2016年12月31日

mar0006.gif女性の活躍度と労働生産性

女性の相対的活躍度が高い国ほど、労働生産性が高いことを
示す図があるので、ご紹介したいと思います。

12月24日エントリ12月25日エントリでご紹介の、
ワークライフバランスや女性の人材登用と
労働生産性の関係を示す論文の最初に出ている図です。

「労働生産性と男女共同参画―なぜ日本企業はダメなのか、
女性人材活用を有効にするために企業は何をすべきか、国は何をすべきか」
(PDF本文)

 
縦軸には2010年の労働1時間あたりのGDP、
横軸にはジェンダー・エンパワーメント指標(GEM)
プロットしています。

GEMと就業者の年間労働時間1時間当たりのGDPの関係

ジェンダー・エンパワーメント指標、GEMは
国連開発計画(UNDP)が調査している、女性が政治や経済において
意思決定に参加している度合いを示す尺度です。

GEMが高い、すなわち女性の相対的活躍どが高いほど、
GDPが高い、すなわち生産性が高いことがはっきりしています。


プロットの分布を見てわたしが思ったのは、
右上と左下のふたつのクラスタに、
なんとなくわけられそう、ということです。
(統計的手法でわけることも、たぶんできると思います。)

いわゆる「先進国」と聞いてイメージする国は、
ほとんど右上のGEMが高くてGDPが高いクラスタにあり、
左下のGEMが低くてGDPが低いクラスタはOECD加盟国の中では、
中進国、開発途上国に近い国が多くなっています。

日本は左下のクラスタに入ります。
(左下クラスタの中ではGDPが高いほうですが。)
「日本は経済だけ発達した開発途上国」という皮肉がありますが、
実際先進国から脱落して、中進国、開発途上国に
近くなりだしていることを、少し示していると思います。


労働生産性の高い国は、教育や健康の水準も高いことが多いです。
それで文化水準一般の高さが労働生産性に
影響していて、男女共同参画の度合いとの関係は
疑似相関という可能性を考える人もいるでしょう。

そこでUNDPが調査している人間開発指数(HDI)
制御したGEMの影響を調べています。
HDIは保険、所得、教育の3つの分野について
各国の平均的達成度を表したものです。

OECD諸国の指標(1/2)
OECD諸国の指標(2/2)

標準化された回帰係数と有意度

モデル2がHDIで制御したGEMの回帰係数です。
1時間あたりのGDPはHDIが0.467に対して
GEMが0.378となっていて、男女共同参画の影響は
人的資本全体の8割以上となっています。

人的資本が労働生産性に与える影響は
ジェンダー平等によるものが大半であることがわかります。
最初の図で示したGEMとGDPとの相関は、
かなり直接的なものだと考えてよいでしょう。

人口ひとりあたりのGDPについても調べていますが、
モデル2はHDIが0.667に対してGEMが0.236で
ジェンダーの寄与は4割にも満たず、少なくなっています。
女性は男性と比べて、パートが多く労働時間が短いとか、
生産性の低い分野に回されやすいことが原因と考えられます。


最初の図を見ると、ノルウェーとトルコが外れています。
これらを特異点として除いたものがモデル3です。
(眼で見てわかるような特異点を含めていると、批判されやすいでしょう。)
この場合、Rの2条の値がモデル1より大きくなり、
相関が強くなっていることがわかります。

またGDPがOECDの中央値の半分未満である、
チリ、メキシコ、トルコを除いたものがモデル4です。
(貧しくて「先進国」と言えない国を加えると
不正確になる、という批判を顧慮したでしょうか?)
この場合も相関が強くなっていることがわかります。

(「反フェミ」が考えそうな「反論」は
ほとんど検証している念の入った調査だと思います。)

posted by たんぽぽ at 22:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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