救えるはずの患者を救えない」 子宮頸がんワクチン副作用「問題」はなぜ起きた?」
(はてなブックマーク)

 
1月3日エントリ1月17日エントリで、
子宮頸がんワクチンの薬害と言われている症状や、
日本では事実上予防接種が中止になっていることについて
詳しく書いた記事をご紹介しました。
合わせてご覧になれば、事情がはっきりわかってくると思います。

「あの激しいけいれんは本当に子宮頸がんワクチンの副反応なのか」
「子宮頸がんワクチン薬害説にサイエンスはあるか」
「子宮頸がんワクチンのせいだと苦しむ少女たちをどう救うのか」


子宮頸がんワクチンに副作用があると
信じられるようになったのは、マスコミの報道が大きいようです。
2013年3月8日の朝日新聞の報道が最初です。
けいれんが起きたとか、計算ができなくなったといった、
ワクチンの薬害だと言われる症状が、ここで報じられます。

2013年3月に何があったのか。津田さんは朝日新聞の1本の記事をあげる。
東京都内の女子中学生について報じた記事だ。
「(ワクチン接種後)接種した左腕がしびれ、腫れて痛む症状が出た。
症状は脚や背中にも広がり入院。今年1月には通学できる状態になったが、
割り算ができないなど症状が残っているという」

この記事を契機に、副作用を問題視する記事が次々と報道された。
そのなかには、接種した後、発作のようなけいれんを引き起こすこと、
あるいは歩くことすら困難な姿を強調するものもあった。
副作用を訴える声は、全国各地に広がっていくことになる。


2011年から2015年までの大手5紙について、
子宮頸がんワクチンがどう報道されているか、
内容がポジティブかネガティブかを調べたグラフがあります。
ふたりの医師が独立に記事を読んで判断しています。

この手の調査はもっと大人数でやったほうがいいし、
その場合、評価に客観性を持たせる方法もあります。
大量の新聞記事を読む必要がある調査なので、
ふたりしか協力者が集まらなかったのかもしれないです。

津田さん作成のグラフ。医師がネガティブと評価した記事の割合が増えている。

2013年3月8日が報道の論調の「節目」ということが、
とてもはっきりしていて、いささか衝撃的です。
2013年3月8日以前の記事は、中立とポジティブばかりと
言っていいですが、2013年3月8日以降は打って変わって、
中立とネガティブばかりと言える状況です。

2013年3月8日の朝日新聞の報道に続いて、
他紙も子宮頸がんワクチンの副作用の問題について、
報道するようになったのでした。


2013年3月の時点では、副作用の可能性は考えられました。
このときマスコミが取り上げたことは、適切だったと言えます。

「2013年時点で、私も副作用の可能性があるのではないかと心配しました。
取り上げること自体は適切だったと思いますし、
被害にあった当事者の声を取り上げることは
メディアの果たす大事な役割の一つです」

ところがそのあとワクチン接種の有効性を示す根拠や、
WHOからの接種再開の勧告があっても、
マスコミの報道の論調が変わらないままになっています。

「ワクチン接種の有効性を証明するエビデンス(証拠)は積みあがっており、
WHOからも接種を再開すべきだと提言がでています。
これはまったくといっていいくらい報道されていない」

「報道のバランスが著しく悪くなっていったのです。
科学的事実よりも、感情を揺さぶるエピソードが重視されている。
今回のアメリカ大統領選で見られたのと同じ現象です」

彼らマスコミ関係者の科学リテラシーの限界なのか、
もともとワクチンに不信感があって、
そこへもってきての「薬害」の事例だったのか、
あるいは「薬害」を強調したほうが
センセーションがあると思ったのでしょうか。


2013年6月14日に、厚生労働省が子宮頸がんワクチンの
積極的接種の勧奨中止を決定します。
メディア報道から3ヶ月、早い動きです。
厚生労働省も子宮頸がんワクチンに対して、
懐疑的なところがあるのかと思います。

子宮頸がんワクチンの経緯

以後予防接種を受ける率は激減し、事実上の中止になります。
2012年と2013年の接種率の変化は劇的です。

「子宮頸がんワクチンの接種率、65%から4%に激減―阪大調べ」
「子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)接種の勧奨再開を求める声明」

大阪府S市の中学1年女子の初回接種率(子宮頸がんワクチン)

事実上の中止になっている状況について、
世界保健機構(WHO)の諮問委員会が、日本を名指しで
勧告していることも、すでにお話しています。


メディア報道の内容についてのグラフですが、
2013年3月8日以降は、ネガティブな報道ばかりであり、
ポジティブな報道がほとんどないのも衝撃的です。
この状況で、子宮頸がんワクチンについて
適切な認識や理解をすることは、かなり科学リテラシーの
あるかたでないと、難しいだろうと思います。

メディアを見ても、ワクチンの薬害についての報道ばかりです。
ふつうにメディアに接していれば、そういう情報しか入らないので、
ワクチンは危険だと思うことにもなるでしょう。
子宮頸がんワクチンの薬害説を一般のかたが信じていても、
むべなるかなという状況だと思います。

数少なくなったポジティブな報道の中には、
「ワクチンの副作用とされる症状が治った」という主旨の
記事もたくさんあることが考えられます。
よってますます子宮頸がんワクチンについて
適切な科学的知識を伝える情報は、メディア記事の中では
ぜんぜん見かけないことになります。




posted by たんぽぽ at 22:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 疑似科学(にせ科学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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