2017年01月14日

mar0006.gifフランスの出生率上昇の理由(2)

12月28日エントリの続き。
フランスで出生率が上昇をした原因についての記事です。

フランスの政府や社会は、データと事実に向き合い、
「女性が男性と社会を信用しなくなっている」という
現状を認めたことが大きかったのでした。

「出生率が上がった。フランスが少子化を克服できた本当の理由って?」
(はてなブックマーク)
「おむつは不要、手ぶらで登園。少子化を克服したフランスの保育園事情とは」
(はてなブックマーク)

 
男性と社会に対する、女性の信頼を取り戻すために
フランスでは具体的にはどうしたのか?
男性に向けたメッセージと、女性に向けたメッセージがあります。


男性に向けたメッセージは、男性を家庭に帰すことです。
具体的には2週間の男性の産休の導入です。

社会と男性への信用を取り戻すためには、男を家庭に返さなきゃいけない……
というところから生まれたのが「男の産休」なんです。
長期間の育休では誰も取らないから、とりあえず子供が生まれたら
「2週間家に帰ってくれ」「人生の一番大事なところへ立ち会え」と。
2週間、パートナーと力を合わせて子供の世話をすることで、
男は「父親」になるんです。
フランスではこの時期を「赤ちゃんと知り合う時間」と言います。

企業の負担は3日ぶんで、残り11日は国の負担です。
基本的に国がお金を保証して、
企業の負担を小さくしているのも特徴的です。
それで男性従業員が産休を取ることに、
企業が難色を示すことも少ないのでしょう。

2週間の父親の産休のうち、3日間を雇用主が、
11日間を国がまかなう有給休暇とされる。
取得しないからといって罰則があるわけじゃないんですよね? 
たんに「産休という権利を担保した」ということですよね。

「パートナーと力を合わせて子供の世話をすることで、
男は「父親」になるんです。」というのは、結構大事だと思います。
子どもができたらなにもしなくても、
自動的に男性が「父親」になるのではなく、
子どもの世話を通して「父親」になるということです。


女性に向けたメッセージは、「子どもを持って失われるものがあれば、
それは政府が全部保証する」というものです。

私はフランスが少子化を克服できた原因として、
政府が女性側にメッセージを送り続けたことが大きいと思っているんです。
「もし子供を持つことで失われるものがあったら、
それは全て政府が補塡します」と。

「女性が社会を信用しなくなっている」とおっしゃいましたが、
フランスでは「男性が途中でいなくなっても、
仕事を失っても、あなたの子育ては大丈夫ですよ」という
政府のメッセージが女性側に届いたからこそ、
「産んでも大丈夫」という空気ができた。
政府の信用を取り戻せて、少子化が克服できたという点も大きいのでは。

男性に産休を取らせて家庭に帰すことによって、
男性に対する女性の信用を取り戻すようにし、
子どもを持って失われるものを、政府が保証することで、
社会に対する女性の信用を取り戻すようにした、
ということになると思います。


日本の産休は母体保護のためという位置付けであり、
男性は取れないものとなっています。

「「男の産休」に言及した安倍首相 
制度はあるのに低い男性の育休取得率を改善させるには?」

厚生労働省の説明を見ると、育児休業は男女が取得できることが
明記されており、また取得可能期間にも差はありません。
一方、産休には「男女が取得できる」と明記されていません。
そもそも産休とは、母体保護を目的とした休業だからです。
当然、男性は取得できないことになっています。

2015年3月に閣議決定された「少子化社会対策大綱」では、
2020年までに男性の産休の取得率を8割にする
という目標が掲げられています。
この期間は「出産後2ヶ月以内に半日から1日以上」なので、
2週間の休みがあるフランスと比べると、だいぶ短いです。

「少子化社会対策大綱」

育児休暇は日本の法律でも、男女どちらも取れますが、
2015年は取得率がわずか2.65%で、過去最高だったのでした。
産休や育休に関しては、日本は「男性を家庭に帰した」とは
とても言えない状況にあるということです。

「男性の育児休暇の取得率」


日本は社会福祉を削って、家庭に負担させようとする
自民党が圧倒的支持で政権についています。
このような状況のもとでは「子どもを持って失なわれるものを、
政府が全部保証する」なんて発想には
絶対に向かわないことになります。


さらに記事に出ていることとして、
「子どもを持つのはいいことだ」と無邪気に思っているとか、
「結婚には犠牲がつきもの」という意識が蔓延しています。

ある政治家の男性とその話になったのですが、
そもそも「子供を持つことで何かが失われる」という
多くの日本の女性が持つ感覚自体が理解されませんでした。
「何が失われるの? 子供を持つことはいいことだよね」という感じで。
男女共に、自由な時間とか、自由になるお金とかが
失われると思っているんです。
だいたい、上の世代の多くの人が「結婚には犠牲がつきもの」と
考えているのに、そういうものである結婚を若い人たちに
させようとしているところがおかしいですよね。

「子どもを持つことで失なわれるものを政府が保証する」
なんて発想にならないどころか、「失なわれるものがある」と
認識することさえままならない状況と言えます。



付記:

女性が性衝動を起こす生物学的条件のうち、
「男性を家庭に帰す」のは、以下の2.と3.、
「子どもを持って失なわれるものを保証する」というのは、
以下の1.と3.が満たされるようにすることになります。

「愛とセックスの関係 〜男女の違い〜」
女性の繁殖成功にとって愛情確認は重要

1. 自分自身の生活レベルから見てもうひとりの生命を背負って
生きてゆくことが可能かどうかの生活レベル判定です。

2. 相手となる男性の適応度がある程度以上に高いかどうかをもとにした
遺伝子継承可能性についての遺伝子選別(配偶者選択)です。

3. 相手となる男性がその生活をサポートしてくれるか
どうかを判断するための愛情確認です。

性衝動の生物学的基盤という観点から見て、
フランスの施策の基本スタンスは、妥当ということになります。

posted by たんぽぽ at 23:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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