また一人暮らしをする予定や希望はあるか、ということを聞いた、
マンションマーケット社の意識調査があります。
これを見てみたいと思います。
「親と同居を続ける未婚男女、「節約」や「家事・炊事」とは異なる
30代女性特有の同居理由とは・・・?」
「親と同居し続ける未婚男女 自立する気がない理由は・・・」
▼調査概要
調査実施時期:2016年9月6日〜2016年9月13日
調査対象者 :20代〜50代の未婚男女
有効回答数 :326名
調査方法 :インターネット調査
「親または祖父母と同居する一番の理由は何ですか?」
という、直接の質問をひとつ目にしています。

男女別に数値を出していますが、男女とももっとも多いのは
「生活費を節約したいから」です。
自分の収入が少ないという経済的事情で
一人暮らしが難しい状況にある、ということでしょう。
女性が30%を超えていて、男性より5ポイント程度高いです。
女性のほうが男性より収入が少ないので、
経済的理由で一人暮らしがより難しいと考えられますが、
差がそれほど顕著ではないです。
最初の質問を、年齢階層別にわけています。
男性は「生活費を節約したいから」が、
年齢層が上がるにつれて減っています。
年齢が上がるとともに年収が増えて、
経済的事情が解消されることが考えられます。


女性も年齢が上がるとともに「生活費を節約したいから」が
減っていく傾向にありますが、50代だけは増えています。
女性はパートや非正規が多く年収が増えないのか、
回答者の総数が少なくなるので、相対的にほかの理由が
減ったからなのか、なんとも言えないです。
20代は回答者の中に学生も多いです。
それで20代は女性も「生活費を節約」が多いと考えられます。
また女性の30代と40代とで、「生活費を節約」の割合が
ほとんど同じなのは、パートや非正規が多いので、
年収が増えないからだと、考えることはできそうです。
(この調査、年齢階層ごとの回答者の数も示してほしかったです。)
もうひとつ質問があって、「一人暮らしする予定がある、
もしくはしたいと思いますか?」です。
男女とも20-40代までは「予定がある」と
「予定はないが、したいと思っている」を合わせて60%前後です。
一人暮らしの希望は、それなりに多いということでしょう。


50代は男女とも一人暮らしの希望が大きく減って、
「予定はなく、したいとも思わない」が7割程度です。
これは自分の都合ではなく、親が高齢なので
親だけで暮らさせるわけにいかないという、
親の都合が大きくなるものと思います。
ついで親や祖父母との同居の理由ごとに、
一人暮らしの願望についての回答をわけています。
「予定がある」「予定はないが、したいと思っている」は、
「生活費を節約」と「職場が近い」のかたは、
ほかと比べて飛び抜けてではないですが、多くなっています。


本当は一人暮らしをしたいけれど、
経済的事情でやむをえず親と同居している、
精神的に自立していないのではない、というかたが
多いことを、示していると言えるでしょう。
20年ほど前は、親からの精神的自立をせず、
ずっと親と同居を続ける「パラサイトシングル」が、
話題になったのでした。
現在は雇用や収入が不安定ゆえ、経済的事情でやむをえず
親と同居をするかたが増えているという
よく言われることが、それなりに示されたようです。
(親と同居しているかたが、かならずしも
パラサイトシングルとは限らないですが。
とくに50代はむしろ自分が生活費を
払っているかたがほとんどでしょうし。)
当時は、30過ぎて親元にいる独身者に対して、「自由にお小遣いを使える独身貴族」的な揶揄の意味で使用されていたように記憶します。
実際にはそういう人ばかりではなかったのですが、一方で海外旅行や車やブランドショッピング、その他の趣味に惜しげなくお金を使って「結婚したら生活レベルが下がるから(しない、する気がない)」という人も確かにいました。まあ、親子関係も悪くなく恵まれているわけで、それはそれでいいんじゃないかなとは私は思ってましたが。
今は「自由にお小遣いを使いたい」ではなく「そうしないと生活できない」に変貌していることが、この問題の深刻さかなあと思います。
一人暮らしで家賃を払って生活する事が出来ないから親元にいるという人が、定年後の退職金や年金がしっかりした制度の下で働いていれば問題ないですが、実際には不安定低賃金の非正規労働の人がかなりの割合だと思うんです。
今、本来国家がやるべきセーフティゾーンが実家住まいになっているのが現状。あと20年経って親世代が死亡し、3-40代の非正規世代が高齢者になった時、その時にこの国の本当の破綻が来るのかもしれないなあ。
それまでに、なにか有効な政策が取れる政治家が現れるという期待は、今の政府見てても全く期待できないし…
こちらにコメントありがとうございます。
>パラサイトシングルって、懐かしい言葉ですね
もう「死語」になりつつあるのかな?
このことばが登場した20年近く前は、
まだ日本には経済的余裕があった、ということなのでしょう。
>今は「自由にお小遣いを使いたい」ではなく
>「そうしないと生活できない」に変貌していることが、
>この問題の深刻さかなあと思います
「親との同居」の理由が変化していったことは、
日本の経済の衰退ぶりをよく示していると思います。
>本来国家がやるべきセーフティゾーンが実家住まいになっているのが現状
ある意味、現政権の望む状況になっていると言えますね。
社会福祉を削って家庭に押し付けるのが、彼らのスタンスですから。
>あと20年経って親世代が死亡し、3-40代の非正規世代が高齢者になった時、
>その時にこの国の本当の破綻が来るのかもしれないなあ。
そのころはどうなっているかと、わたしも思いますね。
高齢者福祉予算の余裕は、いまよりさらになくなっているでしょうし。
貧困にあえぐ高齢者が続出していそうです。
2050年に日本は世界一悲惨な国になるという
予想は当たりそうだけど、単に高齢者率が高いだけでなく、
貧困高齢者が多いことが、悲惨だろうと思います。
案外、世界銀行とか外国から融資を受けて、
なんとかするのかもしれないですね。
福祉予算を確保するために。
このころは日本は開発途上国の水準まで
経済が落ち込んでいるから、お金を借りる立場に
なるのはおかしくないでしょうけれど、
借金の理由が福祉予算の確保というのは、
前代未聞かもしれないです。